【終了レポート】令和3年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー 今こそ!まちを支えるローカルファンド ~人と資金の循環から紡ぐ地域の持続可能性~
2022年03月17日
令和3年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「今こそ!まちを支えるローカルファンド ~人と資金の循環から紡ぐ地域の持続可能性~」をリアルとオンラインを併用して開催しました。全国各地から自治体職員など42名のご参加をいただきました。
講義
◆深尾 昌峰 氏(龍谷大学政策学部政策学科教授)
滋賀大学大学院修了。1998年きょうとNPOセンターを設立、事務局長に就任。2009年から2018年まで公財京都地域創造基金の理事長として市民による公益創造のインフラづくりを展開。2010年4月龍谷大学法学部准教授に就任し、2011年4月から政策学部准教授、2018年から教授。2020年5月からは学長補佐を兼務。
2012年には社会的投資を促進する株式会社PLUS SOCIALを起業、2016年に日本初の社会的投資専業金融会社プラスソーシャルインベストメントを起業し、2020年12月まで代表取締役会長。
「地域のほっとけない課題に取り組む市民を支える仕組み」
ローカルファンドとは、コミュニティ財団とも呼ばれ、地域の困りごとを地域で解決するための資金を循環させる仕組みです。深尾氏からコミュニティ財団が必要となる背景や、取組などについて公益財団法人京都地域創造基金などの事例を交えながら講義をいただきました。
社会的に認知されている課題は、自治体が税金を使って解決に向けて取り組みます。しかし、潜在的な課題に対し、自治体が対応することが難しいため、課題解決に向けて「ほっとけない」と活動するNPOや市民団体の活動が大切になります。この活動を支えるために必要となるのがコミュニティ財団であり、沖縄県や京都府の事例から、単にお金による支援だけでなく、課題を把握し、解決策をNPOや市民団体と一緒に考えた上で、支援していることをお話しいただきました。
事例紹介①
◆山田 健一郎 氏(公益財団法人佐賀未来創造基金代表理事)
2013年に佐賀県初の「コミュ二ティ財団」として、市民性と地域性を大切に市民からの約300万円の寄付により創設されて公益財団法人化。社会資源の地域循環の仕組みづくりを地域でチャレンジしている。
また、2019年度は「ふるさとづくり大賞(総務大臣表彰)」「日本ファンドレイジング大賞(JAFRA)」、そして2020年度「地域再生大賞(共同通信社)」を受賞。ご縁と感謝を大切に地域の仲間と持続可能な自発の地域づくりに挑戦中!
「CSOと共に考えるコミュニティ成長装置」
公益財団法人佐賀未来創造基金は、市民から300万円の寄付により設立され、CSO(市民社会組織)への助成や伴走支援を行っています。具体的には、ファンドレイザーの資格を持つメンバーがCSOと活動資金の調達方法を一緒に考える活動や、「空き家地域円卓会議」という地域の多様な主体が参加して空き家問題を考える活動を展開しています。
山田氏は、「コミュニティ財団はコミュニティの成長装置」と考えており、コミュニティ財団は、地域内に人や資金など資源を循環させ、市民の自発的な地域づくりに寄与していることを学びました。
事例紹介②
◆山口 美知子 氏(公益財団法人東近江三方よし基金常務理事)
滋賀県生まれ。東京農工大学大学院修了。1998年に林業技師として滋賀県入庁。林業事務所、琵琶湖環境政策室などを経て、2012年3月滋賀県を退職し、2012年東近江市職員となる。
2019年から創設に関わった公益財団法人の常務理事に就任し、2021年3月に市役所を退職。その他、一般社団法人kikito、NPO法人まちづくりネット東近江等の活動に参加。
「地域内の資金循環と社会関係資本の強化」
公益財団法人東近江三方よし基金は、東近江市という基礎自治体の規模で設立されたことが特徴的なコミュニティ財団であり、資金を地域外から調達し、地域外への流出を防ぎ、地域内で循環させることを意識しています。
山口氏は、東近江三方よし基金の取組が社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の強化につながっていると考えており、今後は地域におけるESG投資の獲得にもつなげていきたいとお話いただきました。
グループワーク&パネルディスカッション
グループワークでは、参加者同士でセミナーに参加した理由や感想、問題意識などを共有し、パネルディスカッションでは、講師の3人が参加者同士のグループワークで出てきた感想や問題意識を基に意見交換を行いました。
「自分の地域でコミュニティ財団を立ち上げる時に資金が集まるかが不安」という声に対して、「資金を集める過程が大事であり、多くの市民に関与してもらわなければ意味がない」という意見が出るなど、コミュニティ財団を作るにあたり、まちに関わりたいと思う市民を掘り起こし、まちのありたい姿を多くの人たちと共有する必要性を学びました。
セミナーを終えて
コミュニティ財団について、市民活動をお金だけで応援するのではなく、地域内のヒト、モノ、カネという資源を循環させる役割があることが分かりました。また、社会には私たちが気付いていない「ほっとけない」課題に取り組む人がいることが分かり、自治体職員として、もっと地域に飛び出して様々な人たちとつながり、課題を見つける感性を鍛える必要があると思いました。
講師と参加者で記念撮影
以上、セミナーレポートでした!
スケジュール
11月12日(金)
13:00~13:15 |
開講式 |
---|---|
13:15~14:15 |
講義 |
14:15~14:25 |
休憩 |
14:25~15:05 |
事例紹介① |
15:05~15:15 |
休憩 |
15:15~15:55 |
事例紹介② |
15:55~16:55 |
グループワーク |
16:55~17:00 |
閉講式 |
17:00~17:30 |
個別交流会(希望者のみ) |