【終了レポート】令和5年度【スタンダード(平日半日型)】新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域金融機関と連携した地域創生」

終了レポート

2024年03月14日

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はじめに

令和5年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域金融機関と連携した地域創生」を、令和5年7月28日(金)に開催しました。地方公共団体などから21名の参加がありました。

今回のテーマ

本セミナーは、地域金融機関との連携事例から、持続可能な地域を目指した地域内の仕事づくりについて考えるとともに、様々な関係者がどのように連携し、地域創生を進めていくかを考える機会として開催しました。

講義 

【主任講師】城南信用金庫 理事長 川本 恭治 氏

川本さん.png1962年生まれ。和歌山県出身。明治大学法学部卒業後、1985年に城南信用金庫入職。1990年に中小企業診断士資格を取得。1998年に支店長就任(経堂支店)。2011年には、地域との連携のために創設された「地域発展支援部」の初代部長に就任。"信用金庫による地方創生"の旗振り役として「"よい仕事おこし"フェア」を成功へと導いた。2015年常勤理事就任。2019年6月から現職。

【講義①】

昭和60年に城南信用金庫入職。平成10年に支店長就任。平成23年に地域との連携のために創設された「地域発展支援部」の初代部長に就任。"信用金庫による地方創生"の旗振り役として「"よい仕事おこし"フェア」を成功へと導いた。令和元年6月から現職。

「今こそ信用金庫の出番です~いつも誰かの"応援団"!~」をテーマに、地域創生の事例について話されました。その中で"地域創生に必要な役割や姿勢"に対する考え方を聞くことができ、地域金融機関としての使命感や熱意を強く感じました。

特に印象的だったのは、「商品を売るのではなく、目の前のお困りごとを解決する」という姿勢であり、城南信用金庫は"顧客のお困りごとの解決"を最優先に活動されています。平成27年にワンストップ相談窓口「城南なんでも相談プラザ」を開設。顧客の課題を本店と支店が連携しスピーディに解決する体制を構築するとともに、一金融機関で対応できない課題は、複数の金融機関との連携や専門家の支援を受けて顧客の相談に乗るなど、解決に向けた体制をさらに強化してきました。

最後に、「日本を明るく元気に」「大したことはできないけど、できることはやる」ことが大事だとも話されました。

目の前の課題を一つひとつ丁寧に解決していくことが地域を良くすることとなり、ひいてはそれが日本の元気につながるということを実感し、またそれを実践する城南信用金庫の職員の皆さんの意識の高さを感じました。

【特別講師①】厚生労働省雇用環境・均等局勤労者生活課労働者協同組合業務室長 水野 嘉郎 氏

水野さん.png平成17年厚生労働省入省。社会人3年目で生活保護ケースワーカーを経験。

その後、本省で介護保険、食品安全、水道、子育て支援などを担当。

令和4年8月から現職。労働者協同組合の周知・広報活動に奔走中。

【講義②】

「地域づくりを仕事にする新しい働き方、労働者協同組合と地域金融機関の連携」をテーマに事例を紹介されました。
令和4年10月にスタートした労働者協同組合は"多様な働き方を実現しつつ、地域の課題に取り組むための選択肢の一つ"として注目されています。持続可能で活力ある地域社会の実現に資する事業であれば幅広く実施が可能で、組合員が①お金を出し合う(出資)②皆で議論する(意見反映)③一緒に働く(従事)という、全てに関わる点が特徴です。
荒廃山林の活用や地域おこし協力隊の副業など、約60近くもの組合が全国各地で地域に根付いた活動を行っています。
地域のヒトで組織される同組合は、地域への思いを持つヒト・モノ(情報)・カネ(資金)が集まる地域金融機関との親和性が高く、両者の連携により、新商品開発や交流施設の運営など、地域密着型の活動が展開されています。
今後、両者の連携が、地域で生まれたおカネの地域内循環を加速させ、これにより地域はさらに発展する可能性があると感じました。

【特別講師②】公益財団法人東近江三方よし基金 常務理事兼事務局長 山口 美知子 氏

山口さん.png1998年に林業技師として滋賀県入庁。

2012年滋賀県を退職。同年、東近江市職員となる。

2019年から創設に関わった公益財団法人の常務理事に就任。

2021年に市役所を退職。

一般社団法人kikito、NPO法人まちづくりネット東近江等の活動に参加。

【講義③】

「コミュニティ財団と地域金融機関の連携」をテーマに東近江三方よし基金の取組について紹介されました。
同基金は、滋賀県の東近江地域で設立されたコミュニティ財団で、「三方よし」の商売を広めた近江商人のように、人や地域のつながりを大切にしながら、広く公共利益のために貢献する団体です。地域の里山の保全、この地域に住みたいと願う次世代を育てる活動、地域世代を超えた交流の場づくり、若者が働きたいと思う仕事づくりなどの社会的に意義のある活動に、地域の方の思いがこもったお金を生かすために活動しています。
①地域外からの資金調達②地域内での経済循環③地域外への資金流出の抑制の3点を重視し、【地域の課題に気づき行動する事業者】と【地域の未来に投資する支援者】をつなぐ仲介者として、地方公共団体・地域金融機関等と連携し、支援者から集めた資金を事業者へ投資する社会的投資を行っています。
事業者に対する助成事業や融資、ふるさと納税を活用した資金調達、ソーシャルインパクトボンドなどの様々な社会的投資を、地方公共団体・地域金融機関等と連携して行っています。
なかでも印象的だったのは東近江市版ソーシャルインパクトボンドです。東近江市版ソーシャルインパクトボンドは、支援者(出資者)から資金調達を受けた事業者が、事業実施後の資金償還時にその成果に応じ支援を受けられる仕組みです。高い評価を得れば地方公共団体がその資金を事業者に代わり償還します。
これは、事業の実現性を高められ効果的であるとともに、地域内の若者のチャレンジを促すよい仕組みになっていました。

トークセッション

地域での資金教育や地域通貨の可能性、地域課題解決ビジネスを支援する金融スキーム構築など、資金面を切り口に幅広いテーマでトークが進みました。
"目の前の課題に向き合い、地域を応援することが日本を良くする"という共通した思いを感じるトークセッションとなりました。

おわりに

地域で志を持った事業者を地域金融機関やコミュニティ財団、地方公共団体が連携して応援することで、事業化が進み、地域創生につながることを学びました。地域の課題を自分事としてとらえ、資金面・組織形態・マッチング等の支援を積極的に行う3者の講義を聞くことで、地域課題の新たな解決方法をふかん的にイメージすることができました。

受講者の声

「地域を良くしたいと思う金融機関や地域の企業、人が連携することが、お互いの強みを活かした地域活性化につながるのだと感じました」

スケジュール

※内容が変更となる場合もあります。変更があった際は、このページ等でお知らせいたします。

7月28日(金)

13:00~13:10

開講式

13:10~14:10

講義:川本 恭治 氏 

14:20~14:50

事例紹介①:水野 嘉郎 氏

15:00~15:45

事例紹介②:山口 美知子 氏

15:55~16:50

トークセッション、質疑応答

16:50~17:00

閉講式

チラシ(地方金融機関).pdf