【終了レポート】平成31年度特別セミナー「次期"地方版総合戦略"策定に向けた新たな視点」

2019年06月03日

 特別セミナー  
「次期"地方版総合戦略"策定に向けた新たな視点」

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 特別セミナー「次期『地方版総合戦略』策定に向けた新たな視点~小規模地域別人口推計・地域経済循環分析から考える地域の持続可能性~」を4月25日(木)に地域活性化センターで開催しました。今回は、全国各地から自治体職員など31名のご参加をいただきました。

講義Ⅰ「地区別人口&経済分析から始める地域の未来設計」
講師:藤山 浩 氏(一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所 所長)

「住民とともに戦略を立てることが重要」

IMG_8209.JPG 山氏は、地域の未来を考えるためには、「あとどれくらい定住人口を増加させ、保持することができれば、地域の存続が図れるか」という視点を持つことが重要だと指摘され、多くの市町村が人口の約1%を取り戻すことで地域人口を安定化することができると述べられました。

これからは、行政から住民への一方通行の地域政策ではなく、地区毎の目標設定に基づき実行に移すことができるようなきめ細かな地域政策が求められます。地域の主役である住民が行動していくためには、地域の強みや弱みを見える化し、住民が現状を把握できるような工夫が必要となります。講演の中で、島根県邑南町の事例を挙げながら、地区別の具体的な目標設定や成果を住民と確かめながら戦略を立てていく手法について説明がありました。 

た、人口のみならず持続可能な地域経済のためには、域外へ流出した所得の1%を取り戻すことも重要だと述べられ、様々な事例をご紹介いただきました。

ビデンスに基づき目標設定と政策を決定していくとともに、住民の理解も得ながら、持続可能な地域づくりを進めてほしいと強調されました。

講義Ⅱ「次期"地方版総合戦略"策定に向けて」
講師 島田 勝則 氏(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 参事官)

「今後の地方版総合戦略に向けて」

IMG_8235.JPG田氏からは、次のステージである第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略に向けた国の動きについて説明がありました。現在、第1期の総合戦略の検証を図るとともに、関係人口やしごと・働き方などの様々なテーマで検討会を立ち上げ、第2期に向けた推進を図っています。

各自治体への照会結果では、現行の地方版総合戦略の策定により地域の将来像について考えるきっかけになったと回答する割合が多く、また、策定過程で多様な主体が参画した事例もご紹介いただきました。

次期地方版総合戦略の策定にあたり、地域住民をはじめとした多様な主体者を交えて検討を図る機会を設け、地区レベルで地区の将来像について向き合うことが肝要だと感じました。

【講義Ⅲ「次期『地方版総合戦略』策定に向けた分析事例の解説」

①「地域経済循環分析の基礎知識」

講師:岩崎 正敏 氏(一般財団法人地域活性化センター 常務理事)

IMG_8253.JPG地域経済循環分析の概要及び分析のための基礎的手順について説明がありました。地域経済循環分析は、地域経済を「生産」、「分配」、「支出」の三側面で確認し、所得の循環構造や地域外との流出入の状態等を把握する分析方法です。これにより地域経済の特徴・課題を客観的に認識することができるため、効果的な施策・政策の策定やその実行のために有効な方法となります。

「生産」、「分配」、「支出」のそれぞれの考え方や分析の手順について説明後、分析にあたっては地域の強みや機会を活かす発想を重視することが重要だと語られました。

また、施策を検討・実行するためには、地域経済循環分析だけでなく、歴史的経緯や住民の意見などの多様な側面から情報を組み合わせていくことが重要となります。

②「次期『地方版総合戦略』策定に向けた分析事例の解説」

講師:荒井 智生 氏(一般財団法人地域活性化センター 人口・地域経済研究室 室長)

IMG_8268.JPG最後に、地域活性化センターの人口・地域経済研究室から小規模地域別人口推計と地域経済循環分析を用いた分析事例の紹介がありました。小規模地域別人口推計では、京都府福知山市や山形県白鷹町を事例に挙げながら、地区毎の特徴を踏まえたシミュレーションの想定、地域のまち・ひと・しごと創生人口ビジョンとシミュレーション結果の比較について説明がありました。

また、地域経済分析システム(RESAS)を活用した分析事例も挙げられ、分析にあたり必要な視点や、分析結果のまとめ方について学ぶことができました。

※人口・地域経済研究室の事業については、こちらからもご確認いただけます(https://www.jcrd.jp/support/laboratory/)。

セミナーを終えて

今回のセミナーで、次期「地方版総合戦略」策定のために、小規模地域別人口推計や地域経済循環分析を用いることで地域の現状や課題の見える化を図り、そして施策につなげていくことの重要性について学ぶことができました。

次期「地方版総合戦略」策定に向けて、参加された皆様の地域で本セミナーの学びが活かされることを期待しています。

以上、終了レポートでした! 

今後も面白いセミナーが目白押しですので、是非ご参加ください!!

講演者紹介

藤山 浩 氏(一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所 所長)

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1959年島根県益田市生まれ。一橋大学経済学部卒業。98年島根県中山間地域研究センター地域研究課研究員として着任。2009年島根県立大学連携大学院教授、13年島根県中山間地域研究センター研究統括監就任。17年3月に同センターを退職、一般社団法人持続可能な地域社会総合研究所を設立、所長就任。著書に「田園回帰1%戦略」(農山漁村文化協会)「『循環型経済』をつくる」(編著/農山漁村文化協会)など。

日時

 平成31年4月25日(木) 13時00分~18時00分

会場

 地域活性化センター大会議室 (東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザ13階)

当日スケジュール

<4月25日(木)>
13:00~13:10
開講式 
13:10~14:40

講義  「地区別人口推計&経済分析から始める地域の未来設計」

     藤山 浩 氏((一社)持続可能な地域社会総合研究所 所長)

14:50~15:20

講義    「次期"地方版総合戦略"策定に向けて」

     島田 勝則 氏(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官 

             兼 内閣府地方創生推進事務局参事官)

15:30~17:30

講義    「次期"地方版総合戦略"策定に向けた分析事例の解説」

     人口・地域経済研究室

17:30~18:00

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