2019年度 第4回 地方創生実践塾in高知県梼原町(終了しました)

地方創生実践塾 終了レポート

2019年04月24日


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2019年度 第4回 地方創生実践塾 in 高知県梼原町
小さな拠点 ゆすはらづくり~集落活動を核とした、地域の再活性化~

 令和元年8月3日(土)~4日(日)の2日間にわたり、梼原町で、「小さな拠点ゆすはらづくり~集落活動を核とした、地域の再活性化~」をテーマとして、2019年度第4回目の地方創生実践塾を開催しました。全国各地の自治体職員など41名のご参加をいただきました。

8月3日(土)

 最初に梼原町の西村新一副町長より、歓迎のご挨拶をいただきました。

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◆講義「梼原町のまちづくり~生きるしくみをつくるために、考え方を変えよう~」

講師:矢野 富夫 氏(前梼原町長)

 主任講師である矢野前町長から、仕事に対する考え方、生きる仕組みである「小さな拠点ゆすはらづくり」、集落ごとの地域課題を解決する住民自治組織「集落活動センター推進委員会」の活動についてご講義いただきました。地域の観光資源を見つめ直すとともに、町の今後の方向を定めるため、町職員全員で住民の聴き取り調査を行い、「環境・福祉・絆を大切にした選ばれるまちを目標にした」というお話が梼原のまちづくりを表していると感じられました。また、矢野前町長の仕事に対する情熱や成果を出す方法、そして固定概念にとらわれず「自分の考え方を変えていくこと」が大切であるという言葉が印象的でした。

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◆フィールドワーク①集落活動センター四万川 「地域住民の暮らしを守る 地域のための会社」

講師:集落活動センター四万川推進委員会会長 空岡 則明 氏

 一つ目のフィールドワークでは、ガソリンスタンド・食用品販売・自動車整備スペースを兼ねた複合施設である集落活動センター四万川を見学しました。平成25年に地域唯一のガソリンスタンドが廃業の危機に瀕したことで、住民自らが地域のための会社を設立して運営していることや、暮らしを守るだけでなく地域の特性を生かして収入を得る仕組みについてお話を伺いました。小さなことからでも「できることから進める」を合言葉に地域一丸となって取り組む姿勢を学びました。

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◆フィールドワーク②集落活動センターゆすはら西 「捕獲鳥獣をお金に換える仕組み」

講師:NPO法人ゆすはら西 ゆすはらジビエの里施設長 平脇 慶一 氏

 二つ目のフィールドワークでは、集落活動センターゆすはら西が運営する「鳥獣解体処理施設ゆすはらジビエの里」を見学し、平脇施設長から地区の漁師が捕獲した鳥獣を地域資源として活用する仕組みと、全国初の「移動式解体処理者ジビエカー」による捕獲から解体、精肉、出荷までをワンストップで行う仕組みについてお話しを伺いました。西区では高齢化や担い手不足による集落機能の低下、鳥獣被害により農家の生産意欲の低下という課題に対し、四万川と同じく「できることから進める」を合言葉に取り組んでおり、地域資源を活かす活動を学ぶことができました。

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◆フィールドワーク③集落活動センターおちめん 「人・物・お金が循環する仕組みづくり」

講師:越智面区長 上田 末喜 氏

 三つ目のフィールドワークでは、集落活動センターおちめんが運営する集落活動拠点「越智面遊友館」を見学し、上田区長から地域食材を活用した特産品開発、廃校を活用した活動拠点による観光・研修の誘致などによってヒト・モノ・カネの流れをつくる取組のお話しを伺いました。上田区長の「越智面が元気になれば他の地区も元気になり、町内六区が力を合わせて元気になれば梼原が元気になる。楽しくやろう。」という言葉が印象的でした。

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8月4日(日)

◆講義 梼原町立図書館 雲の上の図書館「人と人をつなぐ、人と本・文化をつなぐ場」

講師:梼原町立図書館 館長 見目 佳寿子 氏

 平成30年に建築家隈研吾氏の設計によって建てられた町立図書館「雲の上の図書館」の梼原人を育てる取組、LENコード(カメレオンコードシステム)による独自の書類分類についてお話しを伺い、館内を見学しました。全館靴を脱いで利用する館内には、カフェコーナーやボルダリング設備、ジオラマ展示があり、子どもからお年寄りまで全ての世代が気軽に利用できる施設となっていました。「町内丸ごと図書館構想」で矢野前町長が掲げた地域や家庭で支え合う絆の文化を受け継ぎ、人と接することで安心感を与えケアする心の診療所となる図書館を目指す思いが形になっていることを知ることができました。

◆講義 梼原町複合福祉施設 YURURIゆすはら「梼原で安心して暮らし続ける仕組み」

講師:梼原町保健福祉支援センター長 明神 孝洋 氏

 町の保健福祉、医療の取組について明神センター長からお話しを伺い、雲の上の図書館と併設する形で建てられた梼原町複合保健福祉「YURURIゆすはら」を見学しました。かつて無医地区をを経験した梼原町が福祉や医療の整備をどのように進めて来たかのプロセスや、施設待機者をゼロにする仕組みによって住み慣れた地で安心して暮らすことができるまちづくりを学びました。

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 ◆グループワーク・発表・講評

 参加者が5~6人に分かれて行ったグループワークでは、この実践塾での学びと視察から感じたことや気づきをまとめ、グループで共有・意見交換を行いました。グループでまとめたことや質問を発表し、矢野前町長から受講生へ講評と熱いメッセージをいただきました。講評の中で「この地方創生実践塾が終わりではなく、今日からがスタート。この地で学んだことを持ち帰り、できることから実行してほしい。」、「初心にかえって皆さんの意見を参考にしながら、これからも梼原町は住民とともに取り組んでいきたい。」との言葉が印象的でした。

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まとめ

 本実践塾では、矢野前町長の梼原町に対する熱い想いと、梼原町役場の職員と一緒にまちづくりを進めてきた住民の高い意識を感じました。フィールドワークで訪れた集落の活動は、どれも「できることから進める」を合言葉に地域資源・観光資源を上手に活用して、梼原で「生きていく」仕組みを作るための仕掛けがありました。住民一人一人が自ら考え、変わるために学習し、コミュニケーションと行動に移すことが成果に繋がっていること、最初から100点満点を求めず、10店でも良いという住民の理解が大事であると学びました。幕末に維新回天を志し、梼原の地から脱藩した坂本龍馬のように、受講者は二日間の実践塾で学んだことを活かしていくことが仕事に対する意識改革の第一歩として、それぞれの志を実現すべく梼原の地から「脱藩」しました。

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<最後に参加者の方から頂いたお言葉の一部を紹介します>

・大変有意義な2日間を過ごすことができた。今後、自身の業務に活かしていきたい。

・前町長、職員の方と直接熱い想いを対話出来て良かった。

・公務員として視野が広がる研修であった。

・顔を合わせた対話でしっかりとやりたいことを聞き取りながら、考えて考えて考えぬいた地域づくりを行っていきたい。

・地域の人の志とそれを受けて進める行政のチームワークを強く感じた。課題もまだまだあるという梼原町の職員の言葉から梼原町の可能性を感じた。

・住民自ら問題点に向き合い、行政と共に解決していく仕組み、時代の流れと共に仕組みを変える柔軟さ、この2点が分かっていても実行できない場所が多く、「自分ゴトにして自ら考えさせる」リーダーの質を感じた。

・梼原町の取組には元気をもらった。華やかな成果の土台には、役場の方の日々の努力、地域の方の頑張りがあると思う。すばらしい。

・大変ためになる内容ばかりで、勉強になった。梼原町に本当に移住したいと思うほど、安心感のあるまちづくりで若い世代がこれから増えていくであろうと感じた。

・子供たちがのびのびと育ち、未来を考え、未来に向かっていくストーリーがあって、次の世代に繋がる仕組みに感動した。

・まちづくりのコンセプトが分かりやすいため、町民にも外からも共感しやすい。まちづくりにおける対話の重要性や主体性、ストーリーづくりの大切さを学んだ。

カリキュラム

◆1日目:8月3日(土)
 開講式
 講義「梼原町のまちづくり~生きるしくみをつくるために、考え方を変えよう~」/矢野 富夫 氏
 フィールドワーク①集落活動センター四万川「地域住民の暮らしを守る 地域のための会社」
 フィールドワーク②集落活動センターゆすはら西「捕獲鳥獣をお金に換える仕組み」
 フィールドワーク③集落活動センターおちめん「人・物・お金が循環する仕組みづくり」
 交流会
◆2日目:8月4日(日)
 講義「人と人をつなぐ、人と本・文化をつなぐ場」/梼原町立図書館 館長 見目 佳寿子 氏
 講義「梼原で安心して暮らし続ける仕組み」/梼原町保健福祉支援センター長 明神 孝洋 氏
 グループワーク・発表・講評
 閉講式

連絡先

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