平成29年度第2回土日集中セミナー「地域経済を見る眼とその手法~RESASを用いて~」

新たな知と方法を生む地方創生セミナー 募集終了 終了レポート

2017年05月20日

今年度の第2回土日集中セミナーでは、「地域経済を見る眼とその手法~RESASを用いて~」をテーマに、地域経済の基礎知識やその分析手法を学びました。

地域の経済の実態を見える化し、現状・課題を正確に認識しなければ、どんな総合戦略も的外れなものになってしまうかもしれません。地域経済分析システム(RESAS)が前提としている地域経済循環構造等の知識の習得や、その分析を基にしたグループワークを実践することで、データに基づいた現状把握と効果的な施策立案ができるようになることを目的に、セミナーを開催いたしました。

5月20日(1日目)

勘や経験に基づく経済分析ではなく、データに基づく経済分析を
岩崎 正敏 【一般財団法人地域活性化センター 常務理事】

地域経済とは、地域が持続・発展していくための基盤となるものです。地域経済には、「生産」「分配」「支出」の3つの側面があります。それぞれの側面ごとに分析を行うことで、地域内でどのように所得が発生し、どのように企業・雇用者に分配され、どう使われているかがわかります。

これまでは勘や経験など「感覚」により施策が立案されてきましたが、RESASを活用することで定量的な「データ」による経済分析が可能になりました。RESASは、産業構造や人口動態、人の流れなどのビッグデータを集約し可視化することで、容易に対象地域の経済状況等を分析することができるシステムです。

勘や経験に基づく経済分析ではなく、データに基づく経済分析を

グループワークI RESASを用いた経済分析
石原 盛次 【一般財団法人地域活性化センター 人口・地域経済研究室長】

講義の後は、実際にRESASを使いながら「福島県西郷村」をモデル地域にSWOT分析(地域の強み、弱み、機会、脅威を分析)を行いました。3グループに分かれてのグループワークでは、「第2次産業、特に電子機械産業の付加価値額が大きい」「首都圏からのアクセスが良い」「進学・就職に伴う人口流出が多い」など地域の強み・弱みを分析しました。

その後の講評では、「これまで知らなかった地域の状況がRESASのデータを読み解くことによって見えてくることがある」と紹介しました。地域に住んでいる人がRESASを使ってみて、なるほどと思うこともあればイメージと違うと思うこともあります。イメージとはあくまで感覚のものであり、裏付けがないものもあります。RESASを用いた経済分析を行うことで、地域の現状を正確に認識することができ、効果的な施策を展開することが可能になると紹介しました。

グループワークI

5月21日(1日目)

グループワークII SWOT分析の結果を踏まえ、課題解決に向けた施策を考える
石原 盛次 【一般財団法人地域活性化センター 人口・地域経済研究室長】

前日に行ったSWOT分析を基に、地域の強みを伸ばす施策・地域の弱みを克服する施策をグループごとに考えました。RESASから地域のどのような状況が見えてくるか、その結果を踏まえて具体的にどのような施策を提案するか、約3時間話し合いが行われました。

発表では、西郷村の第2次産業の強みを活かした「産業観光のまちづくりを進める」といった提案や、酪農が盛んで牛がたくさんいるという強みと観光地への公共交通がないという弱みの克服を合わせた「公共交通の代わりに牛を活用して、ゆっくりと村内を周遊してもらう」といったユニークな提案など様々な案が出されました。

グループワークII

セミナーに参加して学んだこと

一般財源が減少している状況で、自治体は限られた資源(予算・人員)で事業を行うことになります。その際に、どこにどれだけ資源を投入するかデータを使って分析し、検討することが有効な手段です。今回の講義・グループワークを通じて、感覚ではなくデータに基づいた経済分析の手法を学ぶことができたのではないでしょうか。

今後、地元の経済分析を行う際に、今回学んだことを活用して政策提案をしていただければ幸いです。

集合写真

なお、8月19日(土)・20日(日)と12月9日(土)・10日(日)の各2日間、土日集中セミナー「地域経済を見る眼とその手法~RESASを用いて~」を再び開催します。

今回のセミナーと同様、講義の後にRESASを使ってモデル地域の地域経済分析を行います。

平成29年度第5回土日集中セミナー「地域経済を見る眼とその手法」

8月19日(土)・20日(日)

平成29年度第10回土日集中セミナー「地域経済を見る眼とその手法」

12月9日(土)・10日(日)

最後に、参加者の声を一部紹介します。

  • 地域の強みを理解し、活かすことを理解できた。
  • 実践的な内容で大変参考になりました。
  • RESASの見方がわかった
  • 広域的な取り組みの必要性を感じました。

プログラム詳細

1日目【5月20日】

12:30~13:00 受付
13:00~13:10 開講式
13:10~15:10 講義「地域経済分析の基礎知識」
岩崎 正敏(一般財団法人地域活性化センター 常務理事)
15:10~15:20 休憩
15:20~17:50 グループワークI
「RESASのデータを実際に活用したグループワーク①」
石原 盛次(同センター 人口・地域経済研究室長)
17:50~18:10 1日目のまとめ・センター事業の紹介
石原 盛次

2日目【5月21日】

9:00~ 9:30 前日の振り返り(2日目グループワーク説明を含む)
石原 盛次
9:10~12:00 グループワークII
「RESASのデータを実際に活用したグループワーク②」
石原 盛次
12:00~12:10 閉講式

連絡先

人口・地域経済研究室
TEL:03-6262-2950  FAX:03-5202-0755  E-mail:kenkyu@jcrd.jp