【終了レポート】令和2年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー『地域を活かす!!スマート農業』

新たな知と方法を生む地方創生セミナー 終了レポート

2021年01月15日

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 令和2年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域を活かす!!スマート農業」を12月18日(金)にオンラインで開催しました。全国各地から自治体職員など84名のご参加をいただきました。

講義「スマート農業の展開について」

添田 孝志 氏(農林水産省政策課技術政策室情報化推進班課長補佐)

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 平成24年、経験者採用により、食品メーカーから農林水産省に入省。平成30年4月より、稲生産班として、土地利用型農業におけるスマート農業の推進を担当。その後、令和2年7月に政策課技術政策室情報化推進班へ異動し、農業の担い手がデータを活用した生産性向上や経営改善に取り組めるよう、農業データ連係基盤(WAGRI)を活用した農業の推進を担当。

「農業×先端技術=スマート農業」

 農林水産省の添田氏より、現在の農業従事者の状況からスマート農業の必要性や効果、具体的な活用事例について説明がありました。

 農業従事者の減少、高齢化、技術継承など様々な課題がある中で、ロボットやAI、IoTなどの先端技術を生産現場で活用することで、作業の自動化や情報共有の簡易化、生育データ等の活用を図り、持続可能な農業を実現することが可能となります。

 また、海外での取組もご紹介いただき、スマート農業は世界的な潮流であり、日本においてもいかに早期実装するかがカギであることを学びました。

 さらに、具体的な活用事例として、遠隔監視による無人自動走行システムや遠隔・自動制御によるほ場水管理システム、無人草刈りロボット、ドローンの活用など、様々な事例をご紹介いただき、参加者は各地域においてどのようなことができるかを意識しながら受講していました。

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取組紹介①「岐阜県のスマート農業の推進について」

加留 祥行 氏(岐阜県農政部農政課スマート農業推進室長)

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 岐阜県では、平成31年3月に全国に先駆けて「岐阜県スマート農業推進計画」を策定し、ICT、AI、ロボット技術といった最先端のスマート農業技術を活用した経営規模の拡大や高品質生産により、生産性や収益性の高い産地づくりを目指している。本セミナーにおいては、スマート農業推進計画策定に至った経緯、スマート農業推進計画に基づく最先端の取り組み、施策の効果等を紹介。

「スマート農業推進のためのトータル支援」

 岐阜県庁の加留氏より、県におけるスマート農業の取組についてご説明いただきました。

 岐阜県ではスマート農業を推進するにあたり、全国初となる「岐阜県スマート農業推進計画」を策定し、令和元年度からスマート農業に積極的に取り組んでいます。

 目指す将来像として「少ない人材での経営規模拡大の実現」、「経験年数等にかかわらず誰もが取り組みやすい農業の実現」、「単収(面積当たりの作物収量)の向上、高品質生産及び不可価値向上の実現」の3本の柱を掲げ、市町村や生産者、有識者らと協議会を立ち上げ、スマート農業の体制づくりを行っています。

 取組としては、スマート農業に関する情報の発信、国事業を活用したスマート農業実証農場の設置やスマート農業に係る研修の開催、またスマート農業推進員や専門員の配置、スマート農業技術導入支援、新技術の研究など、情報の発信から育成、実証、導入支援、研究にわたって生産者に対するトータル的な支援を行っています。

 今後は、さらなるスマート農業の周知・啓発や実証実験で得た技術の波及及びデータの活用に向けた体制づくりに力を入れ、スマート農業発展に取り組んでいかれるそうです。

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取組紹介②「サラダボウルが目指す未来のカタチ」

田中 進 氏(農業法人株式会社サラダボウル代表取締役)

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 昭和47年、山梨県中央市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。プルデンシャル生命保険を経て、平成16年4月に株式会社サラダボウルを創業。現在、最先端の統合環境制御型大規模グリーンハウスを全国に展開している。

「農業の新しいカタチを創る」

 農業法人株式会社サラダボウルの田中氏より、「農業の新しいカタチを創る」というビジョンのもと、会社としてどのようにスマート農業に取り組んでいるかについてご説明いただきました。

 サラダボウルでは、強い農業現場を構築し農業を地域に価値ある産業とするため、マーケティング・人材育成・事業開発投資・海外事業などに幅広く事業展開しています。そして、生産設計(品種選定、栽培技術など)と生産管理(多収量、低コスト栽培、品質・収量の安定)の面で管理システムを導入し、効率的・効果的に農業を進めていくことに取り組んでいます。

 農業もScienceとTechnologyで大きく変わることを意識し、「できっこない」を次の時代の「当たり前」として、今後もスマート農業に取り組んでいかれるそうです。

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取組紹介③「西部開発農産のスマート農業技術の活用」

清水 一孝 氏(株式会社西部開発農産部長)

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 昭和49年福岡県生まれ(育ちは父の実家がある愛媛県)。平成11年岩手大学農学部中退後、株式会社西部開発農産入社、以来主に生産畑を歩む。生産管理作物は、主に土地利用型畑作作物(大豆、小麦、蕎麦)で、欧米をモデルとした大型機械化農業の考え方を積極的に導入している。現在は、農業生産管理全般(主に生産量向上とコスト削減)に関する事と、それに伴うスマート農業の実装を推進中である。

「機械化と効率の良い農作業の実践」

 株式会社西部開発農産の清水氏より、農地の管理・分析、農作業の工程管理や実施におけるスマート農業の活用についてご説明いただきました。

 西部開発農産では、システムにて農地管理及び分析を行い、効率的・効果的な段取りで田植え作業などを行っています。また、初心者でも安心に作業ができるよう水稲防除作業に完全自律飛行型ドローンを活用し、軽労化とともに精密な農業に取り組んでいます。

 スマート農業の推進により軽労化や省力化、精密化が図られ、限られた時間でいかに労働生産性を高められるか、農業の「働き方改革とコスト削減」について学ぶことができました。

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セミナーを終えて

 現在、日本の農業は、高齢化や担い手不足など各地域で様々な課題が生じています。

 その課題をデジタル技術でどのように改善していけるかについて、具体的な事例を交えながら学ぶことができました。共通していたことは、デジタル技術の活用により、いかに効果的・効率的に農業を行い、担い手を増やしていけるかであると感じました。

 今後、農業のスマート化がますます加速していく中で、新たな農業のカタチができていくことに期待しています。

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以上、終了レポートでした!

当日スケジュール

12月18日(金)

13:30~13:40

開講式

13:40~14:20

講演    講師 添田 孝志 氏

14:20~14:50

取組紹介① 講師:加留 祥行 氏

14:50~15:00

休憩

15:00~15:30

取組紹介② 講師:田中 進 氏

15:30~16:00

取組紹介③ 講師:清水 一孝 氏

16:00~16:30

質疑応答

16:30~16:40

閉講式 ※閉講式後、相談会を実施

連絡先

企画グループ
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:creative@jcrd.jp