【終了レポート】平成30年度 第1回地方創生実践塾(島根県海士町)

地方創生実践塾 終了レポート

2018年03月07日

 平成30年度第1回地方創生実践塾 in 島根県海士町
「海士町の地方創生 "ないものはない" 離島からの挑戦」

 平成3061日(金)~3日(日)までの3日間、現代の地域社会が抱える課題へ独自のチャレンジを続ける島根県海士町で、「海士町の地方創生"ないものはない"離島からの挑戦」をテーマに、平成30年度第1回目の地方創生実践塾を開催しました。今回は全国各地から自治体職員など35名のご参加をいただきました。

62日(土)】

実践塾開始に先立ち、海士町総務課長(現海士町副町長)の吉元操氏から歓迎のごあいさつをいただきました。

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講義「意志ある未来に向かって~ないものはない~離島からの挑戦」

 講師:前海士町長 山内 道雄 氏

    海士町総務課主査 地域×教育魅力化特命担当 濱中 香理 氏

 前海士町長の山内道雄氏から、少子高齢化や過疎化、財政状況の悪化などの課題に対して、海士町が実施した給与カット、CAS凍結システムの導入、県立隠岐島前高校魅力化プロジェクトなどの取組についてご講義いただきました。
 その後、海士町総務課主査の濱中香理氏から、これからの海士町の地方創生戦略に関するご説明をいただきました。「島だからできない」ではなく、「島だからできること」に目を向けて挑戦していく姿勢からは、全国各地の自治体での取組に係る示唆を得ることができました。

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フィールドワーク1 産業関連施設視察

 「島生まれ、島育ち」を掲げたブランド牛「隠岐牛」の飼育・出荷を実施する「有限会社 隠岐潮風ファーム」の隠岐牛飼育施設、海士町の岩ガキブランド「春香」を取り扱う「海士いわがき生産 株式会社」の岩ガキ作業施設を視察しました。恵まれた海士町の自然環境を活かしながら、首都圏等で通用する特産品を生み出すための創意工夫などを学ぶことができました。

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フィールドワーク2 教育関連施設視察

 産業関連施設の視察に引き続き、コミュニティスペース「あまマーレ」、島まるごと図書館構想の中核を担う「海士町中央図書館」、高校魅力化プロジェクトで名高い島根県立隠岐島前高等学校の学生寮として活用している「島前研修交流センター三燈(さんとう)」といった教育関連施設を見学しました。
 あまマーレや海士中央図書館はそこで時間を過ごしたいと感じさせる空間づくりや、廃校(旧保育園)利用に係るヒントを得ることができました。
 また、隠岐島前高校の学生寮では実際の高校生からご案内をいただき、学生のみなさんの活き活きとした姿や自立した姿勢から、隠岐島前高校・海士町の魅力を感じとることができました。

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講義・ワークショップ「地域の未来を切り拓く人づくり」

 主任講師:隠岐國学習センター センター長 豊田 庄吾 氏

 フィールドワーク後、会場を隠岐國学習センターに移し、主任講師の豊田庄吾氏から高校の魅力化プロジェクトの取組を進めていく上での工夫や乗り越えた壁などに関する説明をいただいたほか、地域で新たな生業・継業を創り出せる人材(地域起業家的グローカル人材)の考え方をご講義いただきました。
 少人数のホームグループを作り、グループごとに学びを深めるために自分が意識したいことや地域づくりにおいて重要だと思う視点を共有したりといったワークショップを交えながらの講義形式で、各グループの中で活発な意見交換がなされました。
 豊田氏のお話にあった「海士町での取組は『成功事例ではなく挑戦事例』である」との言葉から、取組の成果はゴールではなく新たなスタートであり、常にチャレンジしていく姿勢の重要性を感じることができました。

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63日(日)】

ワークショップ「あるものを活かしきる」

 主任講師:株式会社巡の環 代表取締役 阿部 裕志 氏

 海士町を舞台に「これからの新しい生き方」を学ぶ学校づくりに取り組む、株式会社巡の環代表取締役の阿部裕志氏を講師に迎え、まずは誰もが聞き手にも話し手にもなれる変則型のパネルディスカッションを行い、海士町のまちづくりの根底にある「海士らしさ」がどのような考え方で、どのように自身の地域での課題解決に活かせるかを議論しました。
 
続いて、受講生の宿泊先であった「マリンポートホテル海士」を舞台に海士ならではの手法によるホテル魅力化をテーマとしたグループワークを実施しました。各グループで意見を取りまとめた後には、実際のマリンポートホテル海士社長を前に各グループの改善案の提案を実施しました。発表内容は参加者の皆さまの個性が活かされており、自分自身では気づかなかった観点からの学びを得ることができました。

 発表後には3日間の気づきをまとめるための時間が設けられ、参加者の皆さまがそれぞれの地域において、どのような活動を、どのような気持ちを持って取り組んでいくかについて「自分への約束」をグループや全体で共有しました。この時間によって、海士町で見聞きしたことを自分の地域にどう落とし込むかを整理することができ、地方創生実践塾での学びをより豊かなものにすることができたように思います。

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講評

 実践塾の結びとして主任講師の豊田氏、阿部氏から、今回の実践塾を通じて「自分の心に火をつけるのは自分。日々頑張っている自分を褒めるような自己肯定感を持って仕事をしてほしい。ただ、今回見ていただいた海士町の事例はどの自治体にも当てはまるものではない。それを持ち帰り、どのように活かせるかを考えていただきたい。」とのご講評をいただきました。
 今回の実践塾は、海士町で行われている地方創生への取組についてはもちろん、海士町のまちづくりへの考え方やストーリーに触れることで、参加者のみなさまが自分の地域で今後どのような活動を進めていくことができるかを考える大変貴重な機会となりました。

最後に参加者の方から頂いたお言葉の一部を紹介します

・弱点を逆手にとって特色を武器に戦っている感じがした。我々も負けとられん。

・ネット上では知る事の出来ない現場の方の人間性やあつい気持ちを感じ、地域づくりと人づくりの関係性を感じた。

・感動したくて、熱い心にふれたくて海士に来たように思います。私は私の地域で人と向き合い、汗かいていこうと思います!!

・北海道から沖縄まで全国の方と話すことが出来て良かった。海士町の取り組みや考え方も非常に参考になりました。

・「意志ある未来に向かって」とても心にひびく言葉でした。人口減という確実に迎える社会をなりゆきにまかせてしまうと何もしなかったことの後悔が残ると思いました。
 不確実なことが多い未来へ具体的な意志を描いていきたいと思います。

カリキュラム

6月1日(金) 

集合:マリンポートホテル(19:00 受付)

6月2日(土)

9:00~9:15   開講式
9:15~10:45   講義
       「意志ある未来に向かって~ないものはない~離島からの挑戦」
        山内 道雄 氏(海士町長)、濱中 香理 氏(海士町職員)
10:50~12:35 フィールドワーク1(産業関連施設)
       ・有限会社 隠岐潮風ファーム 隠岐牛飼育施設
       ・海士いわがき生産 株式会社 岩ガキ作業施設
13:45~15:20 フィールドワーク2(教育関連施設)
       ・あまマーレ
       ・海士町中央図書館
       ・隠岐島前高校 島前研修交流センター三燈
15:20~18:20 講義/ワークショップ
       「地域の未来を切り拓くひとづくり」
        豊田 庄吾 氏(隠岐國学習センター長)
18:30 交流会

6月2日(日)

9:00~13:00  ワークショップ
       「あるものを活かしきる」
        阿部 裕志 氏(株式会社 巡の環 代表取締役)
13:00~13:30 発表・講評
13:30~14:00 閉講式

講演者紹介

山内 道雄 氏

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前海士町長

1938年海士町生まれ。NTT島根通信機器営業支店長、第三セクター 株式会社海士 総支配人を経て、海士町議会議員に当選。2期目に議長就任。2002年町長に初当選。第三セクター 株式会社ふるさと海士社長を兼ねる。
敢えて単独町制を選択し、大胆な行財政改革と地域資源を活用した「守り」と「攻め」の戦略で、離島のハンディをアドバンテージに、島興しに奮戦された。

著書:離島発生き残るための10の戦略(生活人新書・NHK出版)/未来を変えた島の学校(共著・岩波書店)

豊田 庄吾 氏

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隠岐國学習センター長

1973年福岡県大牟田市生まれ。情報出版会社、人材育成会社を経て2009年11月海士町に移住。
廃校の危機に直面していた島根県立隠岐島前高校の再興を行う『島前高校魅力化プロジェクト』に参画し、学校地域連携型公立塾『隠岐國学習センター』を立ち上げる。学校と地域が一体となった人づくりの実践者として、人口減少地域の未来を切り拓く「意志ある担い手」を輩出する『現代版松下村塾』を創るべく挑戦中。

現在、総務省地域力創造アドバイザー、島根県社会教育委員を務める。

阿部 裕志 氏

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株式会社 巡の環 代表取締役 / 地域づくり・教育事業プロデューサー

愛媛県生まれ愛知県育ち。京都大学大学院(工学研究科)修了後、トヨタ自動車入社。生産技術エンジニアとして新車種の立ち上げ業務に携わる。しかし現代社会の在り方に疑問を抱き、新しい生き方の確立を目指して入社4年目で退社。2008年1月「持続可能な未来へ向けて行動する人づくり」を目的に株式会社巡の環を仲間と共に設立。2011年4月より海士町教育委員に就任。大学在学中から自給自足できるようになることを目指し、アウトドアや農業を通して大自然の雄大さ、命のありがたみを学ぶ。海士に来てからは素潜りにハマる。