平成28年度第1回地方創生実践塾 静岡県三島市
地方創生実践塾 募集終了 終了レポート
2016年06月03日
「住民の手で映画を作った三島市」~地域の未来をつくるひとづくり~
平成28年6月3日(金)~5日(日)の3日間に渡って開催された「地方創生実践塾 静岡県三島市」。
北は岩手県、南は福岡県まで、総勢29名の参加者が集まった今回の実践塾。
三島市のご厚意により、会場は『惑う~After the Rain~』の撮影地である梅御殿(三島市立楽寿園内)で3日間開催された。
3日間かけてじっくり行われた今回の実践塾において、参加者はどのような学びを得て、どのように変わっていったのか...!!
1日目~心のスイッチを入れる~
今回の実践塾の主任講師は「ものがたり法人FireWorks(以下、FireWorks)」地域プロデューサーの五井渕 利明氏。
初日の冒頭に「今回の実践塾は"学ぶ"のではなく"遊ぶ"つもりで参加してください」と話し、実践塾のスタートを切った。
静岡県三島市では、「NPO法人みしまびと」とFireWorksがタッグを組み、地域住民約1万人とともに約3年間に及ぶプロジェクトの末に、映画『惑う~After the Rain~』を制作した。
そんな三島の映画づくりを通じた"地域の未来をつくるひとづくり・まちづくり"を学ぶことが今回の実践塾の目的であった。
講義①「三島市について」 NPO法人みしまびと 事務局長 河田 亮一氏
最初の講義では、NPO法人みしまびと事務局長の河田氏から、三島市について、「みしまびとプロジェクト」についての講義があった。
みしまびとのスローガンは「未来をつくる人をつくる」こと。
FireWorksと映画づくりをする際に立ち上がったNPOではあるが、映画をつくるための団体ではなく、映画づくりを通じてまちを一つにすることが目的。
映画づくりに取り組むまでは、まちづくりに取り組む顔ぶれは同じ、加えて動きや向いている方向もバラバラであったが、映画づくりを通じて多様な人の交流が生まれ、つながりが築かれていった。
映画づくりによって三島が一つにまとまっていった。
フィールドワーク「ロケハン」
このフィールドワークでは実際に三島の町を歩き、翌日に行われる「一日映画づくり」のロケ候補地選定、構成づくりをグループ単位で行った。
みしまびとの案内の下、映画の構成やアイディアを共有していく中でチーム内の交流が次第に増え、その日会ったばかりのメンバーが次第に打ち解けていく様子を見てとれた。
講義②「まちづくり・ひとづくり」 NPOサプライズ 代表理事 飯倉 清太氏
ロケハン後、伊豆を中心に活躍されている、NPOサプライズ 代表理事の飯倉氏から講義をいただいた。
元々ジェラート店を経営していた飯倉氏がふとした時に、SNSへ道端に落ちているゴミについて投稿したことをきっかけに、「ゴミ拾い」をはじめ、現在は地域活性化に資する様々な活動や事業を行っている経緯などを伺った。
飯倉氏は「PDCA」に"d"を加えた「d+PDCA」を提唱し、まずは小さな行動から起こしていくことが大切であり、行動してこそアイディアは形になると語った。
また、地域活性化にかけ算はなく、2段跳び・3段跳びなど近道もない。とにかくまずは行動してみましょうと、力強いメッセージを発していた。
現在では、伊豆にある全て異業種の事業者を集めた、小規模オフィス+居住スペースのコンセプト賃貸物件「ドットツリープロジェクト」に取り組み、注目を集めている。
グループワーク①「自己紹介・実践塾参加への想い」
この時間ではグループごとに「自己紹介・実践塾に参加した想い・学びをどう生かしたいか」という内容について話し合い、その後全体の前で発表を行った。
各自一言でコメントを書き、それを皆に共有しながら各自の想いを語った。
色んな人と交流したい、自分の地域に生かせるのではないか、純粋に内容が面白そうであったなど、様々な想いが語られた。
講義③「地域総参加型映画づくりについて」 FireWorks 代表取締役 林 弘樹氏
この講義ではFireWorks 代表取締役 林 弘樹氏が「地域総参加型映画づくり」の考えや手法について言及した。
映画づくりは正解がなく、非合理なプロセスを踏まないとならない。しかし非合理であるからこそ、そこに地域の財産となるような多様な人と人との関係性が生まれると述べた。
映画は登場人物による「出来事」「アクション」「リアクション」の繰り返しによって作られており、これは現代社会にとっても同様である。
合理主義が良とされる現代社会において、この3つのどれかがかけると人間関係はうまくいかなくなる。
「本当の出来事や出会いを得られているか」「リアクションとして心が動いているか、行動できているか」
そのサイクルを回すことが地域づくりにもひとづくりにも共通して大切なことであると語った。
2日目~話し合う・力を合わせる・あきらめない~
この日はFireWorks 取締役 栗山 宗大氏がメイン講師となり、「一日映画づくり」を行った。
栗山氏は映画づくりの3原則「話し合う・力を合わせる・あきらめない」ということを冒頭に述べ、ワークショップへと移行していった。
午前中いっぱい使い、各グループで映画づくりに必要な脚本づくりを行った。
今回の映画づくりでは栗山氏からいくつかの制約を示された。
まず、3分以内の動画であること。
次に脚本の設定については
- 今日の実践塾から5年後
- その日の翌日に"大切な何か"が無くなる(失う)
- 必ず"泣き"を入れる
- テーマは「惑う」
最後に、「誰と撮るか(撮っているか)にこだわること」と栗山氏からの言葉があった。
それらを踏まえ、午後の撮影へ向けて各グループ構想を練っていた。
午後は実際に「撮影・編集」を行い、その後各グループの作品の上映会を行った。
前日のロケハンを踏まえ、源兵衛川や三嶋大社、楽寿園、商店街などを撮影地に選び、各グループそれぞれの脚本を基に映画づくりを楽しんでいた。
撮影しながらも様々アイディアが交差し、脚本を変えたり、たまたまその場にいた地元の子どもにも出演してもらうグループなどもいた。
その後梅御殿へ戻り、編集のち上映会が開催された。
各グループとても昨日であったばかりで、今日一日でつくりあげたとは思えないほどのクオリティが高い作品が勢ぞろいであった。
そしてその夜、FireWorksとみしまびとのタッグによって制作された『惑う~After the Rain~』の特別選考上映会が開催された。
この映画を見て、ここまでの2日間実践塾を受けていた場所で実際に撮影された映画であると知る参加者も多く、皆感慨深そうな様子であった。
3日目~学び・気づき未来への行動に変える~
最終日は、この3日間の学びを経て何を感じ、これからどう行動していくか。参加者全員が発表し、決意表明をした。
初日のぎこちなさは表情から消え、参加者全員活力あふれる表情を浮かべていた。
三島での三日間を過ごし、地域を超えて強いつながりができたのではと感じている。
最後は全員で『惑う~After the Rain~』の劇中歌「オールドラングサイン」を合唱し、3日間の学びを終えた。
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