2019年度第9回地方創生実践塾in石川県七尾市(終了しました)
地方創生実践塾 終了レポート
2019年08月13日
2019年度 第9回 地方創生実践塾 in 石川県七尾市 働く場とヒトを繋ぐ公民連携ネット~創業・事業承継×移住支援による地域づくり~
令和元年11月23日(土)~24日(日)、七尾市にて「働く場とヒトを繋ぐ公民連携ネット~創業・事業承継×移住支援による地域づくり~」をテーマに2019年度第9回目の地方創生実践塾を開催しました。全国各地の自治体職員など31名の方にご参加いただきました。
11月23日(土)
◆イントロダクション
主任講師:友田 景 氏(七尾街づくりセンター株式会社 戦略アテンダント)
講義に先立ち、七尾市や七尾街づくりセンター株式会社の概要、市内企業の現状、地域コーディネーターの役割についてご説明いただきました。地域における新たな事業・仕事や人々を元気にする活動を生み出すためには、外部的な視点で地域の価値を見つけ、地域を俯瞰する視点でそれらをつなげ、中立的な視点でそれぞれが目標を達成できる仕組を組み立てる役割を担う「地域コーディネーター」の存在が重要であるとのことでした。
◆講義1「七尾のまちづくりを振り返る」
講師:森山 奈美 氏(株式会社御祓川 代表取締役)
1985年の七尾鹿島市民大学講座をきっかけに計画された七尾マリンシティ構想から現在に至るまでの七尾のまちづくりの取組についてご説明いただきました。自立の精神と市民が楽しむことを理念とした七尾マリンシティ構想によるまちづくりは、1991年にオープンした「能登食祭市場」、1995年に七尾駅前にオープンした「パトリア」など点の整備から、それらを線で結ぶシンボルロードや御祓川の整備へとつながり、さらにそれらを面へと広げていくために様々な取組が行われてきたという経緯を知ることができました。七尾のまちづくりは、公民の協働により試行錯誤しながら制度化や事業化を図ってきたという点がとても印象的でした。
◆パネルディスカッション「創業応援カルテットの取り組み」
「七尾商工会議所・能登鹿北商工会」、「のと共栄信用組合」、「日本政策金融公庫」、「七尾市」の4者が連携・協力して創業者を応援する「ななお創業応援カルテット」の取組について、主任講師の友田氏がコーディネーターとなり、取組が生まれたきっかけや創業のポイント、運営面での課題などについて4者それぞれの担当者に意見交換をしていただきました。4者の緊密な連携のもとで、それぞれの強みを生かし、弱みを補い合う関係が構築されているからこそ、創業準備から創業後のフォローまできめ細かな支援を行うことができるのだと感じました。
◆講義2「御祓川がつなぐ、まち・みせ・ひと」
講師:森山 奈美 氏
市の中心部を流れる御祓川沿いのまちづくりをきっかけに設立された株式会社御祓川が、2007年の能登半島地震を経て、能登全体へと事業展開していくまでを同社代表取締役の森山氏からご説明いただきました。同社では「小さな世界都市という未来を育てる」というミッションのもと、「まち・みせ・ひと」を育てるため、市民大学としての御祓川大学や能登の暮らしに根付いた品を販売する能登スタイルストア、若者のチャレンジを応援する能登留学などに取り組んでいるとのことでした。地域の課題をただマイナスなものとしてとらえるのではなく、メリットとして活かしていくという視点がとても印象的でした。
◆フィールドワーク(創業店舗訪問)
1日目の最後はフィールドワークとして、ななお創業応援カルテットによる支援を受けた「Sartoria Cavuto(サルトリア カヴト)」、「一本杉 川嶋」、「ニコ・キッチン」の3店舗を訪問し、創業者の方々からお話を伺いました。七尾市での創業に至った経緯や創業にあたって苦労された点など、創業者の生の声を聴くことができ、大変貴重な機会となりました。
11月24日(日)
◆講義3「仕事も家も面倒をみる移住支援の取り組み」
講師:太田 殖之 氏(七尾街づくりセンター株式会社 移住コンシェルジュ)
七尾市の移住の現状や移住定住促進の目的、官民連携の移住コーディネート業務などについてご説明いただきました。移住定住により目指すべきは持続可能な地域社会の形成であり、そのために必要な次代につながる人材を確保するため、ニーズに合わせた24時間365日のワンストップサポートや住まい探し、仕事の提案などメインターゲットに対する個別のコーディネートを行っているとのことでした。移住を決定づけるのは「人との出会い、つながり」であることから、そうした点を意識してコーディネートを行っているというお話がとても印象的でした。
◆講義4「七尾ローカルベンチャー推進事業『事業承継3.0』」
主任講師:友田 景 氏
七尾街づくりセンター株式会社が行う「七尾ローカルベンチャー推進事業」についてご説明いただきました。同事業では、次期経営者を育成する「七尾ビジネスバトンスクール」や関係機関が連携して事業承継を支援する「事業承継オーケストラ」などの取組を通じて企業が新しいことにチャレンジできる仕組づくりのほか、「なな推しプロジェクト」や「マニアックnight」などの取組を次々に行っており、そうした新しい取組や企業のチャレンジを徹底的にPR・応援することで、知名度を上げ、さらなる人材の確保を狙っているとのことでした。また、企業が生き残っていくためには、従来の子どもや幹部職員への事業承継だけでなく、外部人材への事業承継「事業承継3.0」と事業革新「Reベンチャー」が必要であるというお話がとても印象的でした。
◆グループワーク
参加者が4人ずつに分かれて行ったグループワークでは、2日間の講義を振り返り、特に参加目的の強い部分や印象に残っている部分を各自の仕事にどう活かせるかといった観点で書き出し、それをもとに「学びを活かす宣言シート」を記入して各グループ内で共有しました。その後、各グループから1名ずつ、宣言シートの内容について参加者全員へ向け発表しました
まとめ
本実践塾では、まちづくりの関わる人や組織が地域の未来ビジョンを共有し、連携して様々な取組を行っている七尾市のまちづくりを通じて、地域にあるものに価値を見出し活かしていくこと、失敗を恐れずにチャレンジしていくことの重要性について学んだ2日間でした。
<最後に参加者の方から頂いたお言葉の一部を紹介します>
・初めて受講しましたが、期待以上の講座でした。これから自分が何をすべきかが少し見えた気がします。この気持ちが熱いうちに色々出来ることをしたいと思います。
・創業応援カルテットの舞台裏の話から、創業者の人の話までの流れが非常にわかりやすく、理解が進みました。
・講師や移住者、創業者の方々の地元への愛着がとても感じられました。そうした点も地域の魅力なのだと思いました。
カリキュラム
【1日目】11月23日(土)
◆開講式
◆イントロダクション
主任講師:友田 景 氏(七尾街づくりセンター株式会社 戦略アテンダント)
◆講義「七尾のまちづくりを振り返る」
講師:森山 奈美 氏(株式会社御祓川 代表取締役)
◆パネルディスカッション
コーディネーター:友田 景 氏
パネラー:七尾商工会議所 事務局次長 中村 史人 氏
のと共栄信用組合 ふるさと創生本部 部長 小石 芳一 氏
日本政策金融公庫 北陸創業支援センター 所長 棚橋 隆博 氏
七尾市商工観光課 課長補佐 立川 淳 氏
◆講義「御祓川がつなぐ、まち・みせ・ひと」
講師:森山 奈美 氏
◆フィールドワーク(創業店舗訪問)
◆Sartoria Cavuto(サルトリアカヴト)/一本杉川嶋/ニコ・キッチン
◆交流会
【2日目】11月24日(日)
◆講義「仕事も家も面倒をみる移住支援の取り組み」
講師:太田 殖之 氏(七尾街づくりセンター株式会社 移住コンシェルジュ)
◆講義「七尾ローカルベンチャー推進事業『事業承継3.0』」
講師:友田 景 氏
◆グループワーク
◆閉講式
連絡先
セミナー統括課
TEL:03-5202-6134
FAX:03-5202-0755
E-mail:seminar(at)jcrd.jp ※メールアドレスの(at)は@に変更ください。