平成29年度第5回地方創生実践塾 岩手県遠野市
地方創生実践塾 募集終了 終了レポート
2017年08月04日
「防災によるまちづくり」〜防災・減災を目指したまちづくりを通じての地域づくり〜
平成29年度第5回地方創生実践塾は、岩手県遠野市で「防災によるまちづくり~防災・減災を目指したまちづくりを通じての地域づくり~」をテーマとし、全国各地から28名の方にご参加いただきました。
東日本大震災の後方支援活動拠点となった遠野市の防災・減災の取り組みと、遠野みらい創りカレッジを核とした"産官学民"協働のみらい創りについて学ぶため、平成29年8月4日(金)~5日(土)に開催いたしました。
8月4日(1日目)
最初に遠野市の本田敏秋市長より、歓迎のご挨拶をいただきました。また、引き続きご講演いただき、震災前からの準備やヨコ(自治体間)のつながりの重要性をお話しいただきました。
講演①「遠野スタイルによるまちづくり」 本田敏秋氏(遠野市長)
遠野市の民話を集めた「遠野物語」(柳田國男著)の序文「願はくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ」とあるように、まちづくりは人、村の文化を伝えていくことであり、場の力を残し、活かしていくことが重要というお話を伺いました。
防災については、沿岸地域の市町村と連携し、防災強化プロジェクトを進め、航空機が43機も参加する防災訓練を震災前から行っており、震災対応や後方支援につながったとお話しいただきました。遠方被災地への物資等の支援を行うためには、被災地近隣の自治体と連携を行う必要があるため、友好都市協定等を結び、防災ネットワークを構築していくことが重要というお話も伺いました。
また、市長が体験した被災現場の悲惨なお話も伺い、災害の残酷さを再認識しました。
講演②「震災復興から学んだ"産官学民によるみらい創り"」 樋口邦史氏(一般社団法人遠野みらい創りカレッジ代表理事)
樋口氏は富士ゼロックス株式会社復興推進室室長でもあり、富士ゼロックスの震災対応や遠野市とどのように連携を行ったかというお話や「遠野みらい創りカレッジ」の誕生のお話を伺いました。
「遠野みらい創りカレッジ」は、産官学民間の連携の拠点であり、学生達の教育合宿施設や住民達の研究施設として使用されています。廃校を利用して作られており、当時の学校の様子を残しつつ、新たにシャワー室やコワーキングスペースが設置されています。
フィールドワーク①「後方支援資料館」視察
遠野市消防本部の小時田光行消防長に資料館をご案内していただきました。震災時に使用されたプレハブ小屋を利用した資料館であり、後方支援の記録や実際に使用された災害情報一覧表が展示されています。
8月5日(2日目)
講演③「地域防災とまちづくり」 武居丈二氏(自治大学校客員教授、元消防庁国民保護・防災部長)
危機管理の共通土台は時間との戦いであり、1人1人の「行動」が大事であるというお話を伺いました。また、どんなに忙しくても1割は心身に余裕を持ち、自分を見つめておくなど危機管理の心構えについても教えていただきました。過去の地震は77%仕事時間外に起きており、国民1人1人が防災を「自分ごと」ととらえることが重要ということを学びました。
フィールドワーク②「遠野みらい創りカレッジ」視察
1日目に主任講師の樋口氏より説明があり、2日目の会場でもあった「遠野みらい創りカレッジ」を視察しました。
フィールドワーク③「かっぱ淵」「伝承園」視察
かっぱ淵の守っ人(まぶりっと)二代目カッパおじさんである運萬治男氏から、かっぱが多く住んでいたと言われている「カッパ淵」と遠野地方のかつての農家の生活様式や伝統、昔話等を残す「遠野伝承園」を案内していただきました。園内には国指定の重要文化財「菊池家曲り家」(人と馬が一緒に住むために作られた遠野地域のかつての家)や「オシラ堂」(娘と馬の恋物語で知られる「オシラサマ」が祭られている)等があります。
グループワーク「クロスロード・ゲーム」~災害時の意思決定シュミレーション~ 星川洋志氏(富士ゼロックス株式会社復興推進室)
グループワークでは、災害時の意思決定シュミレーションとして、阪神・淡路大震災時の市職員のインタビューをもとに作られた「クロスロード・ゲーム」を行いました。問(実際の震災現場での選択)に対して「YES」か「NO」を個人で判断し、グループ内でなぜその判断をしたか話すというものです。今回の参加者には東北地方出身の方が多かったため、経験や実際とった行動などの意見を聞くことができ、勉強になりました。
最後に、参加者の皆さんから頂いたお言葉の一部を紹介します。
- 他自治体、企業の方と意見交換ができ、自分とは違った視点での捉え方が勉強になった。
- 具体的にどのように行動していくべきか平時から気をつけていきたいと思う。
- 最終的には自分自身が実践するかどうかであるので、実践していきたい。
- 防災というテーマ内容だけでなく、遠野の歴史文化を知ることができた。
- 職場として防災に直接携わることは少ないが、各自治体がこういう風に動くとこうなる、ということは学んでいたほうが良いと感じた。
- 防災は地域づくり・コミュニティの基礎となるものであり、非常に有意義だった。
ご参加ありがとうございました。
プログラム詳細
1日目:8月4日(金) 1日目会場:遠野市総合防災センター
13:45~13:55 | 開講式 |
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13:55~15:25 | 講演① 「遠野スタイルによるまちづくり」 本田 敏秋 氏(遠野市長) |
15:35~17:05 | 講演② 「震災復興から学んだ"産官学民によるみらい創り"」 樋口 邦史 氏(一般社団法人遠野みらい創りカレッジ) |
17:05~17:50 | フィールドワーク① 「後方支援資料館」視察 |
18:10~20:00 | 懇親会(たかむろ水光園) |
2日目:8月5日(土) 2日目会場:遠野みらい創りカレッジ
9:00~10:30 | 講演③ 「地域防災とまちづくり」 武居 丈二 氏(自治大学校客員教授、元消防庁国民保護・防災部長) |
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10:30~10:50 | フィールドワーク② 「遠野みらい創りカレッジ」視察 |
10:50~12:10 | フィールドワーク③ 「かっぱ淵」「伝承園」視察 |
12:10~12:40 | 昼食(伝承園) |
12:50~14:00 | グループワーク「クロスロード・ゲーム」 ~災害時の意思決定シュミレーション~ 富士ゼロックス株式会社 復興推進室 星川洋志 氏 |
14:00~14:10 | 閉講式 |
連絡先
セミナー統括課
TEL:03-5202-6134
FAX:03-5202-0755
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