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【終了レポート】平成30年度 第6回土日集中セミナー
新たな知と方法を生む地方創生セミナー 終了レポート
2018年10月12日
平成30年度 第6回土日集中セミナー
「図書館×地域づくり~図書館がハブとなり多様な連携を生む~」
平成30年度第6回土日集中セミナーは、9月15日(土)~16日(日)に地域活性化センターにて開催しました。
今回は、全国各地から自治体職員や図書館員など24名のご参加をいただきました。
【1日目】講義Ⅰ 図書館をハブとした地域づくりの重要性
講師 常世田 良 氏(立命館大学文学部 教授)
図書館を新たな情報チャンネルに!
常世田氏は、図書館は地域住民が知識を得て自己実現を可能にする場であり、公務員こそ図書館について学ぶべきと提唱しています。講義では、地域づくりにおける図書館の役割についてお話しいただきました。
図書館の役割とは本を貸すだけではなく、情報を収集・蓄積して必要に応じ提供することだと指摘します。地域社会は従来のように上部組織・機関から提供される情報や指示に従っていればよかった時代から、各自の情報収集により自己判断・自己責任が迫られる時代へと移行しているため、企業や行政、地域で活動する人のために新しい情報チャンネルとしての役割を地域の図書館が担うチャンスであることを学ぶことができました。
また、専門的な知識の提供は図書館にも限界があるため、専門機関との連携が地域のまちづくりに関わるときに重要であり、敷居の高い専門機関ではなく図書館で相談会や講習会を行うことで、普段なら参加しないような人でも参加しやすくなると語りかけました。
【1日目】講義Ⅱ 県内図書館との連携とビジネス支援
講師 小林 隆志 氏(鳥取県立図書館支援協力課長)
図書館の外に出て営業・広報を!
小林氏は鳥取県立図書館で始まったビジネス支援事業に関わり、県内図書館や専門機関と連携しながら、地域の課題に寄り添う図書館づくりを目指しています。講義では、鳥取県立図書館が取り組んでいるビジネス支援を題材に地域課題を解決するための連携についてお話しいただきました。
図書館が扱う資料・情報は全方位に及ぶため、ありとあらゆる機関と連携が可能だと語ります。重要なことは、「連携をお願いしないこと」であり、連携するメリットを相手方に提示し納得してもらうことで、お互いに寄りかかることなく役割分担の中で仕事に取り組むことが出来るのだと学びました。
また、図書館を利用しない人たちに図書館活動をアピールするためには、営業や広報活動は不可欠だと指摘します。
鳥取県立図書館では各種イベントや研修会、講習会などに関連する本を持ち込み、図書館の機能について説明を行っています。図書館職員が積極的に外へ出向き、様々な情報があることを知ってもらうことで、「なにか調べたいなら図書館に行ってみたら?」と言ってくれる人を増やす取り組みが必要だと学びました。
【1日目】講義Ⅲ 交流拠点を目指して建設された図書館の挑戦
講師 伊東 直登 氏(松本大学図書館長/元長野県塩尻市立図書館長)
地域とつながるチャンスを逃さない!
伊東氏は、塩尻市市民交流センター『えんぱーく』での活動から、図書館がまちづくりに果たす役割について伝えています。講義では、えんぱーくの目指す役割についてお話しいただきました。
えんぱーくが目指したのは図書館が単独ではできない新しいサービスを作ることで地域に役立つことであり、「同じ市役所なんだからやってくれればいいのに・・・」を解消することにあると語ります。
活字離れや出版不況という課題を解決するため、著者、出版社、書店などと連携して本を読者につなごうとする「本の寺子屋」事業を開催するなど、地域とつながるチャンスを逃さないことが重要であると語りかけました。
【2日目】講義Ⅳ 異なる分野への挑戦 図書館×農業支援
講師 栗原 要子 氏(元栃木県小山市立中央図書館長)
役に立ち、愛される図書館に!
栗原氏は、図書館機能を活用し数々の農業支援サービスを実施することで図書館との多様な連携を生み出し、農業を強みとしたまちづくりを行ってきました。講義では、農業支援サービスを始めとしたビジネス支援についてお話しいただきました。
ビジネス支援を市の重点施策に位置付けて推進してきたことにより、図書館は気軽に立ち寄れる「なにかを始めるきっかけの場」になったと語りました。
また、地域活性化の拠点となる図書館を目指すためには、司書教育が重要となると語ります。司書が積極的に外部に出向き、地域のニーズに合わせた情報を収集・提供できる能力を身に着けることで、地域や住民にとって役に立ち、愛される図書館になるということを学びました。
【2日目】全体質問会
全体質問会では、図書館職員がスキルアップをするためにはどうしたらよいか、などたくさんの質問が寄せられました。
講師からは、職員の意識を変えてから事業を始めるのではなく、なにか新しい事業を進めることによって意識を変え、その中でスキルアップを図るという逆転の発想が必要であると説明がありました。
また、首長や議員、行政職員の課題を解決する行政支援サービスを行うこと図書館が役に立つことを理解してもらう有効な手段だと全体で共有しました。
【1日目、2日目】グループワークⅠ・Ⅱ
2日間を通じて行ったグループワークでは、「図書館・行政・民間という異なる立場で共通する課題を解決するため、図書館をどう活用できるか」をテーマに講師陣を交えた4つのグループに分かれ話し合いました。
意見交換によってそれぞれに共通する課題を探り出し、解決のために図書館がどう関わるのか真剣な議論が交わされました。
グループワークでの参加者の声を、一部紹介します。
・地域課題を解決することに必要なのは地域を担う人材を育成することだということがわかった。
・図書館司書が地域に出向いて地域住民と企業をつなぐことで、人が集まり、活気が出るのではないかと気づいた。
・図書館には異なるコミュニティの人たちをつなげる機能があるとわかった。
・普段から図書館が情報を収集する場として認識してもらえるような工夫が必要になると感じた。
・病気の患者や家族同士の交流や行政窓口として、図書館が活用できるのではないか。
・災害の歴史を学ぶ防災拠点としても活用できるのではないか。
セミナーを終えて
今回のセミナーでは、図書館の持つ機能を再認識するとともに、新しい可能性を感じ取っていただけたのではないでしょうか。
今回の学びを活かし、参加者の皆さまの地域でも新しい図書館の取り組みや連携が進み、地域活性化に結び付くことを願っております。
講演者紹介
常世田 良 氏(立命館大学文学部 教授 / ビジネス支援図書館推進協議会 理事長)

図書館は、地域住民が知識を得て自己実現を可能にする場であり、公務員こそ図書館について学ぶべきと提唱。また、公立図書館や米国公共図書館での勤務経験から、地域づくりに図書館がもたらす新たな可能性について提案している。
小林 隆志 氏(鳥取県立図書館支援協力課 課長)

ライブラリーオブザイヤーを2度受賞している鳥取県立図書館は、県民の夢が叶う、ビジネス支援やくらしに役立つ図書館の実現を目指し、県内の館種を超えた図書館や専門機関と連携しながら、地域の課題に寄り添う図書館づくりを目指している。
伊東 直登 氏(松本大学図書館 館長 / 元長野県塩尻市立図書館 館長)
地域活性化の拠点として建設された塩尻市市民交流センター(愛称:えんぱーく)での活動から、市民の生活や仕事を支援する多様な図書館サービスと地域づくりについて提案している。
栗原 要子 氏(元栃木県立小山市立中央図書館 館長)
スケジュール
1日目(9月15日)
12:30~13:00 | (30分) | 受付 |
---|---|---|
13:00~13:10 | (10分) | 開講式 |
13:10~13:30 | (20分) | イントロダクション 「セミナーの目的と基礎知識」 |
13:30~14:40 | (70分) |
講義Ⅰ 「図書館をハブとした地域づくりの重要性(仮)」 |
14:50~16:00 | (70分) |
講義Ⅱ 「県内図書館との連携とビジネス支援(仮)」 |
16:10~17:20 |
(70分) |
講義Ⅲ 「交流拠点を目指して建設された図書館の挑戦(仮)」 |
17:20~17:35 | (15分) |
講義全体質問会 |
17:45~18:15 | (30分) |
グループワークⅠ |
18:15~18:30 | (15分) | 1日のまとめ |
18:45~20:00 | (75分) | 交流会 |
2日目(9月16日)
9:00~ 9:15 | (15分) |
前日の振り返り |
---|---|---|
9:15~10:25 | (70分) |
講義Ⅳ 「異なる分野への挑戦 図書館✖農業支援(仮)」 |
10:35~12:05 | (90分) |
グループワークⅡ |
12:05~12:20 | (15分) |
全体のまとめ |
12:20~12:30 | (10分) |
閉講式 |