【終了レポート】令和6年度地方創生実践塾in新潟県燕市

終了レポート

2025年03月26日

まちあそびイノベーション                                 ~~高校生が創る私たちのふるさと~

令和6年8月9日(金)~10日(土)に、「まちあそびイノベーション~高校生が創る私たちのふるさと~」をテーマに地方創生実践塾(以下「実践塾」という。)を開催し、全国の地方公共団体や民間企業等から20人が参加した。

燕市集合写真.jpg

1 開催地概要

 燕市は越後平野のほぼ中央、新潟市と長岡市の中間に位置し、面積110.94㎢、人口76,202人(令和6年6月末日現在)の市である。燕市は県下有数の工業地帯であり、金属洋食器は全国シェア90%を超え、現在も時代のニーズに応える製品を世に送り続けている。

2 開催地の取組 

 市民アンケートで「まちづくり」に対して無関心な若者が多かったことから、若者たちの声を市政に取り入れていくために「つばめ若者会議」を平成23年にスタートさせた。令和2年からは「燕市役所まちあそび部」をスタートし、若者がまちと関わりを持ち、まちを使って遊ぶ「まちあそび」を実施している。

3 実践塾内容

(1)講義「「まちあそび」とは?可能性志向で、まちに向き合う」
   主任講師: 慶応義塾大学SFC研究所上席所員 木村 紀彦 氏

 講義は「今求められているイノベーションとはなんだろうか」という問いから始まった。

 現代社会は昔と比べて公衆衛生といった生活環境は大きく改善しており、暮らしていく上での大きなシステムの変革は必要としていない。全体としては安全・安心・快適な社会を迎えており、暮らしていく上での問題はないが、同時になんだか固くて窮屈な、魅力の少ない暮らしになっていないだろうか。今求められているイノベーションはシステムに変革をもたらすような強いアプローチではなく、固い社会に対して変化をつくるゆるいアプローチであると解説された。

 ゆるいアプローチとは、問題を発見して解決していくものではなく、「こういうことがあってもいいのではないか」といった可能性や面白さを追求していくことである。燕市ではまちづくりに無関心な若者が多いことに対して、『「あそび」のゆるさがあれば、若者がまちと関わる新しい機会をつくれないか』という仮定のもと、まちの資産であそび、まちに潜む面白さを発見・実験するということでゆるいまちづくりを行う「まちあそび」の取組が始まったと解説された。

講義の様子.jpg

(2)フィールドワーク「高校生サミットアトラクション体験」

 当日は燕市役所まちあそび部が主催する高校生サミットに参加した。

 燕市役所まちあそび部を含めて、学生を中心にまちづくりを行う7自治体が参加し、各団体のこれまでの活動をブースごとに紹介していた。参加していた学生は実践塾に参加している大人に対しても堂々と説明を行い、他のブースを回って楽しそうに交流していた。

フィールドワークの様子(1日目).jpeg

(3)講義「ゆるいまちづくりのヒント」
   主任講師:木村 紀彦 氏 特別講師:慶應義塾大学院生 青木 遥大 氏

 ゆるいまちづくりのためのコミュニケーションとは、学生と仲良くなり、仲間として関わっていくことであるが、地方公共団体職員として、大人として学生に対して1歩引いた態度を取ってしまう職員が多い。

 そこで本講義では、地方公共団体職員が学生一緒に活動していくために、仲良くなるために大切なことを、パターン・ランゲージで解説され、次のフィールドワークで学生と関わるシミュレーションを行った。

(4)フィールドワーク
   まちあそび体験in宮町商店街

 高校生サミットの一環で燕市役所まちあそび部が宮町商店街の各所で出展しているブースにて、先ほど学んだゆるいまちづくりのヒントの講義で考えたシミュレーションを元に、学生との関わりを実践するためのフィールドワークを行った。

フィールドワークの様子(2日目).jpeg

(5)グループワーク
    主任講師:木村 紀彦 氏

 グループワークでは先ほどのフィールドワークと全体の感想を共有した。

 フィールドワークのまちあそび体験in宮町商店街では一般の参加者もいたため、なかなか思ったようにコミュニケーションをとることができなかったという意見もあったが、機材トラブルをきっかけに会話が弾んだという意見もあり、各自が学生と仲良くなるための行動ができていた。全体の感想では、地方公共団体では課題に向けて施策を考えることが多いが、「やりたい」「面白そう」で実施することを考えるという、他ではない自由な発想を学ぶことができたという意見があった。

4 おわりに

 今回の実践塾は今までのまちづくりとは一味違う取組であるため、参加者の中には「ほかの地域ではできない取組なのでは」といった意見もあったが、体験したことをただ「燕市だからできた」ではなく、自分の地域で取り組むならどうするべきかという問いを考えるための実践塾であったと感じた。

受講者の声

  • 地域のイベントにおいて楽しそうにしている高校生たちを見て、この光景を自分の自治体でも再現したいと思いました
  • 燕市では「やりたいこと」が「あそび」であったが、自分の地域ではどうだろうかと帰ったら学生と考えてみたい

執筆者

 企画・人材育成グループ    麻岡 翼  (鹿児島県奄美市から派遣)

 企画・人材育成グループ    森  亘輝 (香川県三豊市から派遣)

 地域創生・情報広報グループ  藤田 慶太 (島根県江津市から派遣)

連絡先

セミナー統括課
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:seminar(at)jcrd.jp ※メールアドレスの(at)は@に変更ください。