【終了レポート】2019年度 第2回 地方創生実践塾in岩手県紫波町

終了レポート

2019年03月27日

2019年度 第2回 地方創生実践塾 in 岩手県紫波町
オガールで考えるエコと暮らし~持続可能性と域内経済循環~

令和元年6月27日(木)~28日(金)の2日間、岩手県紫波町で、「オガールで考えるエコと暮らし~持続可能性と域内経済循環~」をテーマとして、2019年度第2回目の地方創生実践塾を開催しました。全国各地の自治体職員など38名のご参加をいただきました。

【6月27日(木)】

最初に紫波町の熊谷泉町長より、歓迎のご挨拶をいただきました。

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◆講義1「岩手県紫波町オガールプロジェクト-公民連携による公有地活用-」

講師:紫波町企画総務部企画課長 鎌田 千市 氏

 紫波町の地域課題を解決するために取り組まれてきた「民間主導の公民連携」の考え方や、オガール地区内の様々な施設がどのような手法で設置されてきたかといった点についてご講義をいただきました。

 エリア内にある様々な施設ごとに事業手法や土地、建物の権利関係が異なっており、目的に応じた最適な手法が選択されていることが印象的でした。

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◆フィールドワーク「オガールさんぽ」

 続いて、参加者が2班に分かれオガールエリア内の施設等を見学する「オガールさんぽ」が行われました。

 図書館やコミュニティスペース等が設置された「オガールプラザ」、宿泊施設やバレーボール専用アリーナがある「オガールベース」、紫波町型エコハウス基準を満たす住宅が建ち並ぶ「オガールタウン」、民間事業者が店舗や医院等を構える「オガールセンター」などの見学を通して、オガールの多様性について触れることができました。

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◆講義2「民間主導・行政支援の公民連携とは」

講師:株式会社オガール代表取締役 岡崎 正信 氏 

 1日目最後の講義はオガールプロジェクトの立役者である岡崎氏から、まちづくり議論の出発点と課題解決のための公民連携の正しい在り方などのお話を通じて、稼ぐインフラを構築するために重要な視点をご講義いただきました。

 まちづくりの出発点は「人口減少」ではなく、「財政難」であり、まちづくりを「不動産」という視点で考え、行政の仕事は不動産価値(エリア価値)の上昇を目標にし、結果的に固定資産税の維持・上昇に繋げることが重要であるとのお話が非常に印象的でした。これからの人口縮小社会において、ハード整備を中心としたまちづくりで求められる重要な視点について様々な学びを得ることができました。

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【6月28日(金)】

◆講義3「キャッシュアウトしないで快適な暮らし」

講師:みかんぐみ共同主宰 竹内 昌義 氏

 日本のエコハウス建築の先駆者であり、紫波型エコハウス基準の作成やモデル住宅の設計を担当した竹内氏からは、再生可能エネルギーをめぐる世界や日本の現状、高断熱の紫波型エコハウスの目的やその導入による効果についてお話しいただきました。

 住宅のエネルギー消費を削減することによって、町外に出ていくお金を減らし、地域内で循環する仕組みができるという紫波町の目的を解説いただき、「キャッシュアウトしない」という講義テーマの本当の意味を理解することができました。

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◆講義4「不動産から実践するパブリックマインド」

講師:株式会社くらしすた不動産 専務取締役 星 麻希 氏

 紫波町が行った平成27年リノベーションスクールに参加後、同町内での空き家を活用した取組に参画。それらの経験を生かし、現在は夫婦で㈱くらしすた不動産を運営する星さんからは、暮らしを楽しむという価値が共有できる場所をつくり続けることは、魅力あふれる唯一無二のまちの実現につながっているとのお話を聞かせていただきました。

 衣食住のうち、その専門性と予算規模を理由に行政が積極的に関わりにくい「住」について、まちへの思いを共有する専門家に携わってもらうことによる効果は地域全体に波及することをこの事例から実感することができました。

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◆「ここで私らしく生きる」

講師:はちすずめ菓子店 店主 阿部 靜 氏

 複数の保育園に勤務していたときのアレルギーの子どもたちとの出逢いが契機となり、ヴィーガン、マクロビオティックなど食事について学び直し、紫波町内に自身の店「はちすずめ菓子店」をオープンした阿部さんからは、たくさんの仲間と支援者に恵まれている紫波町での生活について、実際に移住し、起業した実践者の立場からお話しいただきました。

 明確な目的のもと、思いのある人が集まり、活躍できる場所を創った結果、それぞれの人がその人だからこそできることを持ち寄り、更に素敵な地域になっていっているのだと理解できました。

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◆グループワーク・発表・講評

 参加者が5~6人に分かれて行ったグループワークでは、この実践塾での学びから各講師に更に訊きたいことをテーマに意見交換を行いました。各グループで集約した質問を全体に発表し、進行役も務められた鎌田氏、2日目の講師である竹内氏・星氏・阿部氏、昨年度の同町での実践塾で講師を務めていただいた紫波町職員の高橋氏から、より具体的で貴重なフィードバックをいただく機会を得ました。

 各講師からの講評の中で「オガールプロジェクトは現在進行形であり、完結したわけではない。課題や目的に応じて内容をブラッシュアップし、将来も持続していくことができるように常に動き続けなければならない」、「このプロジェクトと同じことを他の市町村で行うことは不可能。オガールの真似をするのではなく、自身の地域の実情にあった独自の取組をぜひ検討してほしい」との言葉が印象的でした。

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 本実践塾では、自治体と岡崎氏をはじめとする民間パートナーの方々の覚悟と高い目的意識を強く感じました。このような先進的な取組は一朝一夕で実現するものではありませんが、各地域においてもそれぞれのオガールプロジェクトが可能であるという勇気を与えていただくとともに、ぜひそれを実現すべきであるという宿題をいただいた2日間であったと感じました。

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最後に参加者の方から頂いたお言葉の一部を紹介します

・Slidoを使用した竹内氏の講義はライブ感があってよかった。

・行政からの参加者が多かったが、グループワークでそれぞれの志を感じることができた。

・行政とも仲間意識をお互いもって関わっていけたらいいと思った。

・全体を通して勉強になった部分と自分の市では難しいと思ったが、オガールをそのまま他の市ではできないという話で自分の市に合った価値を見つけ、小さいことからしていきたいと思った。

・また、参加してみたい。持ち帰って勉強会を企画したい。

・住民全員がもっとアイデアを出し合える、協力し合えるまちづくりを目指したい。

・岡崎さんの講義において、行政への客観的な評価や問題点を率直に聞くことができ、今後の仕事の指針にしようと思った。

・本当にすごく良い内容だった。講師の皆さんの本気度が高いのでいいのだと思う。

・とにかく自分の目でオガールプロジェクトを見ることができたことでまず満足している。

・オガール以外の話は役場正規職員でもないので関係ないかと思っていたが、話を聞いているとみな熱い自分を持っていて大変興味深かった。

・鎌田さんと高橋さん役場職員とは思えない活躍だった。皆さんのような職員がいるので良い講師が集まるのだろう。

・住、生活、エコのバランスや民間と地域の関わり方が少しわかった。自身の地域におとしこむと考えた時に規模や場所が難しいが、民間主導で動く、発動するきっかけやタイミング、巻き込む力が必要だと勉強になった。

カリキュラム

6月27日(木)
 13:00~13:10 開講式
 13:10~14:00 講義1 鎌田 千市 氏「オガールプロジェクト概要」
 14:00~15:20 フィールドワーク オガールさんぽ
 15:30~17:30 講義2 岡崎 正信 氏「民間主導・行政支援の公民連携とは」
 17:45~20:00 交流会

6月28日(金)

 9:00~10:30 講義3 竹内 昌義 氏「キャッシュアウトしないで快適な暮らし」
 10:40~11:50 講義4 星 麻希 氏「不動産から実践するパブリックマインド」
 13:00~14:10 講義5 阿部 靜 氏「ここで私らしく生きる
 14:20~15:20 グループワーク
 15:30~16:00 講評 
 16:00~16:10 閉会式

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