【終了レポート】令和7年度地方創生実践塾in埼玉県横瀬町

地方創生実践塾 終了レポート

2025年12月10日

日本一チャレンジする町で持続可能なまちづくりを学ぶ~地域おこし協力隊との連携で地域を変える~

開催日:令和7年9月25日~27日

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1 開催地概要

 横瀬町(よこぜまち)は、埼玉県の西部、秩父郡に位置する人口約7,500人(2025年現在)の小規模地域である。秩父市の東隣にあり、地理的には秩父盆地の一部を形成し、町域の約75%が森林で占められる。武甲山(ぶこうさん)をはじめとする自然資源に恵まれ、観光・農業・林業が主要な産業となっている

 

2 開催地の取組

 人口減少が続く横瀬町では、町の未来を変えるために「日本一チャレンジする町、日本一チャレンジを応援する町」を掲げ、官民連携施策「よこらぼ」を展開してきた。企業連携だけでなく地域おこし協力隊などの外部人材とも連携しており、"人"が中心の持続可能なまちづくりをしている。

3 実践塾内容

9月25日(木)

(1)町の協力隊運用の説明 小峯 佑造 氏

 横瀬町では、平成29年4月から地域おこし協力隊制度を活用しており、現在、22名が地域おこし協力隊として活動している。制度に期待する効果は、隊員の自己実現や生きがいの創出である。地域おこし協力隊を採用することで、地域はよそ者、若者の新しい視点から影響を受け、行政は人材の定住・定着や、行政だけでは対応が難しい分野にも、柔軟に取り組んでもらえるという利点がある。
 隊員着任のきっかけづくりとして、インターン制度や2泊3日の体験プログラムを実施しており、令和7年度はすでに18名が参加している。
 協力隊の活動形態は主に2つあり、個人事業主として町と個別に業務委託契約を結ぶ「個人委託型」と、会社・団体等が隊員を受け入れ雇用する「団体等受入型」である。
 こうした多様な受け入れ体制により、隊員一人ひとりの強みを活かした地域づくりが推進されている。

(2)講義「日本一チャレンジする町 横瀬町の取り組み~地域おこし協力隊との連携で地域を変える~」

   講師:横瀬町まち経営課 連携推進室長 田端 将伸 氏

 横瀬町は、人口減少という予見可能な課題に対して、多様な官民連携の仕組みを通じた地域再生に取り組んでいる。
 町の最大の課題は人口減少であり、今後の戦略的取り組みを想定しない場合、2060年には2600人まで減少する見込みである。こうした中、町では「トライアルの場数を増やす」ことを重視し、行政だけでは対応できない時代に備えて、外部との連携を推進している。
 町の未来を変えるため、外部からヒト・モノ・カネ・情報を継続流入させ、化学反応・活性化を促す。その代表的な取り組みが「よこらぼ」である。「よこらぼ」は、まちづくりの実践や実証試験を行えるチャレンジフィールドであり、外部からの提案に対して審査会を実施し、採択している。これまで7年間で234件の提案があり、うち141件が採択された。提案の約70%以上は東京都を拠点とする人々からのものであったという。採択された141件のうち、5件のみ予算措置があり、それ以外は行政が伴走するかたちで進めたという。
 「よこらぼ」事業の一つ一つは小さくても、やり続けた結果「よこらぼ」以外のチャレンジも次々と生まれており、チャレンジがチャレンジを呼ぶ好循環となっていると語る。
 地域商社(株)ENgaWAは、13名中11名が地域おこし協力隊で構成されており、「縁」「援」「円」の3つの輪を軸としている。全てを繋げ、地域に経済・価値循環を生み出す地域商社として設立された。農業や食をテーマとした「チャレンジキッチンENgaWA」の運営、地域産品の販売、棚田保全活動、彼岸花イベントなどを展開し、地域内での経済循環と景観保全を目指している。
 町では、完成された地方公共団体ではなく「未完成」であることを強みと捉え、小さな実践を積み重ねながら新しいまちづくりを進めている。

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(3)講義「地域おこし協力隊~創設の思い出と制度飛躍への視点~」

   講師:一般財団法人地域活性化センター 特別顧問 椎川 忍 氏

 地域おこし協力隊制度は、「全く縁のない若者が地方に行く」ことを支援するものではなく、「地方に縁のない人が地方に行ってみる」ことを促進するために創設された。
 この制度では、最大3年間の活動が可能で、月額16万5千円(創設当初)の所得補償が設けられたことが大きな特徴であった。ただし、地域に移住しただけの人と、協力隊として移住した人との間で不公平感が生まれることを防ぐため、活動実績の報告や、HP等での情報公開を義務づけ、地域住民の理解と納得を得る工夫がなされた。
 制度開始当初は苦戦し、初年度は隊員数がわずか89名ほどだったが、制度の丁寧な改善を積み重ねた結果、現在では全国で8,000人を超える規模にまで成長している。
 椎川氏は、制度創設から15年が経過した今こそ、「地域おこし協力隊2.0」への進化が必要だと述べる。活動補償期間についても3年に限定せず、地域や活動内容に応じて5年など柔軟に設定できるようにすることが望ましいという。また、伝統産業の継承のように、信頼や技術の引き継ぎに時間を要する分野では、より長期的に地域おこし協力隊として活動できる期間を設けた制度運用が不可欠である。
 さらに、現在は別枠で扱われている集落支援員についても、地域おこし協力隊の枠組みに含めるべきであり、制度間の区別をなくし、現場の実態に即した運用を目指すべきだと語られた。

(4)講義「地域おこし協力隊制度について」

   講師:総務省自治行政局地域力創造グループ地域自立応援課 課長補佐 藤岡 茉耶 氏

 地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が「地域おこし協力隊員」として委嘱。隊員は、一定期間(概ね1~3年)、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取り組みである。
 令和6年時点で協力隊は7,910人おり、約4割が女性で、主に20~40代だが年齢層は幅広い。外国人や、ALT(外国語指導助手)として地域に関わっていた人が制度緩和により住民票を移さず協力隊となる例もある。
 活動分野も多様化しており、地域活動支援に加え、スポーツ、事業承継、環境保全、ジビエなど幅広い分野で展開されている。
 協力隊の約7割が任期後も地域に定住しており、多くが地域で生業を見つけ、起業や複業などを通じて自立している。
 定住のためには、3年間で地域との信頼関係を築くことが重要とされる。制度には総務省からの財政支援があり、募集経費として最大350万円、活動経費として最大550万円が支給される。また、任期終了後に起業・事業継承する場合には最大100万円の支援が受けられる。
 ミスマッチ解消と協力隊希望者の増加を目的とした「お試し地域おこし協力隊」や「地域おこし協力隊インターン」も実施されている。
 地域おこし協力隊経験者のネットワークによる支援では、地域おこし協力隊員や地域おこし協力隊制度に取り組む地方公共団体に対し、都道府県単位の地域おこし協力隊経験者によるネットワーク(「都道府県ネットワーク」)や、総務省が実施する「地域おこし協力隊全国ネットワーク」により、重層的にサポートする環境を整備している。
 制度の運用にあたっては、三方よしの視点から地域と協力して受け入れる体制づくりが求められる。

(5)講義「地域おこし協力隊と地域づくり~攻めと守りのバランスを考える~」

   講師:徳島大学大学院社会産業理工学研究部 教授 田口 太郎 氏

 田口氏は、地域の課題は本当に人口減少なのかという問いを投げかけ、人口が増えている東京でさえ閉塞感があるように、課題の本質は人口ではなく、個人が生きがいを感じられるまちかどうかだと指摘した。
 地方公共団体の財政が厳しくなり、市町村合併が進むなかで行政が衰退し、地域も少子高齢化で担い手が減っていく状況がある。こうして生まれた隙間を田口氏は「自治の空白」と呼ぶ。国や地方公共団体が担っていたことが財政難で地域に押し付けられ、双方が嫌だと感じる状況が自治の空白を生み、それが地域の不安として積み重なっていく。この空白を埋める人として、関係人口や移住者がある。
 地域おこし協力隊は公共事業であり公益性が求められる以上、今後担い手となるかどうかが求められる。地域に「いてくれてよかった」と思ってもらえることが大切だが、最近は地域とかかわりを持たない協力隊も増えており、それでは地域の理解を得られなくなる。いかに地域に納得感のある活動を生み出せるかが問われ、良い関係が築くことが重要だ。
 移住者のタイプによって地域の反応は異なるため、その地域ではどのタイプが受け入れられやすいか仮説を持つこと、地域側が受け入れ態勢を持つことが重要である。協力隊制度が手厚く、どこでも比較的簡単に協力隊を始められる一方で、十分考えないまま導入されるリスクもある。協力隊は全国の地方公共団体からその地域を「一番」として選んだ存在であり、そのことを地域に伝えて、地域の気持ちを高めるべきだとした。
 地域の人の気持ちと外から来た人の気持ちのズレを埋めることも大事である。地域と協力隊にはそれぞれ活動の"肝"と"許容範囲"があり、それが一致すれば理想だが、往々にしてズレが生じる。隊員にとっては大切なことでも地域側には受け入れられない"地雷"になることがあり、これを言語化し擦り合わせるだけでも大きな効果がある。お互いに歩み寄ることが欠かせない。
 最後に田口氏は、地域づくりは「代謝を内包した持続性」が重要であり、人材が入れ替わることで新しい風が生まれると述べた。固い繋がりは新規参入を妨げるが、適度な"隙"があれば新しい挑戦が生まれやすく、代謝が促される。横瀬町の新しいチャレンジを受け入れる姿勢が、地域をどんどん代謝させていくはずだと話した。

(6)トークセッション(横瀬町地域おこし協力隊)

   ENgaWA 鈴木 七海 氏、堀口 万綾 氏

 (株)ENgaWAは横瀬町の地域商社である。団体等受入型の地域おこし協力隊員のほとんどが(株)ENgaWA に所属し、社員の13名中11名が隊員で構成されている。鈴木氏、堀口氏も地域おこし協力隊員で、それぞれ東京から移住してきた。横瀬駅の目の前にある駅前食堂でのチャレンジ営業や、農業に取り組んでいる。本講義後には、チャレンジキッチンENgaWAでの交流会を実施し、横瀬町の食材を使用したメニューが並ぶお弁当を提供いただいた。チャレンジキッチンENgaWAは、地域のオープンスペースとして、月に数回飲食営業を行っているという。

9月26日(金)

(7)フィールドワーク(駅前食堂~エリア898~ウォーターパーク~寺坂棚田)
   講師:横瀬町まち経営課 連携推進室長 田端 将伸 氏

 地域商社(株)ENgaWAの取り組みについて、現地を視察した。
駅前食堂は、閉店した施設を(株)ENgaWAが引き継いで運営している。地元横瀬町産の食材を使用したメニューを提供し、施設内では地域で作られたお土産の販売も行っている。もともとランチのみ営業を行っていたが、住民の発案・運営により、週に数回、間借りのモーニング営業を導入したほか、協力隊員による夜営業も行うなど、様々な営業スタイルにチャレンジしている。

 エリア898は、JA旧直売所跡地を利活用してつくられたコミュニティ施設。898=ヤクバのとおり、横瀬町役場が管理している。隣のスペースには(株)ENgaWAが運営する宿泊付きのコワーキングスペース「Lab横瀬」があり、どちらも地域おこし協力隊が運営業務を担っている。町民と町民、町民と横瀬でチャレンジする人たちが交流できるにぎわいの場を創出していた。

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 ウォーターパークは、夏に子供たちの遊び場になっているが、土砂崩れにより一部封鎖されたエリアもあり、再開発を目指している。

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 寺坂棚田は、町民の高齢化により手放される田んぼを()ENgaWAが引き継ぎ、隊員が田んぼで稲作に取り組む。寺坂棚田には、棚田の景観と田んぼの周りに咲く彼岸花を楽しむ観光客が訪れる。その景観を残すために取り組み、価値循環を生み出している。

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(8)他地域の地域おこし協力隊の取り組み紹介
  宇田川 翔 氏、鮫ノ口 いくみ 氏、宮薗 由理菜 氏、石井 絵美子 氏

 本実践塾に参加した協力隊員4名の活動を紹介後、協力隊の活動についてトークした。
今回のトークセッションには、着任して1年目となる地域おこし協力隊員4名が登壇した。4名のミッションはジビエ活用、移住・定住、関係人口の創出など様々。
 トークセッションでは、実践塾に参加者・講師として関わる協力隊の先輩へ質問を投げかけ、退任後の進路や地域での暮らしについて率直なアドバイスを受けた。
 はじめに、主任講師の田端氏から4名へ、着任前のイメージと実際の活動との違いについて質問が投げかけられた。宇田川氏は、以前にも別地域で協力隊として活動していた経験を持ち、「活動内容は似ていても、雇用形態が変わったことで活動の幅が大きく広がった」と語った。
 また、登壇者からは「退任後の進路を誰に相談できたか」という質問を投げかけ、協力隊に着任して3年目の小松原氏が答えた。小松原氏が活動する地域には、協力隊と行政の間に支援組織が存在し、その組織が相談を受ける役割を担ってくれた。組織が無かったら相談はできなかったかもしれないと話す。
 さらに、登壇者からは都市部から条件不利地域へ移住したことでの生活面のギャップについても触れられた。近隣住民との距離の近さにカルチャーショックを受け、プライベートが筒抜けになるように感じる場面もあったという。田端氏は、協力隊の活動への期待から地域の人々は注目してしまうかもしれないと答えた。しかし、野菜のおすそ分けをしてくれるなど、地域ならではの良い関わりも多いと語られた。

(9)専門相談員の取り組み紹介

   講師:地域おこし協力隊サポートデスク 専門相談員/一般社団法人しまね協力隊ネットワーク 代表理事 三瓶 裕美 氏
      地域おこし協力隊サポートデスク 専門相談員 鍋島 悠弥 氏

 2名はそれぞれ過去に地域おこし協力隊員として活動し、現在は地域おこし協力隊サポートデスク専門相談員として、現役の地域おこし協力隊員、行政職員からの相談に対応する。
 本講義では地域おこし協力隊制度における着任時に描いていたイメージと活動のミスマッチをテーマに話した。
 三瓶氏は、協力隊として活動していた当時のロードマップを紹介し、自身の活動のミスマッチや地域・行政とのかかわり方に悩んだ経験を語った。募集段階のミッションが適切に設計されていなかったため、当初とは異なる活動を行うことになった。こうしたミスマッチにより、地域や行政とのコミュニケーションや定住に対して不安が生じ、活動への肯定感が低下していったという。
 しかし、活動を振り返り、苦労もあったが、協力隊の制度に助けられたという。同時に制度活用の改善が必要だと感じたことから、現在は地域おこし協力隊サポートデスクとして行政と現役協力隊員からの相談対応を担っている。また、島根県地域おこし協力隊ネットワークを立ち上げ、協力隊員同士がつながって支え合うことをサポートしている。
 地域おこし協力隊制度は関係者が改善を重ねながら続いてきた制度であり、初任者研修や基礎研修を通じて隊員と行政職員が制度を正しく理解することが重要だ。協力隊員・行政・地域という異なる立場の三者が目線を合わせ、三方よしの関係を築くことが、より良い地域おこしにつながると語った。
 鍋島氏は、地域おこし協力隊制度におけるミスマッチの原因について、行政側の「企画設計力の弱さ」を指摘した。協力隊員自身が抱える課題が原因となる場合もあるが、その背景には採用時の企画や設計が十分に練られていないことが関係する。行政側が制度の趣旨を理解し、企画設計を丁寧に行うことがミスマッチを防ぐ上で重要になる。
 一方、協力隊制度を支える担当職員の負担も大きい。行政が求める協力隊像と地域が求める協力隊像の板挟みになった結果、募集内容が十分に練りきれないことがある。
 こうした課題に向き合うためには、行政がまず「なぜ協力隊を導入するのか」という目的を整理することが大切だ また、地域の住民が必要としている役割を行政が把握できているかも重要になる。行政は成果指標や実績を重視してしまうが、地域住民にとっては「地域のために真摯に関わってくれる存在」に価値がある。
 近年では、協力隊制度を行政課題の人的補填のように扱われる例も見られると指摘した。地域課題と行政課題が混同され、行政の業務がミッションとなることで協力隊が地域での定住への意欲が失われてしまう。そのためにも、「このミッションは地域のための取り組みになるのか」を明確にしておくことが重要である。地域も行政も懸命に取り組んでいるが、どうしても力が足りない部分を協力隊に手伝ってもらうという構図を丁寧に示すことで、制度の本来の意義がより伝わり、協力隊員もイメージしやすくなる。

(10) 講義「横瀬町が必要とする人材とは」

    講師:横瀬町長 富田 能成 氏

 富田町長は横瀬町出身で、父親が村長を務めていた家庭に育った。大学時代の友人の事故死をきっかけに自身のやりたいことを考え、世界一周旅行を行った。ここで世界中が資本主義に組み込まれている状況を実感し、さらに深く知りたいと考え銀行員として働いた。43歳の時、同級生の父親が突然死したことから再度自身のやるべきことを深く考え、故郷の再生のために政治への道を志した。
 町政においては、資本主義の必要性を認めつつもアンチテーゼ的な視点を持ち、「小さな町から未来を創造するプロトタイプ」を目指している。横瀬町の「何もない」ことや条件不利地域であることを逆に強みと捉え、しがらみが少なく、新しい取り組みがしやすい環境を活用している。また、町内に多様なコミュニティを作り、誰もが心理的障壁なく所属できる仕組みづくりを進めている。
 横瀬町が求める人材は、スキルや肩書きよりも「この町で幸せになろうとする人」であり、自らの幸せと地域社会の進歩を重ねて考え、行動できる人物である。また、既存の枠組みにとらわれず、新しい価値観や実践を生み出すチャレンジ精神を持つ人材を求めている。

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(11) トークセッション&質疑応答(横瀬町長・専門相談員・他の地域おこし協力隊)

 トークセッションでは、地域づくりにおける公務員の役割や地域おこし協力隊制度の運用などについて多面的な議論が展開された。地方公共団体ごとの規模や職員の調整能力によって、協力隊制度の成果が大きく左右されること、属人的な運営の課題や、首長や担当職員の意欲が制度運用に強く影響する実態も語られた。
 協力隊と受け入れ側のミスマッチ防止策としては、制度導入の目的や目標を地方公共団体が明確に共有すること、協力隊員とのコミュニケーションや個性把握、地域住民や職員との関係構築の重要性が指摘された。
 質疑応答では、民間企業の地域参画のあり方、行政との連携や役割分担、チャレンジ文化の醸成方法などが聞かれた。町長からは、横瀬町でチャレンジ文化が定着した背景に、全職員に「なぜチャレンジが必要なのか」を丁寧に説明し続けてきたことや、チャレンジを評価する仕組みの導入があったことが紹介された。
 全体を通して、地域づくりには制度や仕組みだけでなく、関わる人々の意識やコミュニケーション、チャレンジ精神、失敗から学ぶ姿勢が重要であることが確認された。

(12) お悩み相談タイム

 富田横瀬町長、田端氏、三瓶氏、鍋島氏に加え、塩谷町の地域おこし協力隊員である小松原氏がお悩み相談員として各テーブルに分かれ、受講者からの相談を受けた。
 小松原氏のテーブルでは小松原氏がどのような経緯で地域おこし協力隊を志し、主体的に地域課題の解決に取り組んでいるかが語られた。小松原氏は塩谷町に移住者が住むための住居がないことを課題と考え、自らの協力隊活動ミッションに「空き家の利活用促進事業」を加えてもらい、地域の空き家所有者に手紙を書いた。結果的に購入した1件の空き家を自身でリノベーションし、移住者への賃貸も開始しているという。地域おこし協力隊という立場や制度を有効に活用して地域課題に取り組むことが重要であることが紹介された。

9月27日(土)

(13)グループワーク・発表

 各グループ4~5人、A~Fチームに分かれてグループワークを行った。テーマは①関係人口を増やすには、②地域にマッチした移住者を増やすには、③チャレンジを促す仕組みづくりのうち1つをチームごとに選択することになり、A~Fのうち2チームは②を、4チームは③のテーマを選択した。
 ②について議論したAチームでは、「地域にマッチしている」とはどのような状態かという定義から認識を合わせ、行政・地域住民・移住者(地域おこし協力隊)の3者の観点からどのような課題があり、解決できるかを考えた。例えば行政は横瀬町の例を借り、首長自らが職員に呼びかけチャレンジを促す土壌を作る。地域住民は地域活動が楽しいものであることを移住者にアピールする。移住者は自身の価値観をあらかじめ開示するなど、それぞれの方向からのアプローチが考案された。
 各チーム6分で発表を行い、最後には各チームでの意見交流や田端氏からの講評が行われた。各テーマに正解は用意されていないが、考案した中でどれか1つは必ず実行すると決めることが重要だと語られた。

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4 おわりに

 横瀬町では、条件不利地域であることを逆に強みと捉え、しがらみが少なく、新しい取り組みがしやすい環境を活用して様々なチャレンジを行っていた。
 今回の実践塾では、横瀬町の取組を学びながら、地域活性化における「チャレンジ」の重要性を理解する機会となった。行政、地域おこし協力隊、地域住民それぞれが主体的に活動する仕組みづくりを学び、参加者自身も地域課題に対してどのように関わるべきかを考える場となった。

■受講者の声

・具体的な意見交換ができ、各地域の方の想いを知ることができて貴重な時間になった。
・自分の地域で早速動いていきたい。
・協力隊だけでなく職員や色々な役職の方がいて思考が広がった。
・行政の方々のチャレンジに対する懐の深さが素晴らしい。
・横瀬町の皆様は物事をポジティブに捉えているなという印象を受けた。
・行政が変わるべきタイミングに来ているのではと強く感じた。
・地域住民と移住者や地域おこし協力隊とのミスマッチの要因を各講師の方が分析されていて参考になった。

■執筆者

 地域創生・情報広報グループ   八重樫 由卯(岩手県北上市から派遣)
 総務課             大津 優衣
 総務課             南條 建史朗