【終了レポート】令和4年度【アドバンス型】新たな知と方法を生む地方創生セミナー  地域コミュニティと行政の関わり方

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2023年03月13日

地域コミュニティと行政の関わり方

 令和4年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域コミュニティと行政の関わり方」を、令和5年1月26日(木)~27日(金)に開催しました。
 民間企業、地方公共団体などから21名の参加がありました。

1日目(1月26日)

【講義Ⅰ】

東京都立大学 法学部教授 大杉 覚 氏 

大杉先生写真①新.png

東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(博士(学術))。専門分野は、行政学、地方自治論。東京都立大学法学部助教授を経て、平成17年から現職。(一財)地域活性化センター地域リーダー養成塾主任講師、総務省地域づくり人材の養成に関する研究会座長などをはじめ、国・自治体の審議会等委員を歴任。自治体行政や地域づくり人材育成の研究が専門。著書に、『コミュニティ自治の未来図』『これからの地方自治の教科書 改訂版』など。

専門は、行政学、地方自治論。

地域コミュニティと地域づくり人財 ~「地域共創」時代の自治体職員~

 現代は地域社会構造の転換点にあり、かつての町会、自治会や近年のNPO法人に代わり、ここ10年で新たな動きがあるとの指摘をいただきました。
 現代では、個々の日常の活動に「プラスワン」する形の、気軽に取り組める地域づくりのあり方が求められており、可能な範囲で複数の役割を担うことは、公務員にとってもマルチキャリア形成の観点から有用であることを学びました。
 また、このような活動を活性化するため、公共私の連携のもと創発を促すプラットフォーム、いわば「中間支援組織」が地域に根付くことが重要であると説明いただきました。

【 事例紹介①】

一般社団法人コミュニティネットワーク協会 渥美 京子 氏   

渥美 京子氏

静岡県生まれ。大学卒業後、メーカー、出版社勤務を経てノンフィクションライターとして活動。 2018年から現職。東日本大震災後、福島支援をする中で、「住まい・仕事・コミュニティ」の必要を痛感し、コミュニティの拠点づくりに参画。近居している20代の息子夫婦に子どもが誕生し、4世代が自分らしく暮らせる地域づくりに関心。主著に「甦れ穀物の精。パンを耕した男」(コモンズ刊)。

地域コミュニティの活性化と中間支援組織としての役割

 中間支援組織の立場から、多摩ニュータウン松が谷地区を代表例に、団地の高齢化、空洞化に伴いテナントが撤退した後に受託したコミュニティ活性化のプロセスを紹介いただきました。
 新たな空間を作るのはあくまで地域の方々で、ないからみんなで作るというスタンスを崩さず、「自分たちの空間を自分たちで築く」という点がこのプロセスの特徴です。
 取組を進めていく中で徐々に住民からの前向きな提案も出て、持続できる環境が作り上げられていった姿が、印象的な学びとなりました。

【事例紹介②】

多摩市企画政策部企画課 企画調整担当主査 西村 信哉 氏

西村氏

1983年生まれ。2014年に多摩市に入庁し、2020年4月より現職。自治基本条例、市民自治の推進、若者のまちづくり等を担当し、市民参加の「まちづくり」の企画運営に従事。 著:自治実務セミナー(2020年2月号、第一法規)寄稿「多摩市若者会議~まちの魅力づくりの提案と挑戦~」

多摩市の進める「地域共創」について

 多摩市では「地域協創」を掲げたまちづくりを進めており、地域を支える、つなぐ、掘り起こすという三つの柱のもと、地域担当職員などの支援制度導入、中間支援機能の構築、新たな担い手を発掘育成する機会の提供を進めていることを説明いただきました。
 地域担当職員が地域に密着し、「地域でやりたいけど今はできないことを、地域と一緒に行う」というスタンスで地域の自走を促していることを、モデルケースの紹介とともに説明いただきました。

【講師三者トークセッション】

 錦の御旗(大義名分)を掲げてブレないことで住民理解を得ていくこと、住民の住み続けたいという思いにどう応じるが行政の大切な役割になること、地域の場づくりに来た人をよく観察し、つながりを作ることが公務員の大切な心掛けになることなど、各講師から提言をいただきました。

2日目(1月27日)

講師との対話と行動宣言

 2日目は、各講師との対話を通じて疑問の解消や意見交換を行い、意見交換を踏まえて、参加者から今後の活動に向けての意思表示を行いました。
 「これから中間組織を担っていきたい」、「住民に『つまらないまち』と言わせないように皆主体的に取り組める姿を作っていきたい」など、様々な視点からの抱負が語られました。

セミナーを終えて

 過去と比べて経済的にも時間的にも余裕が少ない現代社会において、いかに参画しやすい地域コミュニティの形を作るかは、重要な課題です。
 このセミナーは「プラスワン」の考え方のように地域事業への参加の心理的ハードルを下げる手段や「中間支援組織」のように地域の結びつきを円滑にするサポート、多摩市の地域担当職員のように地域と一緒に行う接着剤の役割を行政職員が担うことなど、これから公務員が地域コミュニティのためにできることが多くあることを理解できた、大きな学びの場となりました。

スケジュール

1月26日(木)

12:50~

開講式

13:00~

講義Ⅰ(東京都立大学 法学部 教授 大杉 覚 氏)

14:10~

事例紹介①(一般社団法人コミュニティネットワーク協会 渥美 京子 氏

15:20~

事例紹介②多摩市企画政策部企画課 企画調整担当主査 西村 信哉 氏

16:10~

トークセッション

17:20~

事務連絡等

17:45~

交流会※希望者のみ

1月27日(金)

9:00~

 ワークⅡ

11:00~

 発表                                           

11:30~

 講評

11:50~

 記念撮影・閉講式

13:00~

 多摩市に移動し見学※希望者のみ

連絡先

セミナー統括課
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:seminar@jcrd.jp