【終了レポート】(週末開催)「地域を支えるダイバーシティ ~誰もが活躍できる社会を目指して」~

セミナー・研修 終了レポート

2021年04月05日

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  令和2年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域を支えるダイバーシティ ~誰もが活躍できる社会を目指して~」を1月30日(土)にオンラインで開催しました。全国各地から自治体職員など14名のご参加をいただきました。

講義Ⅰ「地域を支えるダイバーシティーポストコロナ時代の地域共生社会ー」

慶應義塾大学 経済学部 教授 駒村 康平 氏

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慶應義塾大学経済 教授、ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長

博士(経済学)

1995年慶応義塾大学大学経済研究博士課程単位取得退学

著書:「日本の年金」(岩波書店)、「社会政策」(有斐閣)、「社会のしんがり」(新泉社)など

受賞:日本経済政策学会優秀論文賞、生活経済学会奨励賞、吉村賞、生活経済学会賞など

学会:日本経済政策学会副会長、生活経済学会副会長

主な公職

2009-2012年厚生労働省顧問

2010-社会保障審議会委員

2012-2013 内閣官房 社会保障制度改革国民会議委員

2018―金融庁金融審議会市場ワーキンググループ委員

住民が相互に『しんがり』の役割ができる地域社会

 

 慶應義塾大学経済学部教授の駒村氏から、現在日本が抱えている問題と地域共生社会の実現について説明がありました。

 「縮小し、高齢化」する地域社会をどのように「維持・再生」していくかが、現在の地域社会で大切なテーマとなっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で新たな問題に直面しており、「誰一人取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標)の考えも重要視されています。  

 現在の地域社会では、従来の考え方では解決できない多様な問題が増加しています。そのため、今あるツールを変える「インクリメンタル(部分的改善)イノベーション」ではなく、新しいツールを活用する「アーキテクチュアル(解法)イノベーション」の考えが重要になることを学びました。  地域共生社会を実現するためには、地域住民が中心となり相互に「しんがり※ 」の役割を果たすことが必要不可欠になります。そのためには、行政も個々の問題に対し縦割りで対応するのではなく、横に連携していくことが求められます。  

 多様化する問題を解決し、いかに「誰一人取り残さない」地域共生社会を実現していくのか、地域住民や行政が一体となって取り組むことの重要性を学びました。

※しんがり...軍隊における本隊(大事なもの)を守るため、最後まで危険な場所に残り時間を稼ぐ存在。登山では最後尾につき、脱落者を出さないための存在。

講義Ⅱ「地域を支えるダイバーシティ ~誰もが活躍できる社会を目指して~」

公益財団法人 日本財団 国内事業開発チームシニアオフィサー 竹村 利道 氏

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 駒澤大学で社会福祉を専攻後、高知市の総合病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務する。

 特定非営利活動法人ワークスみらい高知の代表を経て、現職。「日本財団はたらく障害者サポートプロジェクト」の指揮を執る。

働くことは、キュアであり、ケアである

 公益財団法人日本財団国内事業開発チームシニアオフィサーの竹村氏から、障がい者や働きづらさを感じている人すべてに対する就労支援について説明がありました。

 前半は、竹村氏が代表を務めるNPO法人ワークスみらい高知での取組をご紹介いただきました。この法人では一般就労を目指した障がい者への就労移行支援事業や就労継続支援事業などを行っています。カフェなどの事業所を運営するうえで意識しているのは、福祉施設でありながらも「福祉らしさ」を消すことだと竹村氏は述べられていました。同法人では提供する商品の価値を高め、障がい者が堂々と社会貢献できるような取組を実践しています。

 後半では、駒村氏も関わっている「WORK!DIVERSITY」プロジェクトについて説明がありました。このプロジェクトは障がい者、難病者、刑余者、引きこもりなどすべての働きづらさを感じている人を対象としたダイバーシティの概念に基づく就労支援です。令和3年度からモデル事業を実施していく予定で、働きづらさを感じているすべての人たちへの就労支援を網羅できる体制づくりが最終出口となっています。

 本講義を通じて働いて社会の一員となることを実感する価値感や、就労などの横断的な支援の重要性について学びました。

講義Ⅲ「ようこそオムロン京都太陽へ」

三輪 建夫 氏(オムロン京都太陽株式会社 代表取締役社⾧)

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 1985年オムロン株式会社入社。2019年オムロン京都太陽代表取締役社長就任。

 京都府障害者雇用促進・定着支援計画推進会議委員、全国障害者雇用事業所協会京都支部長も務める。

障がい者雇用という切り口で共生社会を目指していく

 オムロン京都太陽株式会社代表取締役社長の三輪氏から、よりよい未来にむけ、社会課題を先駆けて解決していく企業理念を実践した障がい者雇用について説明がありました。

 オムロン京都太陽株式会社では、多様な障がいを持つ人材が"イキイキ"と働き続けるために、違いを認め徹底的に人を活かすことを追求する取組を実施しています。

 取組内容として、出来ないこと・苦手なことだけを機械に任せるなど、個々の作業者に合わせた業務改善や、究極のコミュニケーションによる相互理解の輪づくりのために、Webを利用した毎日の自己診断をもとに上司との対話を行っています。

 様々な障がいを抱えた人たちが能力や個性を発揮し、イキイキと働きやすい職場や環境づくりについて学びました

グループワーク&トークセッション「地域を支えるダイバーシティの実現に向けて考える」

 グループワークでは、参加者自身が普段感じている地域での対応が困難なニーズや地域課題を洗い出し、セミナーを通じて得た課題を解決するための気づきから、自身が実際に行動できそうなことを考え共有しました。

 講評では、駒村氏より地域課題を解決するためには地域に必ず存在する、「バカ(情熱がある人)」「カバ(現場力がある人)」「チンドン屋(世の中に広める人)」を見つけることが重要だというお話がありました。

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セミナーを終えて

 現在の日本では価値観や人材が多様化しています。これに対し住民同士で「しんがり」の役割を果たせる地域社会を行政がつくっていく必要性を学びました。また、障がい者雇用などの事例を通じ、個性を尊重し、すべての人たちが自分らしく社会の一員として働くことの重要性を改めて感じました。

今後、誰一人取り残さず、誰もが活躍できる地域共生社会を目指していくために、自分に何ができるかを考えていきたいと思います。

以上終了レポートでした

今後も面白いセミナーが目白押しですので、是非ご参加ください!

スケジュール

1月30日(土)

13:00~13:20

開講式

13:20~14:10

講義Ⅰ    講師:駒村 康平 氏     

14:20~15:00

講義Ⅱ    講師:竹村 利道 氏

15:10~15:50

講義Ⅲ    講師:三輪 建夫 氏

15:50~17:00

グループワーク・トークセッション

17:00~17:45

グループワーク・総括

17:45~18:00

閉会行事・写真撮影     

18:30~19:30

オンライン交流会

連絡先

企画グループ
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:creative@jcrd.jp