第37期全国地域リーダー養成塾 事務局レポート

1 先駆的地域づくり現地調査

 先駆的地域づくり現地調査は、ゼミナール別に、全国各地の地域づくりの先進地を訪問し、地域づくりのキーパーソン等を通じて地域づくりの問題解決策を学ぶことを目的にしています。

 第37期全国地域リーダー養成塾では、令和7年10月~11月に調査を実施しました。

 本レポートでは、調査地の一部をご紹介します。

(1)『名勝姨捨棚田倶楽部』(長野県千曲市、令和7年10月18日)

 長野県千曲市が誇る姨捨の棚田を視察した。姨捨(おばすて)の棚田は、古くは安土桃山時代の文献にも登場する歴史ある田園風景で、長野県千曲市の誇るこの美しい景観は、日本遺産にも登録されている。  この貴重な棚田の保全活動を担っているのが、平成25年に発足した「名勝姨捨棚田倶楽部」だ。棚田の維持管理をはじめ、交流施設「OASIS」の運営、棚田米のPRや米・アイスの商品販売など、多岐にわたる活動を行っている。  特に特徴的な取り組みが、一般の方がオーナーとして棚田の保全に参加できる「棚田貸します制度」である。自ら田を管理し、稲作から収穫までを体験したり、資金で活動を支援したり、農業に興味のある方や景観を守りたいと願う方など、様々な人々が保全活動に参加できるようになっている。棚田の担い手を確保するだけでなく、定年退職された方々の新たな活動の場となったり、農業への理解を深めるきっかけになったりと、地域の活性化に貢献している。

 本調査では、担い手不足の解消だけでなく、農業という新規参入が難しい世界に、多様な人々を巻き込みながら農業参加への入り口として新たな仕組みづくりなどを学んだ。

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(2)『BABAME BASE』(秋田県五城目町、令和7年11月10日)

 一般社団法人ドチャベンチャーズ理事の石岡香澄氏に、同法人が運営する五城目町地域活性化支援センター(愛称:BABAME BASE)についてヒアリングを行った。BABAME BASEは、平成25年に廃校となった旧馬場目小学校を活用したレンタルオフィスである。入居者募集にあたっては、五城目町の姉妹都市である東京都千代田区に営業を行い、賛同を得た3社の入居からスタートした。これまでに延べ45社(退去含む)が利用し、現在は14社が入居している。給食室を活用した食堂、校庭を使ったドローン関連企業、放送室に入居する設計事務所など、学校施設の特徴を生かした入居が多い。また、卒業生による美容室やフォトスタジオの開設など、多様なサービスが集まり、休日には賑わいを見せている。この施設のコンセプトは、地域に根ざした起業や挑戦を生み出すことである。BABAME BASEでは、地域発のベンチャーを「ドチャベン(土着ベンチャー)」と呼び、地方ならではの事業や活動が生まれる環境づくりを行っている。多様なイベントの開催を通じて、「面白い取り組みをしている場所」として地域での認知が広がりつつあり、「新しいコト」を地域で起こしたい人の相談窓口として、地域活性化に寄与する役割を担っている。さらに、起業家や企業が利用しやすいよう、教室を低コスト(例:月2万円程度)で貸し出すなど、地方での新規事業を後押しする仕組みも整えられている。

 本調査を通じて、廃校の再活用による地域資産の有効利用と、地域住民の挑戦を生み出すコミュニティ形成の重要性について学ぶことができた。

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(3)『福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校』(福島県双葉郡広野町、令和7年10月15日)

 福島県立ふたば未来学園は、東日本大震災により廃校となった双葉郡内5校を統合して設立された学校である。中等部約450名、高等部約500名が在籍し、総合学科として「アカデミック」「トップアスリート」「スペシャリスト」の3系列を設置している。 特に印象的であったのは、探究的学習の取組である。高校1年生が地域住民へインタビューを行い、その内容を演劇として発表するカリキュラムは、傾聴力や他者視点の理解、表現力を養う実践的な学びとなっている。また、探究活動を地域へつなげるため、NPO法人カタリバがスクールコーディネーターとして常駐し、生徒への伴走支援を行っている。教員の負担軽減と専門的支援の両立が図られており、学校単独では実現しにくい持続的な地域連携体制が構築されている点が特徴である。

 本視察を通じ、地域と接続した学びを実現するためには、外部人材を含めた仕組みづくりが重要であることを学んだ。

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(4)その他調査先

  • 神戸市役所、丹波篠山市役所 他
  • 公益財団法人みらいファンド沖縄 他
  • いわて地域づくり支援センター、遠野山・里・暮らしネットワーク 他
  • 一般社団法人AiCTコンソーシアム、朱鷺メッセ 他

2 第37期生の声????

 \令和8年2月5日に修了した第37期生の声を掲載します!/

●自分が以前より抱えていた市の課題について、レポートを書き、大学教授やリーダー塾生からのフィードバックを年間を通してもらえたことで、自分の中で納得ができる課題解決方法を考えることができました。ありがとうございました。

良いメンバーと一緒になれて楽しい一年でしたヾ(°ω°)

●熟慮された講義内容、修了レポートの作成、他自治体・団体から参加している塾生とのつながりなど、普段勤めている職場では得ることのできない経験を積むことができた大変貴重な機会になりました!

●主要新規事業の担当になり、「この事業の展望を、言語化したい!」と思っていた中、この全国地域リーダー養成塾に出逢いました。様々な学びを得て作成した、自身の修了レポートを基に、これからも目標に向けて頑張ります!

●講義やゼミ活動、先進地視察、レポート作成など、これほど充実している研修は他にないと感じました。志の高い仲間と過ごせた時間は公務員生活の中でもとても貴重で、1年間を通し成長できたと感じています。まるで精神と時の部屋に入っていたような感覚です!

●自らの職場で業務をしていた時は目の前のことに精いっぱいでしたが、リーダー塾に参加して、多くの自治体が持つ悩みや課題に触れ、視野が大きく広がると同時に、自身の自治体の持つ魅力に気付く機会にもなりました。

●「地域づくり」という冊子を見て、地域活性化センターおよび全国地域リーダー塾の存在を知りました。多様な講師陣が魅力だと思い、受講しました。

知識や考えをアップデートし続ける大切さを学びました。これからも全国の仲間とのご縁を大切にしていきます。

●「課題は与えられるものという受動的な意識ではなく、当事者意識を持って自ら地域の可能性を問い直す。 」その視点を持って活動した1年間は、私にとって何物にも代えがたい貴重な経験となりました。

●普段の業務では決して経験できないこと、交わることのなかった全国の仲間と1年間勉強出来たことが一生の財産になりました!刺激あり学びありの本当に楽しい1年でした!

●同じ課題に対して、講師陣をはじめ様々な角度からの解決策、アプローチ方法があることを学べ、自身の業務の参考となった。それ以上に、全国の自治体で活躍する仲間たちと繋がれたことが、大きな財産となった。

●時に楽しく、時に辛い濃密な9か月間で、自分にとってかけがえのない時間を過ごさせていただきました!リーダー塾でできた仲間は、一生の財産です!みんな、本当にありがとう!

新たな出会いや学びがあり、刺激的で忘れられない1年になりました。ありがとうございました!

●レポート作成は大変でしたが、担当講師、地域活性化センター、同じゼミ生の皆様の支えがあり、修了することができました。先駆的地域づくり現地調査では、自分のテーマに関する視察先以外でも、たくさんの気づきを得ることができました。リーダー塾で学んだことを今後の仕事にも活かせればと思います。

●全国の仲間との出会いや講師の先生方による講義、終了レポート等通常業務では絶対に味わえない経験をさせていただきました。また、自分の自治体を見つめ直す機会にもなり、日々の業務のモチベーションが向上しました。

●講師の方々の講義はもちろん、同期の塾生のそれぞれの体験談からも多くのことを学べ、大変充実した時間を過ごすことができました。

行政職員としてのスキルアップを充分に叶えてくれました。職場を離れて、しっかりと、学生のように学び、自身の地域について修了レポートを書き上げることは自分の自治体のことをよく考える機会となりました。また、対話を通じて自分の町以外のこともたくさん知ることができ、行政職の理解が深まり、とても充実した研修でした。

●リーダー塾に参加するまで、「まちに魅力となるものは何もない」と思っていましたが、幅広い内容の講義やゼミ活動を通してまちの見方が変わり、多くのまちの魅力を見つけられるようになりました。また、地域活性化に取り組む全国の面白い大人たちに出会えたことも、自分にとって貴重な財産になりました。1年間ありがとうございました。

3 事務局所感

 一般研修、ゼミ活動、先駆的地域づくり現地調査等を通して、地域課題のデータ分析や自治体政策、都市デザイン、農山村振興などあらゆる観点から「地域づくり」について深く考えることができました。

 また、塾生が身を粉にして書き上げた修了レポートは、どれも政策としての完成度が非常に高く、同じ自治体職員としてモチベーションやバイタリティに良い影響をいただきました。

 私自身も派遣元に戻った際には、リーダー塾で得た学びや人とのつながりを生かしていきたいと思います。

執筆者

 企画・人材育成グループ 田宮 進(山形県鶴岡市から派遣)

連絡先

地域リーダー養成課
TEL:03-5202-6135  FAX:03-5202-0755  E-mail:leader(at)jcrd.jp ※メールアドレスの(at)は@に変更ください。