【終了レポート】令和4年度地方創生実践塾in岩手県紫波町 

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2022年08月17日

公民連携でオガールができるまで、そしてその先

令和4年6月17日(金)~18日(土)に、「公民連携でオガールができるまで、そしてその先」をテーマに地方創生実践塾を開催しました。

【令和4年6月17日(金)】

 講義①「民間主導型公民連携とは」

 講師:(株)オガール代表取締役/(一社)公民連携事業機構理事 岡崎 正信 氏

 講師の岡崎氏からは、民間主導型公民連携の推進にあたり、成功循環を生むチームに必要な要素や、必要なメンバーの特性についてご講義いただきました。

自分のために行動をする「自立性」が大事なのではなく、オーナーシップを持つ「主体性」がある人が多いほど組織の成功に近づくとのこと。

 また、事業をはじめる際には、「なぜ?」「なんのために?」をはっきり言語化できることが重要であることや、やり方・手法からスタートするのではなく、「動機・情熱」からスタートすることが重要であること。

 さらに、民間主導型の公民連携は負担者受益である。一方で、行政は受益者負担をベースに考えてしまっているため、先に負担してもらい、それに見合ったサービスを提供していくという考え方が足りていないとのこと。

 最後に、ライバルがいない分野で尖る「ピンホールマーケティング」という考え方や、公共施設を大切に使ってもらうために「安易に安売りに走らないこと」の重要性をお話いただきました。

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 トークセッション「地域資源に付加価値をつけて"なりわい"にする」

 講師:伊藤めぐみ氏(わとな自然農園・てしごとやWatona)、岡崎氏、鎌田氏

 紫波町企画総務部企画課長 鎌田氏の進行のもと、伊藤めぐみ氏と岡崎氏によるトークセッションが行われました。

冒頭には、伊藤氏が紫波町に移住したきっかけや、自然農園事業をはじめたきっかけをお話いただきました。

 トークセッションでは、伊藤氏の自然農園の取組が成功している要因として、岡崎氏から農薬や化学肥料に頼らない野菜を求める潜在ニーズに対してクリティカルな提案ができているとコメントがありました。

伊藤氏からはイベント実施の際に意識しているポイント「①取組を知ってもらうこと②売り上げをあげること」をお話いただきました。

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【令和4年6月18日(土)】

フィールドワーク「オガールさんぽ」

 3班に分かれてオガール地区を歩きながら、各講師から各施設の概要やこれまでの経緯などをご講義いただきました。

 「地元で手に入れられる建材」で、「地元の業者が施工できる建設方法」である、などの各施設の工夫や仕掛けを実際に体感しながら、まちづくりや空間づくりのヒントを学びました。

 講師の方々が生き生きと各施設を紹介されていたことが印象的で、紫波町のシビックプライドを感じました。このシビックプライドがあるからこそ、住民参加、住民主体のまちづくりが可能になるのだと学びました。

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 講義②「参加者のメリットをデザインする」

 講師:株式会社カントリーラボ 代表取締役 宮崎 道名 氏

 オガールプロジェクトをはじめるにあたり、住民とのワークショップに最前線で携わった宮崎さんからは、ワークショップや住民参加イベントに関する考え方やポイントについてご講義いただきました。

 ワークショップは住民を集め、意見を聞くだけの場ではなく、共に作業し、創造する場であり、「おらが」という自分ごとが参加者のメリットになり、まちづくりを自分中心に共に考え、学び、創造するというワークショップのポイントをお話いただきました。

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 講義③「オガールと地域をつなぐ」

 講師:オガール企画合同会社 代表社員 小川 翔大 氏

 オガール企画合同会社でオガール地区でのイベント等を企画・運営しながら、合同会社koeなどで民間企業の立場からまちづくりをしている小川さんの取組についてご講義いただきました。

 老朽化した旧郡役場を活用した複合温浴施設「ひづめゆ」プロジェクトでは、「まちをかませ!紫波をわかせ!」のコンセプトのもと、多世代の交流を図り、まちの活性化を目指しているとお話いただきました。

 まちづくりとは「豊かな選択肢を増やすこと」と教えていただき、誰に、どのように、何をして、豊かになって欲しいかを突き詰め、共感を得ることが大切だと学びました。

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 講義④「これまでと、これから」

 主任講師:紫波町企画総務部企画課長 鎌田 千市 氏

 最後は主任講師の鎌田さんから、オガールプロジェクト実施までの道のりから紫波町の未来についてご講義いただきました。

 講義では、オガールプロジェクトに最前線で携わってきた鎌田さんからこれまでの道のりをお話いただくだけでなく、新しく発生している空き校舎の問題に対する「ノウルプロジェクト」など、これからの紫波町の取組までをお話いただきました。

 民間や住民がやりたいことを制度化、施策化し、機会損失させないようにすることが行政の大きな役割だとお話いただき、役割分担をしつつ、官民の境目なく、力を合わせて最強のプロセスを創ることが官民連携によるまちづくりのポイントだと学びました。

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さいごに(まとめ)

 今回の実践塾を通して、官民の境目なく、行政と民間企業、住民が共に考え、共に創る、真の官民連携について学ぶことができました。

 オガールプロジェクトなど紫波町の取組から、自分の地域には何があり、どのようにしたいかなどを考え、できることから一歩一歩、根気強くまちづくりに向かい合っていきたいと考えました 。

 官民連携の先進地である紫波町で直接当事者のお話を伺い、意見交換ができ、非常に学びのある2日間となりました。

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カリキュラム 

<6月17日(金)>

1.開講式

2.実践塾のねらい・イントロダクション

  主任講師:紫波町企画総務部企画課長 鎌田 千市 氏

3.講義①「民間主導型公民連携とは」

講師:(株)オガール代表取締役/(一社)公民連携事業機構理事 岡崎 正信 氏

4.トークセッション「地域資源に付加価値をつけて"なりわい"にする」

  講師:伊藤めぐみ氏(わとな自然農園・てしごとやWatona)、岡崎氏、鎌田氏

<6月18日(土)>

1.フィールドワーク「オガールさんぽ」

2.講義②「参加者のメリットをデザインする」

  講師:株式会社カントリーラボ 代表取締役 宮崎 道名 氏

3.講義③ 「オガールと地域をつなぐ」

  講師:オガール企画合同会社 代表社員 小川 翔大 氏

4.講義④「これまでと、これから」

  主任講師:紫波町企画総務部企画課長 鎌田 千市 氏

5.写真撮影、閉講式