「終了レポート」SNSを活用したシティプロモーション~すぐに使える!SNS活用術~

終了レポート

2026年02月04日

1 はじめに

 令和 7 年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「SNS を活用したシティプロモーション~すぐに使える!SNS 活用術~」を令和 7 年 11 月 26 日に開催しました。地方公共団体等から 36 名がオンラインで参加し、シティプロモーションにおける SNS の活用術を学びました。 


2 今回のテーマ 

 近年の SNS 活用では、日々変わるアルゴリズムの特性に合わせた戦略的なポストが特に重要になっています。また、リールをはじめとしたショート動画の意味や活用方法についても正しく理解する必要があります。
 本セミナーは、SNS 戦略の基本的な解説から、シティプロモーションやブランディングにどう活用するのかを学ぶことを目的に開催されました。

 
3 講義内容 

(1) 講義「すぐに使える!SNS 活用術」
講師:PRDESIGN JAPAN 株式会社 代表取締役 佐久間 智之 氏 

① SNS の基本
 本セミナーではまず、地方公共団体における情報発信を考えるうえでの前提として、SNS を含むメディア全体の捉え方について説明がありました。地方公共団体が保有するホームページや広報紙といったオウンドメディアは、重要な情報発信基盤である一方、それだけでは情報の到達範囲に限界があります。そのため、無償のアーンドメディアや、有償のペイドメディアを組み合わせて活用することが、現代の情報発信においては不可欠です。情報が過剰にあふれる時代においては、単一の媒体だけでは住民の目に留まりにくく、複数のメディアを連動させた設計が求められている現状が示されました。
 また、SNS は若年層向けのツールであるという地方公共団体側の固定観念について、見直す必要があるとされました。総務省の通信利用動向調査によれば、60 代では 9 割以上、70 代でも 7 割程度がインターネットを利用しており、スマートフォンの利用率も非常に高い水準にあります。このことから、高齢層に対しても WEB や SNS を前提とした情報発信は十分に有効であり、むしろ合理的です。
若年層に限らず、幅広い世代に情報を届けるためには、スマートフォンでの見え方を意識し、縦長の画像やショート動画など、モバイル端末に最適化した表現が重要であると強調されました。 
 SNS 活用において最も重要なのは、「投稿すること自体」を目的にしないことであるとも述べられました。なぜ SNS を使うのか、誰に何を届けたいのかといった点を明確に設計しないまま運用すると、反応は得られにくくなります。「多くの人に知ってもらいたい」といった曖昧な目的設定ではなく、「誰に(Who)、何を(What)、どのように(How)伝えるのか」という 2W1H の視点で、ターゲットやペルソナを具体的に設定することが不可欠であると説明されました。
 さらに、SNS は目的達成のための「手段」であり、インプレッション数といった量的指標だけを追い求めるのではなく、クリック数や滞在時間などのエンゲージメントを高めることが重要であるとされました。一般的にエンゲージメントが高まることで表示回数が増え、結果として認知拡大やフォロワー増加につながる仕組みについても解説がありました。最後に、常に客観的な視点を持ち、住民や外部からどのように見られているかを意識する姿勢が重要であるとまとめられました。
 
② X(Twitter)の活用 
 X の活用については、拡散力の高さとリアルタイム性を活かした情報発信が、地方公共団体にとって有効であると説明がありました。X は、フォローしていない利用者にも投稿が届く可能性があるため、認知拡大を目的とした発信に適している一方、内容が薄い投稿や旬を逃した情報は反応を得にくく、工夫のない投稿は埋もれてしまう点に注意が必要です。
 投稿設計においては、利用者の滞在時間を意識することが重要であり、画像を複数枚掲載することで閲覧時間を延ばす工夫が紹介されました。特に、縦長の画像を 4 枚程度用いることで、全体を確認するために利用者が操作を行い、結果としてエンゲージメントが高まりやすくなる傾向があります。また、内容や目的に応じて、あえて一目で理解しにくい画像を用い、続きを見たいという心理を刺激する手法も効果的であるとされました。
 文章表現では、利用者が検索時に用いる言葉を想定し、漢字・ひらがな・カタカナといった表記の違いを考慮してキーワードを盛り込むことが有効です。箇条書き風の表現は「学びが得られそうだ」という印象を与えやすく、反応が高まる傾向がある点についても、具体例を交えて解説がありました。
 誤字や表現上の誤りが生じた場合には、すぐに投稿を削除するのではなく、スレッドを活用して補足や訂正を行うことが望ましいとされました。突然の削除は、地方公共団体として問題のある投稿を行ったのではないかという不安を利用者に与える可能性があるためです。投稿時間については、行政情報は昼間、PR やイベント情報は夕方以降が比較的反応を得やすくなります。また、あえて正時を避けて投稿することで、反応が高まる可能性があります。自然な印象を与えられるという実践的な工夫も紹介されました。
 投稿時間や内容、反応が得られやすい曜日など、実践的な工夫内容が紹介されました。


③ Instagram の活用 
 Instagram については、視覚的な訴求力を最大限に活かした情報発信が重要であると説明されました。フィード、リール、ストーリーズといった各機能の特性を理解し、目的に応じて使い分けることが求められます。特に新規フォロワーの獲得を目的とする場合には、リール動画の活用が特に効果的な場合が多く、最初から最後まで視聴される構成を意識する必要があります。
 リール動画では、冒頭の 1~2 秒でどれだけ興味を引けるかが重要であり、結論や最も伝えたい内容を最初に提示する構成が有効であると説明されました。動画が長くなると途中で離脱されやすいため、短時間でテンポよく情報を伝える工夫が必要です。また、無音で視聴する利用者も多いことから、字幕を丁寧に入れることや、効果音を適切に用いることで、内容の理解を促進できる点が示されました。
 位置情報の設定については、地域内の利用者に限らず、訪日外国人を含む幅広い層に情報が届きやすくなる効果があります。さらに、保存やシェア、プロフィール閲覧といった行動を促すためには、親指の可動域を意識したデザインや導線設計が重要であり、画像や動画の中に行動を促す一言を自然に盛り込むことで、エンゲージメントの向上につながると説明されました。
投稿頻度については、量を重視するのではなく質を重視すべきであり、短時間での連続投稿は表示順位が下がる可能性がある点にも注意が必要です。Instagram は、共感を生むことが特に重要な媒体であり、人らしさやストーリー性を意識した発信が、地方公共団体の魅力を伝えるうえで効果的であるとまとめられました。 


4 おわりに

 本セミナーでは、効果的な情報発信を実現するため、SNS を中心とした広報の考え方と具体的な実践方法について解説が行われました。SNS は発信すれば自然に情報が届くものではなく、誰に何を届けたいのかを具体的に定め、その対象に適した媒体や表現方法を選択して初めて効果を発揮するものであることが示されました。
 インプレッションやエンゲージメントといった指標を意識しながら、量ではなく質を重視した発信を行うことで、より効果的な広報活動が可能であることが説明されました。
 その他にも、投稿用写真やリール動画の撮り方が具体的に紹介されました。
 本セミナーで得られた知見は、日々の地方公共団体の広報業務に直結する実践的な内容であり、今後の情報発信の見直しや改善に大いに活かせると考えられます。狙いを持った発信を積み重ねることで、地方公共団体と住民との距離を縮め、より伝わる広報の実現に繋がることが期待されます。 

受講者の声 
・これまで SNS の活用におけるセミナーにいくつか参加しましたが、どれも始めるまでのステッ
プやメリットについてのものが大半だったため、今回のセミナーにおけるプログラムは一歩踏み
込んだ内容であり、大変有意義でした。 
・ところどころで別の話題に広げていて、堅苦しくない雰囲気があったので楽しめました。 
・地方公共団体目線での「あるある」も含めて話していただき、分かりやすかったうえ、当機構
でも活用できる視点が多かったです。 
・ペルソナをつくることや、効果的な投稿時間など実践的な具体例を教えていただき、大変ため
になりました。 
・SNS などの情報発信で行き詰まっていたので、基礎を学び直すことと、アルゴリズムなどにつ
いて知識を深めることができて大変勉強になりました。今回学んだことを実践していきたいと思
いますし、ペルソナ設定を早速やっていきたいと思います。 
・来年度から SNS の運用に力を入れようと思っているので、いろいろ学べてよかったです。大変
参考になりました。 


執筆者:地域活性化センター 地域創生・情報広報グループ 
 八重樫 由卯(岩手県北上市から派遣)