2019年度 第7回地方創生実践塾 in 秋田県由利本荘市(終了しました)

地方創生実践塾 終了レポート

2019年06月12日

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2019年度 第7回 地方創生実践塾 in 秋田県由利本荘市
「鳥海山木のおもちゃ美術館がリデザインする地域の物語」

 令和元年10月4日(金)~5日(土)、由利本荘市にて「鳥海山木のおもちゃ美術館がリデザインする地域の物語」をテーマに2019年度第7回目の地方創生実践塾を開催しました。全国各地の自治体職員など32名の方にご参加いただきました。

10月4日(金)

 はじめに由利本荘市の小川裕之総務部長より、歓迎のご挨拶をいただきました。

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◆講義「木のおもちゃ美術館の挑戦~地域資源を活用した産業等の活性化~」

主任講師:佐藤 弘幸 氏(由利本荘市教育委員会生涯学習課 課長待遇) 

 本実践塾の主任講師を務める由利本荘市の佐藤弘幸氏より、美術館設立までの経緯や美術館にかける思いなどについてご講義いただきました。市の面積の約75%が森林という恵まれた木材資源を有する由利本荘市では、地域資源を活用した新しい産業の育成を図るため「木育」を推進しており、国登録有形文化財の旧鮎川小学校廃校舎の利活用や子どもの遊び場の創出を求める市民の声があったこともあり、鳥海山木のおもちゃ美術館整備事業がスピード感を持って進んだそうです。地域住民の方にも事業について丁寧に説明し、おもちゃ美術館の必要性について理解を得たという話も印象的でした。

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◆フィールドワーク「鳥海山木のおもちゃ美術館見学」

 おもちゃ美術館スタッフの方に案内していただき、体育館を改装し秋田県材で木質化された「もりのあそびば」や、秋田杉材の床が広がる2歳以下の赤ちゃん専用の「ハイハイひろば」などを見学しました。子どもたちと保護者が一緒に木のおもちゃで遊ぶ様子や、ボランティアのおもちゃ学芸員が来館者とコミュニケーションを取っている様子を見ることができました。

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トークセッション①

コーディネーター:多田 千尋 氏(認定NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長)

パネラー: 大場 ひろみ 氏(おもちゃ学芸員)

      佐藤 剛 氏(鳥海山木のおもちゃ美術館 企画運営部マネージャー)

      太田 賢 氏(株式会社鳥海トライブ 営業統括マネージャー) 

 美術館の運営に携わるスタッフの方3名から、今の仕事に関わるようになったきっかけや日々の業務で心掛けていること、今後の抱負などについてお話を伺いました。3名とも他のスタッフや来館者、地域の方とのコミュニケーションを大切にしながら、楽しんで業務にあたっていらっしゃいました。セッション中には鮎川小学校の卒業生でもある佐藤剛さんが校歌を斉唱してくださり、終始和やかな雰囲気のもとでお話を伺うことができました。

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講義「木育とおもちゃ美術館による地方創生」

講師:多田 千尋 氏(認定NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長) 

 東京おもちゃ美術館の館長で、鳥海山木のおもちゃ美術館整備事業の監修を務めた多田千尋氏より、日本の木を活かすために木育を推進してきた経緯や全国に展開する姉妹おもちゃ美術館の今後の構想などについてお話いただきました。「おもちゃ学芸員」というおもちゃ美術館内で働くボランティア制度を考案し、地域の人が活躍する場を創出してきた話が印象に残りました。おもちゃ学芸員制度は地域住民が当事者意識を持って地域に関わるきっかけになっていると感じました。

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10月5日(土)

トークセッション②

コーディネーター:佐藤 弘幸 氏

パネラー:和田 良司 氏 (木楽工房)

     岡本 雄 氏 (木工舎つきのわ)

 由利本荘市が行っている赤ちゃん誕生祝い品贈呈事業において、木のおもちゃを制作している地元の木工職人お二人から、現在の仕事に関わり始めたきっかけや誕生祝い品の制作に至った経緯、制作したおもちゃに込めた思いなどについてお話を伺いました。おもちゃの制作にあたっては由利本荘市らしさや赤ちゃんが遊ぶときの安全性について十分考慮されたそうです。由利本荘市の木育事業を牽引されてきた職人さんの話をお聞きできる貴重な機会となりました。また余談ですが、途中でおもちゃ美術館付近に暮らしているカモシカの「よしお」が特別ゲストとして登場し、非常に和やかな雰囲気となりました。

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◆ワークショップ「おもちゃ学芸員と語る会、おもちゃ学芸員体験、おもちゃづくり体験」

 3班に分かれて、3つのワークショップを順番に行いました。おもちゃ学芸員と語る会では館内でボランティアをされている学芸員の方から、活動のきっかけや日頃の思いをお聞きしました。前向きにやりがいを感じながら取り組まれている様子が印象的でした。また、おもちゃ学芸員体験では、実際に美術館内で来館者と交流し、普段学芸員さんがどのように活動されているのか学ぶことができました。おもちゃづくり体験では、鳥海山の埋もれ木を使ったペンダントを作製しました。普段おもちゃ美術館で開催されているワークショップがどのような雰囲気で進行しているのか知ることができ、スタッフの方のおもてなしの心に感銘を受けました。

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◆グループワーク

 グループワークでは、この実践塾での学びや気づきを共有しました。まず「由利本荘市の物語の核は何か?」というテーマでは、「地域資源の活用」「人材育成」「ふるさとへの熱い思い」等の意見が挙げられました。また、「あなたのまちの物語の核は何か?」という問いに対して参加者数名から発表があり、今回の学びをまちに持ち帰り、地域にあるものを活用して地域づくりに取り組む決意を感じました。

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まとめ

 鳥海山木のおもちゃ美術館は、廃校となった小学校校舎や地元の木材、地域の歴史・文化などの地域資源を有効に活用し、東京おもちゃ美術館の単なる模倣にとどまらない、地域独自の美術館となっていました。運営にあたっては、行政だけではなく、地元の職人や住民の方も巻き込み、その方達がやりがいと当事者意識を持って活躍されている点に感銘を受けました。また、おもちゃ学芸員の方自身も楽しみながら従事しており、そのことが、学芸員のモチベーション維持やお客さんにも楽しんでもらうことにつながっていると感じました。

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<最後に参加者の方から頂いたお言葉の一部を紹介します>

・たくさんの当事者の方のお話を聞けて勉強になりました。

・おもちゃ美術館を見て、感じることができ、有意義な時間でした。

・おもちゃ美術館の整備についても講義で触れていただいて非常に興味深かった。

・仲間づくりをもっと真剣にやろうと思いました。狭い範囲にとらわれすぎていたかも。

・実際に体験をする講義が多く、とても楽しく参加させていただきました。

 学芸員さんたちからもたくさんの貴重なお話をいただけて良かったです。

・貴重な講師の方々のお話を伺い、参考になるものが非常に多かったです。

 フィールドワークによりHPや個人で来館しただけではわからない点をたくさん学べました。

・自分の地域にあてはめて独自にできることを考えたいと思うようになった。

・施設も素敵だが、住民等の関わらせ方が見事でした。

・行政の担当者、学芸員、NPOの方、職人と、関わる多方面の方からそれぞれお話を伺えたことで、

 様々な角度からおもちゃ美術館をはじめとする事業の素晴らしさを見ることができました。

カリキュラム

【1日目】10月4日(金)

 ◆開講式

 ◆講義「木のおもちゃ美術館の挑戦~地域資源を活用した産業等の活性化~」

  主任講師:佐藤 弘幸 氏(由利本荘市教育委員会生涯学習課  課長待遇)

 ◆フィールドワーク 鳥海山木のおもちゃ美術館見学

 ◆トークセッション①

  コーディネーター:多田 千尋 氏(認定NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長)

  パネラー: 大場 ひろみ 氏(おもちゃ学芸員)

        佐藤 剛 氏(鳥海山木のおもちゃ美術館 企画運営部マネージャー)

        太田 賢 氏(株式会社鳥海トライブ 営業統括マネージャー)

 ◆講義「木育とおもちゃ美術館による地方創生」 

  講師:多田 千尋 氏(認定NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長)

 ◆交流会

【2日目】10月5日(土)

 ◆トークセッション② 

  コーディネーター:佐藤 弘幸 氏

  パネラー:和田 良司 氏 (木楽工房)

       岡本 雄 氏 (木工舎つきのわ)

 ◆ワークショップ「おもちゃ学芸員と語る会、おもちゃ学芸員体験、おもちゃづくり体験」

 ◆グループワーク

 ◆閉講式

連絡先

セミナー統括課
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:seminar@jcrd.jp