2019年度 第3回 地方創生実践塾 in 長野県小布施町(終了しました)

地方創生実践塾 終了レポート

2019年04月17日

2019年度 第3回 地方創生実践塾 in 長野県小布施町
協働と交流のまちづくり~若者、住民、地元企業でまちを元気に~

 令和元年7月6日(土)、7日(日)の2日間、町外の若者や地域住民、企業が共にまちづくりを行い人口が社会増になっている長野県小布施町を舞台に「協働と交流のまちづくり~若者、住民、地元企業でまちを元気に~」のテーマのもと、2019年度第3回地方創生実践塾を開催しました。今回は全国各地から自治体職員、大学生など40名のご参加をいただきました。

7月6日(土)

 実践塾開始に先立ち、今回の講師である小布施町長の市村良三氏から歓迎のご挨拶をいただきました。

◆オリエンテーション

講師:小布施町地方創生主任研究員 大宮 透 氏

 小布施町地方創生主任研究員の大宮透氏から、町外の若者が小布施について提案する会議"若者会議"の実施内容や、周辺の市町村が平成の大合併(2004年)で合併していく中で自立を選び、協働・交流という方法で社会増を生み出してきた小布施の歴史についてご説明いただきました。

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講義『協働と交流のまちづくり』

講師:小布施町長 市村 良三 氏

 小布施町長の市村良三氏から、江戸時代から現代に繋がる小布施町の文化・産業振興や、先代の知恵や小布施町の良さを取り入れた持続可能なまちづくりを第1・2ステージに分けてご講義いただきました。また、その歴史の中で小布施町がどのように協働してきたのか、これから第3ステージに向けてどのようなまちづくりを展開しているのかもお話しいただきました。
 歴史に基づいて小布施町の良さを理解し、それを大切にしてきた町民の意識や、町外の人を受け入れるおもてなしの心など、小布施町の高い町民力(協働力や交流力)がよくわかるご講義でした。また、行政と企業、または企業同士の境界がないこと、各個人が"自分事"として活動する意識が特に印象的でした。

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◆フィールドワーク『小布施の新しいまちづくりの芽生えを巡る』

若者や企業との協働で生まれた小布施町の新しい場所へ赴き、お話を伺いました。

・ながの電力小水力発電

 小布施町の松川から取水し、官民協働で立ち上げた水力発電所です。町内の川を調査し、発電するのに十分な水量があることで選ばれた松川。県が所有している松川の管理を町が行うという条件で、ながの電力は松川を使って発電することが出来たそうです。

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・ハウスホクサイ

 若者会議参加をきっかけに小布施町とつながりをもち、小布施町の地域おこし協力隊として移住した塩澤耕平氏が運営されている、滞在型コワーキングスペースです。20184月にオープンし、町外からのクリエイターや若者が集まる拠点となっています。

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◆講義『人が集まる楽しいお寺づくり』

講師:浄光寺副住職 林 映寿 氏

 浄光寺では、副住職の林映寿氏より「コンビニの数より多いお寺を、社会問題を解決するような地域に必要とされる存在にしたい」という熱い思いから始まった取組によりお寺が子供たちや地域の方々の交流の場になっている現状や今後の展開についてご講義いただきました。

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 誰もが実践しやすいスラックラインをお寺の敷地内に取り入れることで、お寺が様々な年代の人が気軽に楽しく集える場となり、地域活性を生み出すことができる。交流の場づくりをお寺の副住職が率先して進められているところが素敵でした。また、小布施町のこどもをスポーツで輝かせたい!という想いも特に印象的でした。実際に小布施町からはスラックラインで世界レベルのこどもたちを何人も輩出しており、副住職さんの想いが地域に広がり理解され、住民や企業も一丸となってこどもたちを応援していることが感じられました。

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7月7日(日)

◆フィールドワーク『40年前から蓄積してきた小布施町の古いまちづくりを中心に』

 2つのグループに分かれ、小布施町中心部の「町並み修景事業」の実施地域でまちあるきを行いました。町の建物1軒1軒が屋根や外壁の色にこだわり、新旧の建物がうまく調和した美しい町並みでした。

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 特に印象に残ったのは「まちとしょテラソ」です。2009年に開館した町立図書館であるまちとしょテラソは、学び、子育て、交流、情報発信の4つのコンセプトにより、交流と創造を楽しむ文化の拠点として建築されました。館長や設計士、愛称は全国公募で選定され、ここにも町外の人の意見を受け入れる小布施町らしさを感じられました。
 また、小布施町では現在130件ほどの家でオープンガーデンを開いています。行政と町民の協働力、町民のおもてなしの心が町全体として感じられました。

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◆パネルディスカッション

  パネラー:桜井甘精堂代表取締役  桜井 昌季 氏
       
一般社団法人ハウスホクサイ代表理事  塩澤 耕平 氏 
       小布施町産業振興課長  西原 周二 氏
モデレーター:小布施町地方創生主任研究員 大宮 透 氏

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 大宮氏をモデレーターとして、桜井氏、塩澤氏、西原氏から、協働・交流の観点で、小布施町の現状・課題や、よりよい小布施町を作るために心がけていることを中心にお聞きしました。
 
桜井氏からは、小布施を盛り上げていく時に大切にしていることとして、"オール小布施の精神"、行政の中で完結せず一企業として何ができるかを常に考えること、行政と町民がお互いをうまく利用し合うこと、自分だけの価値観に固まらず、外部の人と連携することでいろんな目線を得ること等の意見がありました。
 
塩澤氏からは、小布施町内外の"つなぎ役"の大切さ、小布施町が大事にしているところを汲み取りながら、町外の人を小布施町とつなぐために心がけていることをお聞きし、町外出身者としての苦労とやりがいを知ることが出来ました。
 
西原氏からは、行政は「前例がないことはできない」と考えがちだが、どうしたらできるか、できるようにしたいと考えることが大切。また、はじめは効果が出づらいものであっても、継続することで結果がみえ、気持ちが変わるものも多い等といった、行政視点での経験談をお聞きすることが出来ました。 

◆振り返りワークショップ

 8つのグループに分かれ、3つのテーマに基づいて意見交換しました。

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 2日間の講義やフィールドワーク等で感じた、小布施町の「協働と交流のまちづくり」とは何か、そして、この2日間の実践塾で感じた学びをそれぞれのメンバーが考え、互いに意見を出し合いました。グループワークで意見交換する中で、自分では見つけられなかった新たな視点も生まれ、より深い学びにつながりました。最後に、実践塾で得た学びを今後の業務に活かすための具体的な第一歩を考え、一人一人宣言しました。

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まとめ

 小布施町では、町内外の人や企業が混ざり合って動くことが出来る協働の場づくりを行政が責任をもって行っていました。提案されたことは実現させるという行政の覚悟、町内外の人や企業をつなぐの人の存在(大宮氏・塩澤氏)、外からの意見を取り入れる町民の柔軟性、小布施のことを知り小布施を盛り上げたいと思う町外の人・企業が、小布施町の協働を支えていると感じました。町民全員が納得する町づくりをするために時間をかけた"継続の力"があるからこそ今の小布施町があり、1つの信念をもち続けていくことの大切さを改めて感じました。

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カリキュラム

◆1日目:76日(土)
 開講式
 オリエンテーション/小布施町地方創生主任研究員 大宮 透 氏
 講義「協働と交流のまちづくり」/小布施町長 市村 良三 氏
 フィールドワーク~小布施の新しいまちづくりの芽生えを巡る~
  ・ながの電力小水力発電
  ・ハウスホクサイ
  ・浄光寺

 講義「人が集まる楽しいお寺づくり」浄光寺副住職 林 映寿 氏
 交流会
◆2日目:77日(日)
 まちあるき~中心部の「町並み修景事業」の実施地域~
 パネルディスカッション    
  ・パネラー  :桜井甘精堂代表取締役社長  桜井 昌季 氏
          一般社団法人ハウスホクサイ  塩澤 耕平 氏        
          小布施町産業振興課長  西原 周二 氏
  
  ・モデレーター:小布施町地方創生主任研究員  大宮 透 氏
 振り返りワークショップ
 閉講式

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