平成28年度第1回土日集中セミナー「志を共有する、新しい多様な資金獲得~具体的な手法から目的実現までの道すじをまなぶ~」

新たな知と方法を生む地方創生セミナー 募集終了 終了レポート

2016年05月14日

平成28年度の第1回地方成功人材のマッチングによる土日集中セミナー「志を共有する、新しい多様な資金獲得~具体的な手法から目的実現までの道すじをまなぶ~」を5月14日(土曜日)、15日(日曜日)の2日間で開催しました。

今回のセミナーでは、少子高齢化によって税収の減少や社会保障費の拡大が課題となっている中で、その解決に求められる新しい資金調達の手法を学べるよう、自治体、民間企業、NPO法人、地域おこし協力隊、総務省、信用金庫という多様な分野の方々を講師陣としてお招きしました。基礎から様々な事例、手法について学んでいくことによって、受講後に参加者自身が実践へと繋げていくことが狙いです。

5月14日(1日目)

センター職員の吉田、安樂

1日目の最初のプログラムとして、当センターで実施している自主研究事業の中で、昨年度、「地方自治体等における資金調達」をテーマに、ふるさと納税とクラウドファンディング等について調査研究してきた内容を、センター職員の吉田、安樂より発表いたしました。これから実践者の講義を聞くにあたって、良い導入部分となっていたようです。

株式会社まちづくり立川事務局長の藤原祥乃氏

続いて、株式会社まちづくり立川事務局長の藤原祥乃氏より、クラウドファンディングの基本の説明から、東京の多摩中央エリアに特化したプロジェクトを掲載するクラウドファンディングサイト"FAAVO東京多摩中央"についてお話しいただきました。一見、簡単に金額を達成できると思われがちのクラウドファンディングも、実は裏には泥臭い広報活動の戦略があるなど、実際の活動を垣間見る講義となりました。

認定NPO法人日本IDDMネットワーク副理事長兼事務局長の岩永幸三氏

次の講義は、認定NPO法人日本IDDMネットワーク副理事長兼事務局長の岩永幸三氏より行われました。岩永氏は佐賀県庁職員でもありますが、こちらの講義では、NPO法人としての活動を後押ししてくれた、佐賀県ふるさと納税の特徴を中心にお話いただきました。ふるさと納税に挑戦したことによって、資金調達や地場産業の振興に寄与するだけでなく、NPO法人が積極的に取り組んでいる1型糖尿病の認知へも貢献できたと語られ、単純な資金調達に留まらないふるさと納税の使途について改めて考える機会となりました。

山形県朝日町役場地域政策推進課の佐久間淳氏と朝日町地域おこし協力隊の青木亮太氏

特徴的なふるさと納税の事例として、山形県朝日町役場地域政策推進課の佐久間淳氏と朝日町地域おこし協力隊の青木亮太氏からもご講義いただきました。こちらでは、朝日町のふるさと納税によっていかに町の魅力が伝えられ、ファンを増やすことへと繋がっていったかをお話いただきました。朝日町のふるさと納税の目的は、「価格」ではなく「価値」による満足感の提供によって、寄付者の気になる存在になることです。それゆえ、地域おこし協力隊にはデザイナーを雇用し、デザイン面の充実に力を入れています。今回は会場へも返礼品用の箱や封筒等をお持ちいただき、朝日町ふるさと納税の魅力を存分にアピールしていただきました。

東京おもちゃ美術館館長の多田千尋氏

続いては、東京おもちゃ美術館館長の多田千尋氏より、日本ファンドレイジング大賞2015を受賞された東京おもちゃ美術館の資金調達の方法についてご講義いただきました。NPOの社会活動にとって重要な「時間」と「お金」を"フィフティー・フィフティー"に考え、人を繋ぐ手法としてファンドレイジングを活用していく大切さを教えていただきました。多田館長のお人柄もあって、そのお話には多くの参加者が惹きつけられていました。

総務省地域力創造グループ地域自立応援課企画係長の萩原良智氏

最後の講義は、総務省地域力創造グループ地域自立応援課企画係長の萩原良智氏から、総務省で行っている地域おこし協力隊への財政支援や、ビジネスアワードによる起業支援の取り組みとともに、新たな事業「クラウドファンディング官民連携事業」についてもご紹介いただきました。地域おこし協力隊の参加者にとっては特に有意義な時間であったと感じています。

パネルディスカッション

そして1日目の終わりには、パネルディスカッションを実施。ファシリテーターを当センタークリエイティブ事業室室長の前神が務め、パネリストには、岩永氏、藤原氏、佐久間氏、多田氏、萩原氏の5名の方々にご参加いただきました。この日の講義内容を振り返りながら共通点を繋いでいくことで、参加者も多様な手法を整理することができたのではないでしょうか。

5月15日(2日目)

多摩信用金庫価値創造事業部地域支援担当まちづくりグループ調査役の嵯峨洋輔氏

2日目は、多摩信用金庫価値創造事業部地域支援担当まちづくりグループ調査役の嵯峨洋輔氏による講義でスタート。信用金庫の役割や、コミュニティビジネスへの支援等についてお話しいただきました。信用金庫は自治体と異なり、地域を横断していくことが可能です。多摩地域全体の広域連携へ積極的に取り組んでおり、自治体職員としても新たな視点を持つきっかけとなったのではないでしょうか。

株式会社ファンドレックス ファンドレイジング・プロデューサーのイノウエ ヨシオ氏

講義風景

続いて、株式会社ファンドレックス ファンドレイジング・プロデューサーのイノウエ ヨシオ氏と、佐賀県庁職員の岩永幸三氏による講義を開催。イノウエ様は、佐賀県の市民社会組織CSO支援を目的としたふるさと納税の取り組みを協働でされています。今回はそうした活用方法を知るとともに、参加者の皆様が抱える課題解決に向けて実践的な講義を行っていただきました。

質疑応答

講義後は、2日目にご講義いただいた3氏への質疑応答の時間を設けました。担い手をどこから連れて来ているのかという参加者からの問いに対しては、嵯峨氏は地域の方との雑談や情報交換会から掘り起こしているということを、イノウエ氏は誰かの役に立ちたいと思っている世の中の7割程度の方を引き上げているというお話をされていました。また岩永氏からは、整えた仕組みに人が意義を感じるかどうかは個々の熱意も重要であり、自発の地域づくりを進めていきたいとの言葉がありました。実践に基づいた3氏のお話は、参加者にとって大変興味深かったことと思います。

集合写真

今回のセミナーにて様々な分野の方のお話を聞きましたが、まずは説明、情報発信が基本であり、そこに共感や理解を得られることによって初めて資金が集まるのだと、改めて実感しました。今回得られた多様な資金獲得の手法を活かし、参加者の皆様が目指す目標を達成されることを願っています。

最後に、参加者の声を一部ご紹介します。

  • 共感を得ることが重要と感じました。
  • 自分がNPO法人を立ち上げたことを改めて自覚し、寄付やボランティアにより運営基盤を作ることの正当性を強く意識づけできました。
  • 実践されている方々のお話は臨場感や熱意がすごく、聴講していても心が揺り動かされます。その領域にまで行きたいという気持ちが今後の活動のエネルギーにもなります。
  • 心を動かされました。

プログラム詳細

1日目

開講式 挨拶:地域活性化センター理事長 椎川忍
センター自主研究発表 発表:地域活性化センター 地域支援総務課 吉田桂一郎/研修交流課 安樂良太
講義I 「クラウドファンディングの基本知識と、地域における使い方の事例紹介」
講師:株式会社まちづくり立川 事務局長 藤原祥乃氏
講義II 「認定NPO法人日本IDDMネットワークの"不治の病"を"治る病"にするファンドレイジング(資金調達)」
講師:認定NPO法人日本IDDMネットワーク 副理事長兼事務局長 岩永幸三氏
講義III 「デザインから始めるファンづくり ~朝日町ふるさと納税の挑戦~」
講師:朝日町役場 地域政策推進課 佐久間淳氏/朝日町地域おこし協力隊 青木亮太氏
講義IV 「東京おもちゃ美術館のクラウドファンディングとサポーターづくりについて」
講師:東京おもちゃ美術館 館長 多田千尋氏
講義V 「地域おこし協力隊等の起業支援の拡充等」
講師:総務省 地域力創造グループ地域自立応援課 企画係長 萩原良智氏
パネルディスカッション 司会:地域活性化センター クリエイティブ事業室長 前神有里
パネリスト:岩永幸三氏・藤原祥乃氏・佐久間淳氏・多田千尋氏・萩原良智氏

2日目

前日の振り返り 地域活性化センター クリエイティブ事業室長 前神有里
講義VI 「地域金融機関について~多摩信用金庫の取り組み~」
講師:多摩信用金庫 価値創造事業部地域支援担当まちづくりグループ調査役 嵯峨洋輔氏
講義VII 「ふるさと納税も活用した"自発の地域づくりさ"が"新しい人の流れ"を実現するCSO誘致」
講師:株式会社ファンドレックス ファンドレイジング・プロデューサー イノウエヨシオ氏/佐賀県庁職員 岩永幸三氏
質疑応答
閉講式

連絡先

クリエイティブ事業室
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:creative@jcrd.jp