【終了レポート】AI×マーケティング思考で地域活性施策の成功確率を高める
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2026年09月08日

1 はじめに
令和8年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「AI×マーケティング思考で地域活性施策の成功確率を高める」を、令和8年7月17日(金)に開催しました。本セミナーには、地方公共団体の職員などを中心に、現地会場8名、オンライン27名、合計35名が参加しました。
2 今回のテーマ
本セミナーは、地域活性化施策にマーケティングの視点を取り入れ、成功確率を高める考え方を学ぶとともに、生成AIを活用した分析・企画・評価の手法を実践的に習得し、再現性のある施策立案につなげることを目的として開催しました。
3 講義内容
(1)講義「地域資源を価値に変えるマーケティング思考」
講師:株式会社なぞる 代表取締役 黒澤 友貴 氏
マーケティングとは、単に商品や地域を売り込むことではなく、「自然と選ばれ、訪れたくなる仕組みをつくること」です。地域マーケティングにおいては単なる来訪者数だけでなく、「認知率=地域を知っている」「好意=訪れたい」「購買意向=地域にお金を使いたい」の状態を増やすことが必要であると述べられました。
また、地域資源を価値につなげるためには、「地域資源を知る」「資源価値を定義する」「価値を届ける仕組みをつくる」「情報を発信する」という4つのプロセスが重要であり、情報発信だけに力を入れても十分な成果は得られません。地域資源を顧客の視点で価値に変え、その価値を継続的に届ける仕組みを構築することが、地域ブランドの向上や持続的な地域活性化につながると強調されました。
その後、成功要因を構造的に分析し、自地域に応用する「マーケティングトレース」の考え方への理解を深めた後、福井県勝山市の事例紹介が行われました。
(2)事例紹介「福井県勝山市」
講師:勝山市観光まちづくり株式会社(勝山DMO) 取締役 今井 三偉 氏
本事例では、既存の施設の集客にマーケティング思考を取り入れ、勝山市に「お金が落ちる仕組み」を構築した具体的な取り組みが3つ紹介されました。
まず、福井県立恐竜博物館に隣接する恐竜グッズ専門店「スーベニアショップ ラプトル」では、アンケートやヒアリングを通じて顧客のニーズを徹底的に分析し、ターゲットを「20〜30代の親子連れ」と、潜在ファン層である「恐竜好きの20代女性」に設定。また、市内のお土産中心だった品揃えを恐竜関連グッズに特化させることで、顧客ニーズを的確に捉えました。
次に、市内の「道の駅 恐竜渓谷かつやま」では、こちらもヒアリング等に基づき、専門店で既に満たされている恐竜コンテンツではなく、スーパーでは手に入らない朝採れ野菜といった地域ならではの価値を提供。観光客だけでなく、地域の方にも寄ってもらえるような道の駅となりました。
最後に紹介されたのは、施設としては大規模であるものの、集客に苦戦していた「越前大仏」の事例です。今井氏は、観光客に何が刺さるのかを徹底的に分析し、壁一面に並ぶ石仏群を「フォトジェニックなスポット」として価値を再定義。そして、ターゲットを外国人観光客に定め、数年にわたり情報発信を続けた結果、外国人来訪者数を前年同期比で20倍に急増させることに成功しました。
今井氏は全体を通して、ターゲット選定におけるプロセスの鍵は、国や県の統計データに加え、アンケートや個別インタビューに基づく緻密な顧客理解にあると説明されました。
(3)講義「AIを活用して地域のマーケティング戦略を考える」
講師:株式会社なぞる 代表取締役 黒澤 友貴 氏
後半のワーク導入前に、AIを活用した地域マーケティングトレースの手法について学びました。AIの活用によって情報収集にかかる時間を短縮することで、人は分析や企画など「考える時間」を増やすことができます。その上で、AIを活用した地域マーケティングでは、「組織資源整理(VRIO)」「ステークホルダー整理」「顧客定義(STP)」「ポジショニング定義」「マーケティングミックス(4P)」の5つのフレームを掛け合わせて考えることが重要です。AIは情報収集や整理、比較、仮説づくりを担い、人は現地を見て背景を理解し、判断・実行する役割を担う等それぞれが分担することで、それぞれの強みを生かした地域マーケティングが実現されると学びました。
(4)ワーク「自地域の施策をAIで再設計する」
講義で学んだマーケティング思考とAIを駆使し、自地域の活性化施策を再設計するワークショップを行いました。
まず個人ワークでは、マーケティングトレースシートを用いて、地域資源の棚卸し、ターゲットの選定、マーケティングミックス(4P)やその具体的な手法を設計。地域の分析にはAIツールを活用し、自身だけでは見落としがちな地域資源を網羅的に把握したり、競合地域と比較した際の強みを客観的に分析したりすることで、短時間で戦略の精度を高めることができました。
その後のグループ内発表では、作成したシートを共有し、「なぜそのターゲットに絞ったのか」「なぜその価値を提供しようと考えたのか」といった戦略の背景について意見交換。このプロセスを通じて、自身の施策を客観的に見つめ直し、より実践的な戦略へと磨きをかける機会となりました。
4 おわりに
今回のセミナーでは、地域マーケティングの考え方と、AIを活用した戦略立案の手法について理解を深めることができました。特に、フレームワークを活用しながら地域資源を「誰に」「どのような価値を届けるのか」を整理・分析し、効果的な施策につなげるための考え方や手法を学びました。また、AIと人それぞれの強みを生かしながら地域資源の価値を届け、より効果的な地域活性化につなげていくことが重要であり、今後の業務でも積極的に活用していきたいと感じました。
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受講者の声 |
執筆者:地域活性化センター 企画人材・育成グループ
川﨑 ちなみ(大阪府から派遣)
石川 秀哉 (福島県から派遣)
連絡先
セミナー統括課
TEL:03-5202-6134
FAX:03-5202-0755
E-mail:seminar(at)jcrd.jp ※メールアドレスの(at)は@に変更ください。