【終了レポート】令和7年度地方創生実践塾in山口県防府市

終了レポート

2026年01月27日

1泊2日でメディアプロデューサー技法を体得する~WEB・写真・動画を駆使したメディアデザイン~

開催日時:令和7年11月8日~9日

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1 開催地概要

 山口県防府市は、周防国の国府時代から1300年にわたって継承される歴史文化都市である。毛利公が治めた長州藩時代には、海の玄関口としても栄えた。防府天満宮や周防国分寺など、歴史的建造物も多いことから、現在、防府市では、次世代に歴史文化を継承するために体験型観光の活性化に取り組んでいる。

2 開催地の取組

 本実践塾は、地方創生イノベーターのプラットフォームである一般社団法人INSPIREの協力で「まちづくりメディアラボ」として開催した。まちづくりメディアラボは、地域マーケティングにおいて重要な役割を担う地域プロモーションを大きなテーマとし、「たった2日間でメディアプロデューサーになる」ことを目指して、技法の習得をするものである。
 地域プロモーションにおいて、地方公共団体職員や地域おこし協力隊員に求められることは、プロジェクト全体の指揮をとるプロデューサー目線である。多くの場合、プロモーション関連のコンテンツ作成は外部業者に委託されている。その制作におけるディレクターやオペレーターの役割は、専門とする外部業者の力を借りるとしても、プロデューサーの役割は発注者にしか担えない。つまり、地方公共団体職員等がプロデューサーとして適切に外部業者をグリップできるか否かが、その成果物に大きな影響を与えることになる。
 そこで本プログラムは、プロデューサー目線を実践的に体験することを目的に、防府市を舞台に独自の突き抜けた観光コンテンツを考え、自ら写真や動画等の素材集めを行い、Webサイトを作り上げる構成となっている。

3 実践内容

(1)事前セッション(オンライン)「メディアプロデューサー特論」
   主任講師:BBT大学経済学部教授、BBT大学大学院経営学研究科MBA教授、
   一般社団法人INSPIRE代表理事 谷中 修吾 氏

 現地開催前の1031日には、主任講師の谷中氏がメディアプロデューサー特論のオンライン講義を行った。そこでは、現地でのフィールドワークに向けて、必要な基礎知識を習得した。また、谷中氏は、地域マーケティングの全体像から、プロモーションの位置づけを解説し、メディアプロデューサーに必要な視点や基本的な考え方について講義をされた。さらに、画期的な地域プロモーションを行うための発想や企画をスムーズに推進するためのポイントなどについても事例紹介を交えて講義をされた。事例紹介は、画期的なアイデアを生み出してCM作成をした地方公共団体や、歴史上の人物を多用してCM作成をした地方公共団体など、地域資源をいかに魅力的なコンテンツに変えるか、その具体的な手法が数多く示された。

(2)講義「防府市の歴史文化と文化観光について」
   講師:防府市長 池田 豊 氏
 フィールドワークの事前知識を深めるため、池田市長から防府市の歴史と文化観光への取組について講義をいただいた。防府市は1300年の歴史を誇る「歴史のまち ほうふ」として、そのブランディングを図っている。
 市内の主要な観光名所としては、防府天満宮、周防国分寺、毛利氏庭園、阿弥陀寺の4箇所が挙げられる。これらの名所の特徴を示す数字を効果的に用いたポスターが作成されている。具体的には、日本で「1」番目に創建された防府天満宮、約「100」体の仏像を収蔵する周防国分寺、「25,000」坪の広大な敷地に大池泉廻遊式庭園を有する国指定名勝の毛利氏庭園、「4,000」株のアジサイが咲き誇る「西のあじさい寺」として知られる阿弥陀寺である。
 これらのポスターは、市内各所での積極的な掲示に加え、山口宇部空港などでも展開されており、特にJR新山口駅に掲示されたポスターは、観光客から好意的な反応を得られているとのことであった。防府市が有する歴史文化と観光戦略の学べる講義であった。

(3)事前セッション振り返り&ブリーフィング
    主任講師:BBT大学経済学部教授、BBT大学大学院経営学研究科MBA教授、
   一般社団法人INSPIRE代表理事 谷中 修吾 氏

 当講義は、谷中氏による事前セッションの振り返りと、これから始まるフィールドワークへの心構えを説く講義からスタートした。参加者は「防府市の豊富な地域資源を活かして、突き抜けた観光コンテンツを提案せよ」というミッションに挑んだ。
 その実現のため、コンセプト設計から発表まで8段階にわたる実践的なプロセスを学んだ。続いて、頭を柔らかくするユニークなグループワークでは「ついに防府市が振り切った!突き抜けた観光を生み出して国内外からの観光客が爆増!防府市、一体、何をした?」という大喜利のお題に、参加者は次々とアイデアを出し合った。
 このワークを通して、ただ現地へ行くだけでなく「こんなコンテンツが作れるかもしれない」という仮説を持つことの重要性を学んだ。仮説があるからこそ、現場で目的意識を持ってカメラを構え、完成形を見据えた撮影ができることを習得した。さらに、被写体を魅力的に切り取る「二分割構図」や「放射線構図」といったプロの撮影テクニックも学んだ。

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グループで大喜利の回答を検討している様子

(4)フィールドワーク
 フィールドワークは、「突き抜けた観光コンテンツ」を提案するための素材を収集することを目的の一つとして実施した。まず毛利氏庭園を訪れ、谷中氏から撮影テクニックの指導を受け、撮影におけるプロデューサー視点について説明を受けた。
 その後、2つのグループに分かれてフィールドワークを行った。
【HOコース】①阿弥陀寺 ②防府天満宮 ③周防国分寺
【FUコース】①防府天満宮 ②やまぐり鋳物記念館 ③竹内酒造
・阿弥陀寺 :防府市の貴重な観光資源の一つであり、6月には境内に植えられている約4000株のアジサイが咲き誇るほか、約900年前から伝わる熱気浴をする「石風呂」がある。この石風呂は、月に1度、保存会の方によって薪が焚かれ熱気浴が実施されている。
・防府天満宮:石の大鳥居や境内、防府市を一望できる春風楼を見学し、その長い歴史と文化に触れることができた。
・周防国分寺:代表的な仏像や再建の歴史に関する説明を受け、併せて念珠づくり体験を行った。
・やまぐち鋳物記念館:防府市に根付く鋳物文化について学び、梅小皿の制作体験に取り組んだ。
・竹内酒造:防府市唯一の酒蔵見学を行い、銘酒「錦世界」が醸造される工程を通して、地域に根差した産業への理解を深めた。

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毛利氏庭園で撮影テクニックを学ぶ            梅小皿の鋳物を制作体験する参加者

(5)フィールドワークの振り返り、サムネイル作成

 フィールドワークで感じたことや得た気づきをグループ内で共有した。その後、制作するWebページの方向性について意見交換を行い、メンバーからアイデアや助言、フィードバックを受けながら、コンテンツの方針を検討した。
 その後、各自がWebページのサムネイル制作を行った。作業にあたっては、講師の谷中氏から、PowerPointを使用したサムネイル作成方法の説明を受け、作業を進めた。フィールドワークで撮影した写真の中から、自身のWebページのテーマに合致する写真を選定し、写真を加工したりタイトルを付けたりしながら、「突き抜けた」サムネイルとなるよう表現を試みた。

(6)WEB制作
 各自が考える「突き抜けた観光コンテンツ」を表現するWeb制作に取り組んだ。制作ツールにはCanvaを使用した。CanvaWeb制作用のテンプレートが豊富であり、簡易にWebサイトを作成、公開できることから、本ツールを活用した。制作の途中段階では、進捗状況をグループ内で共有し、意見やアドバイスを受けながら、各自がコンテンツのブラッシュアップを行った。

(7)発表、講評
 グループごとに制作したサムネイルおよびWebページの発表を行った。発表後には、谷中氏から「防府の資源を生かした突き抜けたコンセプトを具体化できている。今後もプロデューサー視点でコンテンツの組み立てを行ってほしい」との講評があった。また、防府市副市長の能野氏からも各グループに対して、「提案されたアイデアはいずれも突き抜けており、これまでにない視点だった。これらの提案については、防府市として実現に向け検討したい」とのコメントがあった。
 最後に表彰式が行われ、Cグループが「最優秀賞」、BEグループが防府市の言葉で「とてもいいね」を意味する「ぶちええね賞」、ADグループが「地域活性化センター賞」をそれぞれ受賞した。

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発表の様子                         最優秀賞を受賞したC班

4 終わりに

 写真、動画の撮影テクニックやWebページ制作の方法に加え、メディアプロデューサーの視点から地域プロモーションの実践プロセスを学ぶことができた。特に、「突き抜ける」発想は重要であり、当たり障りのない表現では他のコンテンツに埋もれてしまうという課題を再認識した。
 また、グループワークでは、フィールドワークで得た気づき、素材を基にコンテンツの方向性を議論し、互いにアイデアやフィードバックを出し合いながらブラッシュアップを行った。メンバー間で視点や発想を共有することで、より具体的な表現方法や企画の構築につながり、プロデューサー視点での考え方を実践的に身につける機会となった。

受講者の声

・ツールを正しく使

えばデジタル発信が個人事業レベルでも可能なことを実感できました。
・いかに短時間でインパクトあるお題を見つけてプレゼンできるかを特訓・体感できる講義で、とても良いと感じました。
・初めて地域プロモーションを学びましたが、どのような視点が大切になるのかを理解することができました。また、様々なアイデアや視点を持った方達とワークをすることで私も感化され、面白いアイデアが出せたと感じました!

執筆者

企画・人材育成グループ   姉崎 紗也(福井県福井市から派遣)
企画・人材育成グループ   村畑 茄那(青森県六ケ所村から派遣)
企画・人材育成グループ   飯尾 愛子(静岡県浜松市から派遣)