【終了レポート】令和3年度【スタンダード型】新たな知と方法を生む地方創生セミナー 地域商社が高める地域の価値とその先
2022年03月17日
令和3年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域商社が高める地域の価値とその先」を令和4年2月18日(金)にオンラインで開催しました。全国各地から自治体職員など31名のご参加をいただきました。
講義Ⅰ
◆ (一財)民間都市開発推進機構 まちづくり支援部 担当部長 中村 郁博 氏
現在、官民連携ファンドのファンドマネジメント業務に携わる一方で、DMOや地域商社をはじめ、地方創生、地域活性化に係るプロジェクト企画支援、人材育成等を多数実施している。
「 地域商社が高める地域の価値とその先」
中村氏より、地域商社の概要や地域商社に求められる役割についてご講義いただきました。
地域商社の基礎的な定義としては「地域で、地域産品の卸・小売を営む地域発の主体・プロジェクト」ですが、最発展的な定義として「地域で、公益性を強く意識し、地域課題に対し、ビジネスベースでの解決を図るソリューション・コア」であり、これからの地域商社には公益性が求められるとのことでした。重要なのは「ビジネスベース」で課題解決を図ることであり、そのためにはマーケティング・ブランディングを自ら行う必要があります。
地域商社が地域を豊かにするためのビジネスモデルについて、安価で大量に生産を行うマスマーケット追求型ではなく、高価で少量しか生産できないが付加価値の高い商品を提供するニッチマーケット特化型で事業を行い、コアなファンを獲得することで継続性を確保することが大切であると強調されていました。
コアなファンを獲得するためのマーケティング・ブランディングが求められるため、地域商社同士の連携や人材の育成に力を入れていく必要があります。
講義Ⅱ
◆株式会社SMO南小国 未来づくり事業部 部長 安部 千尋 氏
2019年4月より現職。阿蘇北部地域で専門性を持ったコーディネーター達とともに起業・新規事業立ち上げや、採用支援、関係人口創出に取り組む。
「株式会社SMO南小国の取り組み」
安部氏より、株式会社SMO南小国の取組についてご講義いただきました。
SMO南小国は観光協会と道の駅が合併してできた地域商社で、域外資本を獲得して域内に還元することを目標としています。物産館の運営やふるさと納税事務だけでなく、地域資源を活用したコンテンツの開発や、挑戦する人をサポートし後押しをすることまで行っています。
SMO南小国の発足当時は不採算事業の改革を行っていったことから、地域住民の反発も大きかったそうです。しかし、取締役会に南小国町役場の担当だけでなく、商工会や林業組合の方といった地域の方が多く入っており、SMO南小国の改革を見守っていただき、数年をかけて認めてもらうことができました。現在では地域が一体となり、行政が行いにくいリスクのある事業に挑戦できるようになりました。
講義Ⅲ
◆(一財)こゆ地域づくり推進機構 執行理事/編集者 高橋 邦男 氏
「 世界一チャレンジしやすい町」
高橋氏より、こゆ地域づくり推進機構の取組についてご講義いただきました。
新富町役場はかねてより社会課題の解決に力を入れていましたが、役場では限界があることから、地域商社であるこゆ地域づくり推進機構を設立しました。強い地域経済を作ることをミッションとし、稼いだお金を人材育成に使うことで地域経済の好循環を生み出そうとしました。当初は出資金はわずか300万円で職員も素人だらけで資金もノウハウもなかったため、試行錯誤しながら運営せざるを得ませんでした。
しかし、試行錯誤の連続が失敗を恐れずチャレンジする風土につながっています。現在は新富町で新たな事業にチャレンジする起業者と関係者とをつなぐ中間支援組織の役割も担っていたり朝市を運営したり、活動の幅を広げています。
こゆ地域づくり推進機構のチャレンジする風土が町役場やJAなど他の組織にも広がっており、町全体が活発的に動いています。
個人ワーク・グループワーク・質疑応答
まず、コアなファンを獲得できるような地域独自の物語について考え、その後グループに分かれて考えた物語や講義の感想を共有しました。
地域商社を行政主導で設立しようとする際、住民の理解がなかなか得られず悩んでいる参加者が多いなか、「地域商社はビジネスの世界であり、地域住民が主体的にならないとうまくいかない。地域商社は地域を豊かにするために設立するものである。地域商社の設立を目的にするのではなく、場合によっては別の手段を考える必要がある。」という中村氏の言葉がとても印象に残りました。
以上、終了レポートでした!
スケジュール
2月18日(金)
13:00~13:10 |
開講式 |
---|---|
13:10~14:00 |
講義Ⅰ(中村氏) |
14:00~14:05 |
休憩 |
14:05~14:55 |
講義Ⅱ(安部氏) |
14:55~15:00 |
休憩 |
15:00~15:50 |
講義Ⅲ(高橋氏) |
15:50~16:05 |
休憩 |
16:05~17:20 |
個人ワーク、グループ討議、質疑応答 |
17:20~17:30 |
閉講式 |