【終了レポート】令和2年度地方創生実践塾 in 群馬県みなかみ町

地方創生実践塾 終了レポート

2020年06月26日

令和2年度 地方創生実践塾in群馬県みなかみ町
「自然を活かした持続可能な体験型観光」

 令和2年10月9日(金)~10日(土)の2日間、毎年300万人を超える観光入込客数と約14,000人の体験旅行を受け入れている群馬県みなかみ町を舞台にして、「自然を活かした持続可能な体験型観光」をテーマとする、地方実践塾を開催しました。本実践者には、全国から21名の方が参加されました。

【10月9日(金)】

 実践塾開始に先立ち、共催団体である地元・みなかみ町の鬼頭町長から歓迎のご挨拶をいただきました。

◆講義1「自然を活かした持続可能な体験型観光」

主任講師:田村 秀 氏(長野県立大学 教授、みなかみ町 参与)

 田村氏から、ここ十数年のみなかみ町を取り巻く観光振興の現状についてご講義いただきました。2015年から、国の地方創生人材支援制度をきっかけとしてみなかみ町に関わりをもった田村氏は、「みなかみ町は全てが上手くいっているわけではなく、苦労して、試行錯誤して、今がある」と語られました。参加者に向け「みなかみ町の独自の取り組みについて学び、自分達の地域で実践できる形を見つけてほしい」とメッセージをいただきました。

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◆講義2「みなかみユネスコエコパークについて」

講師:小野 宏和 氏(みなかみ町総合戦略課エコパーク推進係 主幹)

 小野氏から、ユネスコエコパークに認定されたみなかみ町での活動や、これから目指すまちの在り方についてご講義いただきました。

 みなかみ町は、認定されるために特別なことをしたわけではありません。自然・人々のくらし・これまでのまちの歩みである"みなかみの姿そのもの"が世界に認められ、ユネスコエコパークに登録されました。「ここがゴールではなく、認定された後に、みなかみの素晴らしさに気付くこと、一人ひとりが自然を守るために行動を実践することが大切である」というお話が印象的でした。

◆講義3「みなかみ温泉街の現状と課題について」

講師:渡辺 靖彦 氏(水上温泉リノベーションまちづくり事業 実行委員長)

 渡辺氏から、水上温泉街の空き屋・空き店舗の現状をお聞きし、水上温泉リノベーションまちづくり事業実行委員会での取り組み内容についてご講演いただきました。空き屋所有者への意向調査や空き家への出店者募集などのまちづくりを実践する中で、成功するための秘訣を5つ教えていただきました。その中でも、「1~2年で街が変わることはまずない。はやくても5年はかかる。根気よく取り組むことが大切」という言葉からは、実践してきた渡辺氏の熱意が伝わってきました。

◆フィールドワーク1「水上温泉街リノベーションまちづくりの現状」

説明:
 渡辺 靖彦 氏(水上温泉リノベーションまちづくり事業 実行委員長)
 山田 直彦 氏(湯原温泉街振興会 会長)

 地域づくりの実践者である渡辺氏と山田氏に水上温泉街を案内していただき、講義「みなかみ温泉街の現状と課題について」でお聞きしたリノベーション物件を見学しました。温泉街の賑わいが戻ったことで、水上温泉リノベーションまちづくり事業実行委員の支援を受けずに、温泉街へ出店する店舗も増えたそうです。

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【10月10日(土)】

◆フィールドワーク2「みなかみフルーツランド モギトーレ」

 モギトーレは、1年を通して果物を収穫ができるというみなかみ町の気候の強みを活かした施設です。果物収穫体験がいつでも出来ることや、みなかみ町で収穫された旬のフルーツを使ったケーキやお土産が販売、園内を見渡せるツリーハウスもあります。果物を収穫するだけでなく、果樹園の景色や敷地内の散策を楽しむことができるなど来場者を楽しませる様々な工夫を理解することができました。

◆フィールドワーク3「たくみの里」

説明:
 本多 結 氏(㈱たくみの里戦略推進室 室長)
 林 市治 氏(みなかみ町総合戦略課 課長)

 当日は台風の影響による強い風雨であったため、たくみの里では、主にバスの車窓から里内を見学することになりました。 唯一内部を見学できた「森の恵みと学びの家」は、みなかみ町産材を使ったカスタネット等の製作について解説していただきました。カスタネットの色付け体験や木の種類によって音色が変わる音色選び体験など、みなかみ町産材に触れて楽しむ場となっていました。

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◆講義4「地域資源を活かした教育プログラム」

講師:福田 一樹 氏(一般社団法人みなかみ町体験旅行 専務理事)

 福田氏には、主に子どもたちを対象とするみなかみ町での体験旅行の考え方ついて、ご講義いただきました。コロナ渦にあって、みなかみ町での自然体験を学校教育に中にどのように落とし込むかを考えているというお話から、相手の目線に立って、何が最善か探すことを常に心がけるということを学びました。

 また、体験旅行の受入人数が増えてきたことをうけ「観光地として受入人数の多寡を気にするのではなく、1人当たりの旅費単価を上げる」、「受入側の住民が疲弊しないように、受入人数を調整する」、「企画は1人でせずに2人で行う」といったことを意識し、継続して魅力あるサービスが提供できるように工夫されています。みなかみ町体験旅行の理念である「地域の観光資源の発掘と磨き上げを徹底し、それらを魅力的な体験として商品化する」ということへの強い思いを感じました。

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◆グループワーク・質疑応答

 続いて行われた質疑の時間では、「若者がキーマンとなって動いているが、何かきっかけがあったのか?」「ユネスコエコパークに認定されて、観光客数が増えたのか?」など、みなかみ町のまちづくり活動を見た中で参加者それぞれの視点から様々な質問がされました。回答者として、田村氏、福田氏に加え、みなかみ町役場総合戦略課の林課長と入澤次長も登壇され、それぞれの質問に対して丁寧にご回答いただきました。各参加者にとって、今回の実践塾の内容を改めて理解することができる時間となったのではないかと思われます。

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◆まとめ

 みなかみ町では、ユネスコエコパークにも認定された豊かな自然を活かした持続可能な観光体験が提供されています。

 温泉街には空き家を利活用したお店が並び、みなかみ町の魅力を高める取り組みが行われていることを実感できました。また、地域と来訪者の繋がりを意識して民泊を行うことによって、農村体験が参加者にとっての成長を促す特別な時間になっていることがわかりました。

 みなかみ町での実践塾では、豊かな自然を感じるだけでなく、みなかみで生きている人々の生活や誇りに思う気持ちにふれる機会となりました。"持続可能性"をキーワードにするみなかみ町の独自の事例から、地域資源を磨くだけでなく、受け入れをする地域の負担や地域内で経済をまわすことも意識することの重要性を学ぶことができた2日間となりました。

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カリキュラム

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10月9日(金)

 13:00~13:15 開講式
 13:15~14:25 講義1
「自然を活かした持続可能な体験型観光」
 主任講師
 田村 秀 氏(長野県立大学 教授、みなかみ町 参与)
 14:45~15:25 講義2
「みなかみユネスコエコパークについて」
 講 師
 小野 宏和 氏(みなかみ町エコパーク推進室 主幹)
 15:35~16:05 講義3
「水上温泉街の現状と課題について」
 講 師
 渡辺 靖彦 氏(水上温泉リノベーションまちづくり事業 実行委員長)
 16:30~17:30 フィールドワーク1
「水上温泉街(リノベーションまちづくりの状況)」
 説 明
 渡辺 靖彦 氏(水上温泉リノベーションまちづくり事業 実行委員長)
 山田 直彦 氏(湯原温泉街振興会 会長)

10月10日(土)

  9:15~9:45 フィールドワーク2
「みなかみフルーツランド モギトーレ」
 10:00~11:00 フィールドワーク3
「道の駅たくみの里」
 説 明
 本多 結 氏(㈱たくみの里戦略推進室 室長)
 林 市治 氏(みなかみ町総合戦略課 課長)
 11:00~12:00 講義4
「地域資源を活かした着地型旅行プログラム」
 講 師
 福田 一樹 氏(みなかみ町体験旅行専務理事)
 12:45~13:45 グループワーク・質疑応答
 13:45~14:00 総評、閉講式

チラシ

【チラシ】地方創生実践塾 in 群馬県みなかみ町

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