【終了レポート】令和5年度【アドバンス(平日2日型)】新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地域力創造大学校®カンファレンス」

新たな知と方法を生む地方創生セミナー 終了レポート

2024年04月15日

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【はじめに】

 地域活性化センターでは、「地域づくりはひとづくり」をモットーに人材育成に積極的に取り組んでいる。令和 3 年には、地方創生を担う人材育成機関「地域力創造大学校®」の商標登録を行い、地方公共団体からセンターへの研修生受入制度を、地域づくりプランナーを養成するための「地域づくり人材養成塾」と位置付け、地方公共団体とは異なる業務体験、各種研修を通じて人材育成に取組んでいる。

また、全国地域リーダー養成塾、地方創生実践塾、地方創生セミナーなどの学びの機会を、全国の地域で活躍される方々を対象に提供している。顧問・フェロー制度の運用開始や「飛び出す!公務員 時代を切り開く98 人の実践」の出版など、地域づくり人材と連携しつつ、積極的に人材育成事業を推進してきた。

【テーマ】

 今回は、これまでの働き方を見直し、変化させていく一歩として、働くことに対する様々な視点からの考察、個人や組織のパフォーマンスを最大限に発揮できる環境づくり、働く上でのウェルビーイングなどについて学んだ。
 リアルとオンラインを併用して開催し、地域活性化センターが地方創生を担う人材育成機関として実施している様々な学びや交流のあり方を、凝縮した形で体感できる内容とした。講義だけでなく参加者を交えたトークセッション、最先端のオフィス視察、そして働く上でのウェルビーイングを考えるゲームなど、多様なプログラムを実施した。

【講義】

椎川 忍(地域活性化センター常任顧問)

講義➀ 地域力創造大学校®のエッセンス」

 本セミナーが冠する「地域力創造大学校」の概要や地域活性化に必要な要素は何か、地域活性化と地
方創生の違いなどについて講義された。
 まず、「地域力」とはその土地が生み出す天然・自然の力、そこに住む人々が生み出す文化の力であり、その何千年と培われた自然と文化を大切にすることが重要であることを述べられた。そして、その地域力を活かして住民が元気になることが「地域活性化」であり、これに加え、その地域の人々が何代にも渡って元気で暮らし続けられるサスティナブルな環境づくりが、現在の地方創生の要諦であることを強調された。
 説得力のある内容であり、地域活性化、地方創生の意味合い、公務員としてのあるべき姿勢等、今後の仕事に活かせる講義であった。

【 トークセッション】

地域活性化センター フェロー 前神 有里 氏
群馬県庁 GINGHAM コミュニティマネージャー 川村 佳恵 氏
群馬県庁 財産有効活用課 主任 比嘉 康貴 氏
UNIVERSITY of CREATIVITY フィールドディレクター 大里 学 氏

『理想のはたらき方』ってどんなもの?」

 トークセッションでは、地域との関係づくり・場づくりを含めた、職場の内外を問わない様々なはたらき方や関連することについて広く話された。
 まず、ふだん住民との距離が遠くなりがちな県庁において、地域との新たな関わり方を生み出そうとチャレンジする群馬県庁内の共創スペース「GINGHAM」の取組について、群馬県庁の比嘉氏と運営スタッフの川村氏から説明があった。「誰もがご機嫌になれる、まるで空の上のまちのような空間」「大人も子どもも同じ空間で楽しめる」という GINGHAM のねらいどおり、実際に、マルシェ開催により多くの人が集い、また平日昼間の県庁に親子で来庁し遊んでいるなど、これまでになかった行政機関と住民の関わりが生まれている。また、今後の更なる可能性についても説明があった。加えて、川村氏からは、職場の内外で他者とうまく連携しつつ成果を出していくためには、自分の考えを伝え、相手の意見も受け止める「対話する力」が重要という発言もあり、多くの参加者から共感の声があった。
 また、同じく民間企業において様々な関係者が集い、新たな連携・取組を生み出す共創スペース「UNIVERSITY of CREATIVITY」について、同施設のフィールドディレクターの大里氏から、運用及び活
動実績について説明があった。
 また、同氏からは興味深い調査事例の報告もあった。同一性の高い組織の生産性は安定する一方で変化に対応しにくい、これに対し組織メンバーの多様性が高まると(組織全体の)生産性の平均値は下がるものの突出したアウトプットも生まれるようになるとの紹介があった。
 これについて、会場からは納得感とともに生産性と多様性の両立の難しさについての関心・意見が多数
寄せられ、はたらく環境を作る上では人材の多様性も必要であることに気付かされた。

【先進オフィス見学、社員意見交換】

ITOKI TOKYO XORK

 ITOKI TOKYO XORK は、株式会社イトーキの本社であるとともにモデルオフィスとして、社員が実際にはたらきながら、これからの時代のはたらき方について提案する施設として位置づけられている。今回はオフィス見学した上で、社員の方とはたらき方やその環境づくりについて意見交換を行った。
 このオフィスでは「集中しやすい」「話しやすい」「リラックスしやすい」など様々なコンセプトの空
間がつくられ、その日の仕事内容に応じて使い分けが可能で、能率を高めやすい工夫がされていた。
 はたらく環境の価値・あり方について考え抜かれているオフィス空間を見ながら、テレワークも含め
たはたらき方の変化、そして今後のはたらく環境づくりや効果的なはたらき方などについて考えるきっ
かけとなった。

【グループワーク】

モデレーター:株式会社パーソル総合研究所

"はたらく Well-being"の体験

 はたらく上でのウェルビーイングの価値を体感できることをコンセプトとしたカードゲーム「いいゆ」を実践した。温泉旅館を舞台として様々な個性を持ち、悩みを抱えるスタッフがいるという設定のもと、悩みの相談に対して相手に寄り添う言葉をかけあい、最も心に響くコメントをくれたスタッフにポイントを渡し合うというゲームである。
 自分や相手にとって響く言葉や、お互いに気遣いあう喜び、大切さを体感できる内容で、今後の職場でのチームプレイの参考となる内容であった。

【グループディスカッション】

コーディネーター:地域活性化センターフェロー 戸田裕昭氏、前神有里氏

あなたにとっての「はたらく」を考える

 本セミナーのまとめとして、仕事を通じていかに価値を発揮できるか、という視点で、ワークシートを基にお互いに話し合い、考えを深め合った。
 シートでは、今やっている仕事が、誰のための仕事で、自分がやる意味、どんな価値を提供できるかなどといった点を振り返る内容で、改めて自分自身の仕事を見つめるとともに、その中でどのようにはたらいていくかを考え直すきっかけとなった。

セミナーを終えて

 本セミナーでは、はたらくという事にも様々な視点があり、「自分がどのような姿勢で仕事に取り組んでいくのか、また理想に対してどのように近づいて行ったらよいか」について、日々の業務に追われていると流してしまいがちなことを、はたらき方を通じて自分自身の人生も含めて、よりよくできるかもしれないと改めて考えるきっかけとなった。
 また、今後の行動に生かせる新たな学びと気付きを得ることができた。参加者からは、「今回のカリキュラムを通じて、多様な方の考え方や価値観に触れ、また自分自身とも向き合うことができた。これまでキャリアの振り返り、今後の仕事への意識のあり方を考えるいい機会になった。いろいろな方の意見を聞けて、明るく、生き生きと働くために必要な職場環境、仕事・休憩の意識、職員以外の人との関わりが影響していることが理解できた。」などの好評の意見が多数あり、全体を通して有意義な学びであった。

連絡先

セミナー統括課
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:seminar@jcrd.jp