【終了レポート】令和3年度地方創生実践塾in島根県海士町

地方創生実践塾 募集終了 終了レポート

2022年01月28日

失敗を原動力に!海士町的挑戦と風土づくり~小ネタが紡ぐ現在と未来~

令和3年12月4日(土)に、近年多くの移住者を受け入れ、産業振興や教育分野で様々な取組を展開する島根県海士町において「失敗を原動力に!海士町的挑戦と風土づくり~小ネタが紡ぐ現在と未来~」をテーマに地方創生実践塾を、天候の都合からオンラインで開催しました。大学生や金融機関職員、自治体職員など5名の方に参加いただきました。

【令和3年12月4日(土)】オンライン

実践塾開始に先立ち、特別講師である海士町長の大江和彦氏より、歓迎のご挨拶をいただきました。

特別講師の海士町役場の人・学び・還流コーディネーターの豊田庄吾氏が本実践塾のファシリテーターを務めました。参加者は、オンラインのチャット機能を活用して、参加者の「今の緊張度」や「海士町のことをどれだけ知っているか」を5段階で表現するアイスブレイクを間に挟みながら、自己紹介を行い、本実践塾で学びたいことを和やかに語り合いました。

講義①「意志ある未来に向かって~ないものはない~離島からの挑戦」
講師:濱中 香理 氏(海士町人づくり特命担当課長)

主任講師の濱中氏から海士町の概要や歴史、隠岐島前高校の高校魅力化プロジェクトやいわがき春香のような島ブランド開発をはじめとした様々な取組に海士町がなぜ挑戦することができたのかをご講義いただきました。
平成の大合併時に、住民との対話を通して、悩んだ末に隠岐島前3町村(海士町・西ノ島町、知夫村)の合併ではなく、単独町制を選択したことにより住民や町職員に「自分たちの島は自ら守り、島の未来は自ら築く」という地域づくりへの当事者意識が芽生えたことが語られました。そこから生き残りをかけた山内道雄前町長や当時課長だった大江町長などリーダーの多様な挑戦が始まり、その過程では若者をはじめとした島外の人たちとの交流を重ね、次第に地域に「あるもの」を磨き上げてきました。
濱中氏は海士町のスローガンである「ないものはない」には「なければ創れば良い。みんなで創る過程にこそ意味がある」という意味も含まれていると仰っていて、町職員だけでなく住民や移住者たちが一緒になって島ブランドなど新たな価値を創り上げてきた実践が、海士町に移住者が集まり、新たな挑戦が生まれる風土づくりにつながっていることを学ぶことができました。

講義②「KNT(小ネタ理論)」
講師:中村 寛樹 氏(東京大学社会科学研究所准教授)

特別講師の中村氏からは、東京大学社会科学研究所長の玄田有史教授などが提唱する「KNT(小ネタ)理論」についてご講義いただきました。
KNT理論とは、「人口が減っても、地域はそう簡単になくならない。小ネタが尽きると、あっという間に地域は衰退していく」という考え方で、小ネタとは小さな話題やきっかけ、兆しなどを意味し、住民の日常会話や日常のちょっとした面白いコトなどがそれに当たります。これと反対にあるのが、大ネタと呼ばれる大規模な開発・改革などで、大ネタが成功するには小ネタを組み合わせる必要があり、地域の魅力的なストーリーは小ネタの積み重ねによって生まれると語られました。
地域活性化や地方創生施策では、大きなイベントや施設建設に注目が集まりますが、地域の生活に根差した小ネタを大事にすることにより、地域独自の魅力を生み出すことができると学びました。

パネルディスカッション「海士町長との対談」                                                                                   講師 大江 和彦 氏(海士町長)                                                                                                                          講師 濱中 香理 氏(海士町人づくり特命担当課長)                                                                               講師 中村 寛樹 氏(東京大学社会科学研究所准教授)                                                                        講師 豊田 庄吾 氏(海士町 人・学び・還流ジェネレーター)

海士町長の大江氏を交えて、2つの講義を踏まえ、海士町の取組と小ネタの関係を深掘りする講師陣の対談が行われ、コーディネーターは豊田氏が務められました。

対談の中で、海士町が挑戦できた背景には財政が厳しくなった時代に町長や管理職、一般職員が自主的に給与削減する身を削る姿が、住民に町の財政改革に臨む本気の姿を示すことができ、その時に町と住民で一体感が生まれたという話がありました。

大江町長は、行政主導の大きな改革には往々にして住民の関心が向かわず、住民と行政に空いた隙間が大きくなると成功しないことから官民一緒に取り組むことを意識しながら町政運営をされてきました。こうした経験から小ネタは人に寄り添い、関わり続けることで生まれるものではないかと仰っていました。

対談の最後に、大江町長や濱中氏は「とりあえずやってみること」が大事だと仰っていました。海士町は様々な取組を展開していますが、どの取組も勇気を出して一歩踏み出したことで現在につながっていることが分かり、まずは行動する大切さを学びました。

トークセッション・個人ワーク

最後に、参加者の学び足りない部分を補うトークセッションと、地方創生実践塾の学びをどのように自分と結びつけるかという個人ワークを行いました。
トークセッションでは、海士町が様々な仕掛けづくりをして地域の人と島外の人が関われる機会を増やしていて、その仕掛けにも自由に考え、行動することができる余白を作ることで、参加する人が主体的に考え、関わるきっかけになっているお話が印象的でした。

さいごに

オンラインではありましたが、海士町の熱気が画面越しに伝わってきた地方創生実践塾でした。                                                            海士町で挑戦されている方々のように、人に寄り添うことを大切にして、人や地域の中にある小ネタを見つけて、生かせるように頑張ります。

「大人の島留学プロジェクト」の△マークで集合写真 ~参加者でなく参画(△)者に~.jpg

「大人の島留学プロジェクト」の△マークで集合写真 ~参加者でなく参画(△)者に~

カリキュラム 

<12月4日(土)>オンライン

1.開講式
2.受講者自己紹介
3.講義①「意志ある未来に向かって~ないものはない~離島からの挑戦」

  主任講師 濱中 香理 氏
4.講義②「KNT(小ネタ)理論について」

  特別講師 中村 寛樹 氏
5.パネルディスカッション「海士町長との対談」
  特別講師 大江 和彦 氏
  主任講師 濱中 香理 氏
  特別講師 中村 寛樹 氏 
  特別講師 豊田 庄吾 氏        

6.大人の島留学生とのグループワーク

7.トークセッション
8.個人ワーク
9.まとめ
10.閉講式     

連絡先

セミナー統括課
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:seminar@jcrd.jp