【終了レポート】(平日特別セミナー)「特定地域づくり事業協同組合制度セミナー」

終了レポート

2021年03月19日

「特定地域づくり事業協同組合制度セミナー」を開催しました。

 本セミナーは完全オンライン開催でしたが、全国から受講者計32団体の方にご参加いただきました。

 「特定地域づくり事業協同組合制度」は、「地方で働いてみたいと考える若者」と「地方で労働力不足に悩む事業者」をマッチングさせる仕組みです。特に地方の事業者で「企業単位では人材確保に困っているけど通年では雇用できる仕事量は無い」場合など、地域で安定的に人材を確保する手段として、令和2年に始まった制度です。

 本セミナーでは、3名を講師としてお迎えしました

・勝目康 氏(総務省自治行政局地域力創造グループ地域自立応援課地域振興室長)

・宮原颯 氏(島根県海士町 交流促進課)

・太田章彦 氏(海士町復業協同組合事務局長)

講義1 制度紹介:特定地域づくり事業協同組合制度概要について

  講師

 勝目康 氏(総務省地域自立応援課地域振興室長) 

 勝目氏には、「地域社会の維持と地域活性化の両立」を目的として創設された本制度の内容についてご講義いただきました。

 制度が創設された経緯をご説明いただき、目的に沿うために必要とされる当該事業協同組合の設立要件や、派遣できる業態、組合設立に必要なプロセス等についてご説明いただきました。また、行政関係者の参加が多かったこともあり、組合設立に際して注意すべき点、市町村に対する国の支援策等もご説明いただきました。

勝目氏.png

講義2 取組紹介:海士町複業協同組合について

 講師

 島根県海士町 交流促進課 宮原 颯 氏
 海士町復業協同組合事務局長  太田章彦 氏

 宮原氏、太田氏には、実際に海士町で事業開始されている「海士町複業協同組合」の取組をご紹介いただきました。

 海士町は、特定地域づくり事業協同組合制度認定第1号として、先進的に本制度に取り組んでおられます。組合設立に当たって検討した事項や取組を始めて困ったことや気付き等、運営しているからこそ分かる貴重な経験をご講義いただきました

宮原氏.png

●質疑応答

 受講者からは、実際に現在運営されている海士町複業協同組合に質問が集まりました。「組合設立にあたっての行政の関わり方や進め方」や「組合雇用職員の募集方法や採用方法」、「事業協同組合の今後目指す取組(自立化)」など、実例に関する質問が出て、活発なセミナーとなりました。

セミナーを終えて

 若者の地方移住ニーズがあるにもかかわらず、職と一定の給与水準を維持したい若者と、労働力不足ながら通年では仕事を提供できない地方の事業者とのミスマッチが生じています。

 本制度は、事業者同士が地域で連携して事業協同組合を設立し、「地域として」通年での仕事を提供することで、若者と事業者とのミスマッチの解消を目指すものです。

 労働力不足に悩む地方のニーズは高く、またこうした取組により若年層が地方に根付くことで地方の担い手確保にもつながることから、非常に注目されている制度です。現時点で80を超える市町村で事業協同組合が設立される見込みがあるということで、本日参加された各団体の今後の取組が期待されます。

 こうした取組が進むことで、生き方や仕事に対する「個人のニーズ」と「地域のニーズ」が同時に満たされるとともに、「大都市の過密化」と「地方の過疎化」によるそれぞれの諸問題が少しでも緩和に向かう流れができればよいと感じました。