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【終了レポート】平成30年度 第2回土日集中セミナー
新たな知と方法を生む地方創生セミナー 終了レポート
2018年07月11日
平成30年度 第2回土日集中セミナー
「デザイン思考で紡ぐ住民志向のシティプロモーション」
平成30年度第2回新たな知と方法を生む土日集中セミナー「デザイン思考で紡ぐ住民志向のシティプロモーション」を、6月30日(土)~7月1日(日)に開催しました。今回は全国各地から自治体職員など53名のご参加をいただきました。
【1日目】
講義:「共創参画プロモーション~シティプロモーションの新たな展開~」
講師:河井 孝仁 氏(東海大学文化社会学部広報メディア学科 教授)
河井氏はシティプロモーション研究・実践支援の第一人者で、奈良県生駒市など全国の自治体が行う「地域(まち)に真剣(マジ)になる人を増やす仕組みづくりの支援を行っていらっしゃいます。
講義では、シティプロモーションが必要とされている背景から、今必要とされているシティプロモーションの視点・考え方、そして単なるシティプロモーションにとどまらない「共創参画プロモーション」についてお話をいただきました。
地域(まち)に真剣(マジ)になる人を増やす
河 井氏は、昨今問題となっている地方消滅の危機の原因は、人口の減少以上に地域の「担い手」の激減が大きな影響になっているとし、そもそも「地域」とは参画する主権者=住民によって成り立っているもので、その住民が如何に自分事として、地域課題を真剣に受け止め、課題解決に参画してくれるかが、重要であると指摘します。
地 域課題を真剣に考える人、つまり「地域(まち)に真剣(マジ)になる人」をどれだけ増やせるか、そしてその増やすための仕組みづくりが、この人口減少社会を切り抜けるうえで必要であることを学ぶことができました。
そ して、「地域(まち)に真剣(マジ)になる人」を増やすためには、①地域内外からの多様な参画意欲、②地域内外からの推奨意欲、③地域の担い手への感謝の意欲の3つを向上させる仕組みづくりである「共創参画プロモーション」を実現することが求められていることを参加者の方々に語りかけました。
【1日目】
講義:「まちの魅力を計る新たな物差し~Sensuous City 『官能都市』~」
講師:島原 万丈 氏(LIFULL HOME’S 総研 所長)
Sensuous Cityとは、感覚、五感に訴えかける、官能的な都市のことで、都市の魅力を評価する新しい物差しです。
島原氏は現代の都市を「均質化していく都市」と比喩し、住みやすい街の定義が一律に建物や区画の大きさに重点を置き、知名度や人気に左右されがちになっていることを指摘し、本当に住みやすい街とは何か、そして街の魅力の測り方について講演いただきました。
私を主語に都市を動詞で評価する

島 原氏は、人々が都市に生かされるのではなく、人々が都市に生きているという観点のもと、人々が歩き、立ち止まり、座り、眺め、聞き、話すなどのアクティビティがあり、そのために都市が作られていくべきであると語ります。
そして、都市の魅力はアクティビティの量と関係することに着眼し、都市を動詞で評価するという手法をお話いただきました。
都 市を動詞で評価するとは、①不特定多数の他者との関係性、②五感で都市を体感する、という2つの指標からなり、例えばなじみの飲み屋で店主や常連客と盛り上がったなどの他者との関係や、地元でとれる食材や地酒を楽しむなどの体験の多さで都市の魅力を見出す方法を学ぶことができました。
【1日目】
トークセッションⅠ:「まちに関わる、まちを楽しむ」
講師:河井 孝仁 氏 × 島原 万丈 氏
トークセッションでは、住民の当事者意識の必要性や、自治体職員がそのまちに住み日々の生活の中でアクティビティを感じることの重要性などを再確認しながら、官能都市という評価方法を用いたまちづくりについて議論が行われました。
また、実生活では自治体の区分と生活文化圏が乖離していることを念頭に、単体の自治体のみでなく広域でまちを見ることで、官能度の低い部分をカバーし合う広域連携の可能性が導きだされました。
【1日目】
トークセッションⅡ:「本邦初公開!東西の女王による居酒屋トーク」
講師:河尻 和佳子 氏 × 大垣 弥生 氏

東 の女王 河尻 氏(千葉県流山市職員)と西の女王 大垣 氏(奈良県生駒市職員)の居酒屋トークということで、クラフトビールを傍らに、プレイヤー(地域で活躍してくれる人)の発掘方法やアプローチ方法などについて笑いを交えながら柔らかい雰囲気でトークが始まりました。

女 性特有の視点からプレイヤーを、キラキラタイプ、りんりんタイプ、ギラギラタイプ、もやもやタイプ、ちょろちょろタイプの5つのタイプに分け、ユニークな切り口からそれらのタイプ別の攻略方法を知ることで、地域で活躍してくれるプレイヤーを発掘するためのアプローチの仕方を学ぶことができました。
【1日目】
まとめ 河井 孝仁 氏
1日目のまとめとして河井氏に、ご自身の共創参画プロモーションのお話、島原氏の官能都市のお話、居酒屋トーク、各講義でも共通するのは、「多様性」であるとのお話をいただきました。
共創参画プロモーションでは、「地域(まち)に真剣(マジ)になる人を増やす」というポイントがありましたが、地域の大多数が地域のことを真剣に考えていなくてもよくて、「ゆるく」地域のことを考える人など、地域との関わり方には多様性があった方がよいと続けました。
島原氏の官能都市も多様性との関係性があり、居酒屋トークでも多様なプレイヤーとの関わり方がポイントとされ、すべての講義で共通するのは「多様性」というキーワードでした。
関 わり方は様々でも、多様な人材が地域のことを真剣に考えていくことが大切でそれをデザインするのが行政の役割であるとまとめをいただきました。
【2日目】
トークセッションⅢ:「自分のまちを語れる住民を増やすプラットフォーム」
講師:三枝 明大 氏 × 河井 孝仁 氏
三 枝氏は、「地域の魅力を語れる住民を育成する」ことを目的に動画サービス「ジモフル」を経営されており、現代社会は、所有欲が薄れ何でもシェアする時代に突入しているとし、個人の趣味が細分化していることからも、地域情報を分散化する必要があることを指摘しています。
行 政が関わると面白くないと感じる人が一定数いることを前提に、民間企業が動きやすいように行政が立ち回ることで、民間や地域主導でのまちづくりの面白い仕掛けができるのではないかと議論が交わされました。
【2日目】
グループセッション

1 日目、2日目と貴重な話が盛りだくさんでしたが、インプットの次はアウトプットということで、ここまで講演を聞いて感じたこと、伝えたいこと、講師陣に聞きたいことなど講師を交えた4つのグループに分かれ話し合いを行いました。

グ ループセッションでは、講義よりもっと踏み込んだお話や、参加者同士での意見交換で新しい考え方、意見が生まれたりと、講演で学んだことを参加者の方々が自分なりに咀嚼し、磨きあげるとてもよい空間となりました。
ここで、グループセッションでの参加者の声を一部紹介します。
- 地域の主役である住民をどうやって輝かせるかの仕組みづくりについて考えさせられた。
- 市民と行政の距離感が大事であると感じた。
- 仕事をしないために仕事をするという言葉がとても印象的であった。
- 理想だけでなく、課題解決のための実践的なお話がきけて明日からすぐ実践できそうなことが学べました。
また、笑顔もありながら、時には真剣な眼差しで議論を深めたりと参加者の多様な考え方・表情に触れることができました。
以上、終了レポートでした!
今後も面白いセミナーが目白押しですので、是非ご参加ください!!

今後の開催予定
今後の開催予定はこちらから講演者紹介
河井 孝仁 氏(東海大学文化社会学部広報メディア学科 教授)
シティプロモーション研究・実践支援の第一人者。奈良県生駒市など、全国の自治体が行う、地域(まち)に真剣(マジ)になる人を増やす仕組みづくりの支援をおこなっている。
具体性に溢れる「魅力創造ワーク」や「メディア活用戦略ワーク」などにより、まちの特性や資源を見つけ出し、「まちに関わる人=まちを変えることができる人」の共感を戦略的に獲得する手法を先駆的に提示している。
【主な著書】
◆シティプロモーション~地域の魅力を創るしごと~(東京法令出版)
◆シティプロモーションでまちを変える(彩流社)
◆「失敗」からひも解くシティプロモーション~なにが「成否」をわけたのか~(第一法規)
【ホームページURL】
島原 万丈 氏(LIFULL HOME’S総研 所長)
1989年、(株)リクルート入社後、マーケティングリサーチおよびマーケティング戦略プランニングに携わる。2013年、(株)ネクストのLIFULL HOME’S総研所長に就任。
まちを「機能性」ではなく、暮らす人々の「五感」で計るという新しい物差しを提案し、本当に幸せなまちはどこか、まちがもっと魅力的になるためにはどうすれば良いか、これからのまちがどうあるべきかを考えるヒントを投げかけている。
【主な著書】
◆本当に住んで幸せな街~全国「官能都市」ランキング~(光文社新書)
【ホームページURL】
◆https://www.homes.co.jp/souken/report/201509/(LIFULL HOME’S総研公式サイト)
河尻 和佳子 氏(流山市総合政策部マーケティング課 メディアプロモーション広報官)
民間企業で14年間、営業、マーケティングなどを担当後、千葉県流山市役所へ転職。
シティプロモーションに取組む上で、まちの魅力をもとに誰から共感を得たいのかターゲットを明確にし、「母になるなら、流山市。」という広告展開で子育て世代を呼び込み注目を集める。
現在では、「シビックパワーバトル」、「そのママでいこうプロジェクト」など、市民が楽しくまちに関わる仕組みづくりに精力的に活動している。
【ホームページURL】
◆https://www.facebook.com/moricomnagareyama(moricom 森のまちに住む/Facebookページ)
大垣 弥生 氏(生駒市地域力創生部いこまの魅力創造課 課長補佐)
大手百貨店で販売推進を10年間担当後、2008年10月に奈良県生駒市役所に転職。
広報担当として7年間、広報誌のリニューアル、シティプロモーションの立ち上げ、採用広報等に携わる。
現在は市民PRチーム「いこまち宣伝部」の運営や、アウトドアイベント「IKOMA SUN FESTA」、交流促進事業「スタイリングパーティ」の実施など多彩な仕掛けで、地域に関わることがおもしろいことを見える化し、まちの参画者や推奨者の増加に取り組んでいる。
【ホームページURL】
◆http://www.city.ikoma.lg.jp/vod/0000003774.html(いこまち宣伝部/生駒市公式サイト)
三枝 明大 氏(株式会社ジモフル 代表取締役)
出版社編集部、インターネットプロバイダー、広告代理店などを経て、2011年に株式会社マーベラスAQL(現:マーベラス)に入社。デジタルコンテンツ全般の調査分析、プロモーション全般の統括を担当した後、退社。
その後、株式会社ジモフルを設立し、「地域の魅力を語れる住民を育成する」ことを目的とした動画サービス「ジモフル」を開発。サービスの普及による地域活性化に奔走している。
【ホームページURL】
◆http://jimoful.jp/(株式会社ジモフル公式サイト)
スケジュール
1日目(6月30日)
12:30~13:00 | (30分) | 受付 |
---|---|---|
13:00~13:10 | (10分) | 開講式 |
13:10~14:40 | (90分) | 講義Ⅰ 「共創参画プロモーション~シティプロモーションの新たな展開~」 河井 孝仁 氏 |
14:55~15:55 | (60分) |
講義Ⅱ 「まちの魅力を計る新たな物差し~Sensuous City『官能都市』~」 島原 万丈 氏 |
16:05~17:05 | (60分) |
トークセッションⅠ 河井 孝仁 氏 ✖ 島原 万丈 氏 |
17:15~18:15 | (60分) |
トークセッションⅡ 「当日のおたのしみ」 河尻 和佳子 氏 ✖ 大垣 弥生 氏 |
18:15~18:25 | (10分) |
1日目まとめ |
18:45~20:15 | (90分) | 交流会 |
2日目(7月1日)
9:00~9:10 | (10分) | 前日の振返り | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
9:10~9:40 | (30分) |
トークセッションⅢ 「自分のまちを語れる住民を増やすプラットフォーム」 三枝 明大 氏 ✖ 河井 孝仁 氏 |
||||
9:50~11:40 | (110分) |
テーブルトーク 「住民志向のシティプロモーション」 テーブル1 河井 孝仁 氏 テーブル2 河尻 和佳子 氏 テーブル3 大垣 弥生 氏 テーブル4 三枝 明大 氏 ※受講者が各講師のテーブルを巡り対話を深めるセッションです。 |
||||
11~40:11:50 | (10分) |
まとめ |
||||
11:50~12:00 | (10分) |
閉講式 |
連絡先
クリエイティブ事業室
TEL:03-5202-6134
FAX:03-5202-0755
E-mail:creative(at)jcrd.jp ※メールアドレスの(at)は@に変更ください。