【終了レポート】令和4年度 地方創生実践塾in和歌山市

地方創生実践塾 募集終了 終了レポート

2023年02月21日

無人島からの地方創生 進化思考×SDGsアイデアソンin友ヶ島

 令和4年10月14日(金)~15日(土)の2日間、和歌山県和歌山市で「無人島からの地方創生 進化思考×SDGsアイデアソンin友ヶ島」をテーマとして、令和4年度地方創生実践塾を開催しました。全国各地の行政職員や大学生など19名のご参加をいただきました。

1日目:10月14日(金)

■1 友ヶ島フィールドワーク(FW)

主任講師:太刀川 英輔 氏(NOSIGNER 代表) 

特別講師:平井 研 氏((一社)加太・友ヶ島環境戦略研究会)

     齋藤 明良 氏(花王㈱マテリアルサイエンス研究所主任研究員)

     滝本 智史 氏(和歌山市企画政策課)

 「友ヶ島」は、紀淡海峡に浮かぶ4島の無人島の総称で、人工物と自然が調和したような雰囲気の砲台跡を巡る散策コースが人気の観光地です。その一方、潮流等の影響による大量の海洋ごみ漂着という課題も抱えています。

 今回の実践塾では、生物が進化するプロセスにヒントを得て創造性を発揮させる「進化思考」を活用しながら、友ヶ島における観光振興と海洋ごみ問題解決を両立できる方法を考えるアイデアソンを実施しました。

 はじめに、主任講師の太刀川英輔氏から「進化思考」について簡単にお話いただきました。生物は「変異」と「適応」を繰り返すことで、進化をしており、「適応」には「解剖(内部)」「系統(過去)」「生態(外部)」「予測(未来)」の4つ視点があるとお話いただきました。フィールドワークでは、その4つの視点を意識して島の状況観察を行いました。

 要塞時代の砲台跡や展望台などの観光名所を巡った後に、北垂水海岸と南垂水海岸を訪れ、特別講師の方々から解説をいただきながら漂着物を観察しました。友ヶ島は大阪湾にフタをするような位置にあるため、大阪湾に面している北垂水海岸には大阪湾由来と思われる漂着物がたくさん流れ着いていました。また、太平洋に面した南垂水海岸では海外のペットボトルをはじめとした外国語表記の漂着物が多く確認されました。回収した漂着物の種類でマスを埋めるビンゴゲームをしながら海岸を観察したことで、楽しみながらも「なぜ無人島にこれほどのゴミがあるのか」「なぜここに流れ着いたのか」といったことを考えさせられました。

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■2 講義Ⅰ「進化思考」(会場:休暇村紀州加太)

主任講師:太刀川 英輔 氏(NOSIGNER 代表)

 フィールドワークでお話しいただいた内容を振り返りながら、太刀川氏が提唱している「進化思考」の基本的な考え方を講義いただきました。「進化思考」とは、生物の進化にヒントを得ることで、本来誰の中にもある創造性を発揮できるようにする思考法です。創造性は限られた人だけが持てるものではなく、生物の進化過程のように「変異」と「適応」を繰り返すことで誰でも持ち得るものであり、常識に囚われずに考えることや偶然の出来事にオープンな姿勢でいることが創造性を発揮するための重要なポイントだとお話しいただきました。

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2日目:10月15日(土)

■3 講義Ⅱ「進化思考カードワークショップ」(会場:休暇村紀州加太)

講師:太刀川 英輔氏(NOSIGNER 代表)

   坂本 宗隆氏(㈱ファンベースカンパニー ファンベースプランナー)

   倉田 潤氏(㈱大広 チーフディレクター)

   名高 新悟氏(㈱名高精工所 代表取締役)

 進化思考を用いたアイデア創出やブラッシュアップの手法を学ぶため、オリジナルカードを用いた進化思考カードワークショップを体験しました。

 カードワークショップでは、フィールドワークで意識した4つの視点を可視化する「時空観マップ」ワークにより友ヶ島の状況を整理しました。そのあと、生物進化の変異パターンを活用して、アイデアの元となる多くの視点を生み出す「変異」ワークにより、アイデアの種を出し合いました。さらに、「アイデア化」ワークによりそのアイデアを具体化し、「適応」ワークによりアイデアをブラッシュアップしました。

 グループワーク終了後、各グループで中間発表を行い、主任講師の太刀川氏によるフィードバックを受けました。

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■4 グループワーク・最終発表

 中間発表でのフィードバックを踏まえ、各グループでアイデアのブラッシュアップを行い、グループごとに最終発表をしました。

各グループのアイデアは、中間発表でアウトプットし、講師からのフィードバックを受けたことで、「どうすれば実現の可能性が上がるか」「どうすればより多くの人に響くものになるか」といいた視点で改善されており、より強いアイデアに進化していました。

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■5 最後に

 今回の実践塾に参加するまでは、良いアイデアは才能がある限られた人にしか生み出せないものだと思い込んでいました。

 しかし、進化思考のメソッドにより、アイデアの出し方、ブラッシュアップの仕方を体系的に学んだことで、良いアイデアを出すことは練習可能で、特別な才能がなくてもできるようになることを学びました。

 また、今回のアイデアソンでは、年齢、性別、職業等のバックグラウンドが全く異なる人とグループになり、アイデアを出し合いました。多様な視点から、「進化思考」によりアイデアを出し合うことで、思いもよらないアイデアが生まれ磨かれていくプロセスを体験し、今後に活かせる学びが深い実践塾になりました。

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カリキュラム

1日目 10月14日(金) 12:20~19:30

◆開校式

◆フィールドワーク「友ヶ島の観光と海洋ごみ」

 講師:平井 研 氏((一社)加太・友ヶ島環境戦略研究会)

    齋藤 明良 氏(花王㈱マテリアルサイエンス研究所主任研究員)

◆講義①「友ヶ島の状況整理」

 講師:滝本 智史 氏(和歌山市企画政策課)

◆講義②「進化思考の概要」

 講師:太刀川 英輔 氏(NOSIGNER代表)

◆交流会(19:30~21:30)

2日目 10月15日(土) 8:30~15:30

◆進化思考カードワークショップ

 講師:倉田 潤 氏、坂本 宗隆 氏、名高 新悟 氏、滝本 智史 氏

◆中間発表及びブラッシュアップ

 講師:太刀川 英輔 氏(NOSIGNER代表)

◆昼食

◆講義③「進化思考におけるコンセプト」

 講師:太刀川 英輔 氏(NOSIGNER代表)

◆最終発表及びブラッシュアップ

 講師:太刀川 英輔 氏(NOSIGNER代表)

連絡先

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