【終了レポート】令和3年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー『都市と地方の新しい関係性づくり~遠隔自治体間連携、関係人口等の多様な繋がり~』

2022年03月15日

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令和3年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「都市と地方の新しい関係性づくり~遠隔自治体間連携、関係人口等の多様な繋がり~」を11月26日(金)~27日(土)に開催しました。民間企業、地方自治体から20名の方にご参加いただきました。

1日目(11月26日)

講義①「都市と地方」の遠隔連携

大杉 覚 氏東京都立大学法学部教授

 画像2.pngこれまで東京一極集中、地方と都市の過疎過密など問題視されてきた状況が、コロナ禍での三密の回避やテレワークの進展、田園回帰現象などによって変化を見せており、これからの地域の発展、維持には適疎適密が重要視されてくると考えられ、これを踏まえて都市と地方を考える視点について学びました。

 世田谷区と群馬県川場村の間で結ばれた縁組協定の事例から、離れているからこそ競争心なく、お互いを思い合える「共生、共存」が可能となるということを学びました。

 遠隔自治体間連携の意義は、都市と農山村の交流により自らの価値に気づくとともに、それを普遍的な価値に高め、具体化していくことにあります。単独の自治体では成しえないことも自治体だけでなく民間企業等も含めた一対多数で連携することにより、複合化、多角化することによって、より連携が成熟され、「共創」に繋がっていくことを学びました。

講義②「都市と地方の新しい関係性づくり~遠隔自治体間連携、関係人口等の多様な繋がり~」

前神 有里 氏地域活性化センター フェロー・人材育成プロデューサー、地域活性化伝道師、地域力創造アドバイザー

 画像3.jpgつがる市のアンテナショップ「メロンとロマン」と、町田商工会議所がスタートさせた「まちだシルクメロン」のつながり、文京区でカフェ&コワーキングRural coffeeを開き都市と地方をつないでいる株式会社Rural frontierと山形県置賜地方で行われている人と地域をつなぐ事業から、地域の課題解決にとらわれない多様なつながり方がもたらす意義について学びました。

 前神氏は「ゆるふわ」がキーワードとして、「ゆる」は広く包摂、寛容される多様性を表し、「ふわ」は表層化しておらずふわっとして見える目標を模索し、未来を志向することが重要と話していました。

 これからの連携の在り方は見返りを求めてしまうgive&takeな関係だけに捉われず、give&give、take&takeでもよく、相互のメリットを意識すると途端に視野は狭まり、外に向かなくなりがちです。

お互いを認めることで、流動しているものから生まれる価値に気付けることを学びました。

講義③「おやまちプロジェクト」

高野 雄太 氏(一社)おやまちプロジェクト代表理事

 画像4.png高野氏は活動していく中で重要視しているのは課題解決から入らないことであると話されました。課題解決も大事だが、それよりも自分がその街で生きていく上で「こんなことがあると幸せ」「ステキだなと思うことに向かってやってみる」といった視点を持つことが自身の暮らしを豊かにするということをお話しいただきました。

 実際に行われてきた活動をお聞きし、自分の住む地域にとって「よい街」とはどういう景色か、ステキと思える部分はどのような場面かといった新たな視点を学びました。

対話・意見交換・質疑応答

 講義の中で浮かんだ疑問や聞いてみたいこと、響いたことなどをグループで話してアウトプットを行いました。

まとめ(発表)

 発表の中では、遠隔「自治体」間連携に捉われず、遠隔「地域」間連携などにすればもっと柔軟な連携もできるかもしれない。地域の中で同質性が高まってくると排他性が出てくるのではないか。似通った地域同士ではやりたいこと、できることに見えないものがある等、さまざまな意見が出ました。

2日目(11月27日)

1日目振り返り

 1日目の講義を振り返り自身がグループワークで話したいキーワードを考え書き出しました。グループ内外で似ているキーワードや気になるキーワードの人同士でグループを組みました。

グループワーク

 振り返りで抽出したキーワードを元にグループワークを行い、講師の方にもアドバイスをもらいながらキーワードに対するさまざまな考えを話し合いました。

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講評

 グループワークで得た視点やこれから行っていきたいこと、取り組んでいきたいことを発表し、それぞれの講師から講評いただきました。

高野氏からは、地域の前に人と人のつながりがあり、行政ではなく個人としてつながることが大切であり、実施した後のプロジェクトはの振り返りも重要ということもお話しいただきました。

前神氏からは大人は、学生をどうサポートするかと考えがちだが、サポートの方向は偏ったものではなく、学生との探求の時間は大人の学びにもつながるということをお話しいただきました。

大杉氏からは元々自治体間の連携は姉妹都市のように親睦交流であり、義務感でつながるものではなく、人と人のつながりであったのが、いつの間にか自治体が結びつかなければいけないといった言葉に捉われてしまっている。大事なのは地域の人がどう感じるのか、どうしたいかであることをお話しいただきました。

セミナーを終えて

 自治体間の連携を考えたとき、お互いにメリットがあることに意識が取られていましたが、自分の視野が狭くなっていないか今一度見つめ直すきっかけとなりました。地域に住む個人として、地域にどうなっていってほしいかという視点を常に持ちたいと思いました。

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スケジュール

1日目(11月26日)

13:00~13:10

開講式

13:10~14:00

講義Ⅰ 東京都立大学法学部教授 

大杉 覚 氏

14:10~15:00

講義Ⅱ 地域活性化センター フェロー・人材育成プロデューサー、地域活性化伝道師、地域力創造アドバイザー

前神 有里 氏

15:05~15:35  

講義Ⅲ (一社)おやまちプロジェクト代表理事

高野 雄太 氏

15:40~15:50

アイスブレイク

15:50~17:45

対話・意見交換・質疑応答

17:55~18:00

まとめ

18:30~20:00

情報交換会 ※参加希望者のみ(別途費用がかかります)

2日目(11月27日)

9:00~ 9:20

1日目の振り返り、GW説明

9:20~11:30

グループワーク

11:30~11:50

講評

11:50~12:00

閉講式・記念写真撮影                      

13:00~

フィールドワーク(東京都世田谷区尾山台)※参加希望者のみ