2019年度 第8回地方創生実践塾 in 長野県飯田市(終了しました)

地方創生実践塾 終了レポート

2019年07月05日

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2019年度 第8回 地方創生実践塾 in 長野県飯田市
「地域課題から始まった住民の挑戦~共創の場から生まれた地域主体のまちの姿~」

 2019年11月2日(土)~3日(日)、「地域課題から始まった住民の挑戦」をテーマに、本年度8回目の地方創生実践塾を飯田市にて開催しました。全国各地の自治体職員など32名の方にご参加いただきました。

11月2日(土)

はじめに飯田市の牧野光朗市長より、歓迎のご挨拶をいただきました。

講義1「中心市街地のまちづくり」

特別講師:株式会社 飯田まちづくりカンパニー事業部 参事 遠山 広基 氏

 中心市街地のまちづくりに関して、株式会社飯田まちづくりカンパニー業務部参事の遠山広基氏による講義では、第三セクターを活用した飯田市の公民協働による地域経営についてお話を聞くことができました。中心市街地の空洞化が大きな課題となる中で、飯田市は街並み整備に取り組んでおり、同カンパニーはディベロッパー事業、プロジェクト事業による街中再生を担っています。同カンパニーの中核事業であるディベロッパー事業では、再開発ビルにおける住宅販売や店舗買い取り・賃貸事業に成功し、街中に定住人口を呼び込むとともに収益を支援事業に充て、市民グループによる活動の広がりに貢献されていました。

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講義2「市民の様々な街づくりとしての取り組みとその特徴」

  特別講師:リンゴ並木まちづくりネットワーク コーディネーター 桑原 利彦 氏

 リンゴ並木まちづくりネットワークの桑原利彦氏の講義では、中心市街地で活動する団体の緩やかなネットワークが形成された経緯やその特徴を紹介されました。同ネットワークは代表を置かず、30 前後の団体の人々が月1回の集まりで自分たちの活動を報告し合い、その中から年代や立場を超えて協力関係が生まれてきたそうです。

 共創の場がいかに平場でフラットな関係性の場でなければならないことを学ぶことができました。

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講義3「真の地方創生を実現する処方箋とは」

  特別講師:飯田市長 牧野 光朗 氏

 飯田市では市民参加による社会的イノベーションにより活発で多彩な取り組み次々に行われています。飯田市長の牧野光朗氏による講義の中で、真の地方創生を実現するには、地域社会の基盤としてのコミュニティの質を向上させることが不可欠であることを学びました。飯田市では、充実したコミュニティの基盤の上でボトムアップによる地域づくりが進められ、フラットな関係性のもとでアイデアを出し合い、議論し合意形成を図り、市民参加の事業の立ち上げに結び付ける場である「共創の場」が様々に形成されていました。特に、飯田市の20地区で形成される地域自治組織「まちづくり委員会」と地区公民館は最も基本となる共創の場となっており、まちづくり委員会は行政と協働した取り組みを行う場合の基盤としても重要な役割を担っていました。

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講義4-①「市民主体のいいだ人形劇フェスタ」

  特別講師:いいだ人形劇フェスタ実行委員長 原田 雅弘 氏

 4-②「市民主体のオーケストラと友に音楽祭」

 特別講師:オーケストラと友に音楽祭実行委員長 塩澤 哲夫 氏

  飯田市では人形劇をみたり、演じたり、支えたりすることで心を豊かにし、人形劇が発展して地域の文化がさらに高まることで飯田市が元気になることを目指す「飯田人形劇フェスタ実行委員会」や市民とプロオーケストラとのコラボレーションにより、クラシック音楽を楽しみ、学びながら市民が創る音楽祭を開催している「オーケストラと友に音楽祭実行委員会」など、様々な委員会活動によるまちづくりが行われています。これらは「実行委員会方式」により、実行委員会をテーマ型の共創の場と位置付け、住民同士が議論し、共につくり上げていくボトムアップ方式を基本としています。行政職員は黒子役に徹するとともに、ときには実行委員会の一員の地区住民として参加しています。飯田における共創の場の大きな特徴は平場であることであり、参加者間のフラットな関係性のもとでアイデア出しや議論が行われていました。

 まちづくりに関わる行政職員の在り方として、飯田市には学ぶべき点が多くありました。

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フィールドワーク「りんご並木と中心市街地」

 フィールドワークでは、りんご並木と飯田市中心市街地を散策しました。りんご並木は昭和22年飯田大火の復興のシンボルとして広まりましたが、現在は街のシンボルとしても親しまれ、月に一度歩行者天国が行われるなど、市民の集まる場となっています。

 また、中心市街地には「並木横丁いこいこ」と呼ばれる商店街があります。ここは空き店舗の増加などで空洞化が課題となっていた中心市街地を活性化するために整備されました。リラクゼーションや雑貨などの複合型を含む7つの飲食店が入っており、親子連れや若者、高齢者など様々な世代の人たちが集う場所になっています。

 このように、飯田市の中心には市民・来訪者を問わず人々が集まれる場がつくられており、親しみを持てる街でした。

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11月3日(日)

講義5「飯田の地域自治と協働の仕組み」

  特別講師:飯田市役所市民協働環境部長 松下 徹 氏

  飯田市の地区公民館はまちづくり委員会の中に位置付けられ、まちづくり委員会の各部門と連携するとともに、飯田市の社会教育機関としても位置付けられており、行政職員が公民館主事として配置されています。ここに飯田市の地域づくりの鍵がありました。

 地域課題を住民が学習することなしには優れた取り組みは生まれないというお話がとても印象的でした。

グループワーク

 グループワークでは、参加者が4~5人のグループになり、飯田市の地域人教育の事例から「持続可能な地域づくり」について考えました。各グループの発表では、「農家の担い手不足」や「移住者と地元住民の繋がりの形成」など各々で異なった地域課題に対し、地域課題を解決するための共創の場づくりについて提言しました。「地区単位での話し合いの場をつくる」、「平場での価値観の共有」、「子どもたちも巻き込んだ場づくり」など、飯田市から学んだ共創の場づくりを自分たちのまちでどのように活かすか、各グループで活発な意見交換が行われました。

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まとめ

 本実践塾では、地域コミュニティと自治を基盤としながら共創の場から維持可能な地域づくりに取り組む飯田市の事例から、コミュニティの質と地域経営のあり方について深く学ぶことができた貴重な2日間でした。

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カリキュラム

11月2日(土)

◆講義1「中心市街地のまちづくり」

 特別講師:株式会社 飯田まちづくりカンパニー事業部 参事 遠山 広基 氏

◆講義2「市民の様々な街づくりとしての取り組みとその特徴」

 特別講師:リンゴ並木まちづくりネットワーク コーディネーター 桑原 利彦 氏

◆講義3「真の地方創生を実現する処方箋とは」

 特別講師:飯田市長 牧野 光朗 氏

◆講義4-①「市民主体のいいだ人形劇フェスタ」

 特別講師:いいだ人形劇フェスタ実行委員長 原田 雅弘 氏

   4-②「市民主体のオーケストラと友に音楽祭」

 特別講師:オーケストラと友に音楽祭実行委員長 塩澤 哲夫 氏

◆フィールドワーク「りんご並木と中心市街地」

◆交流会

11月3日(日)

◆講義5「飯田の地域自治と協働の仕組み」

 特別講師:飯田市役所市民協働環境部長 松下 徹 氏

◆グループワーク

連絡先

セミナー統括課
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:seminar@jcrd.jp