【終了レポート】令和2年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー『これからの空き家活用とクリエイティブなまちづくり』

セミナー・研修 終了レポート

2020年11月30日

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 令和2年度 新たな知と方法を生む地方創生セミナー「これからの空き家活用とクリエイティブなまちづくり」を10月25日(日)にオンラインと東京会場の併用型で開催しました。全国各地から自治体職員など21名にご参加いただきました。

講義Ⅰ「空き家問題を取り巻く背景と地域プラットフォームづくり」

高橋 寿太郎 氏(創造系不動産株式会社 代表取締役社長)

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 1975年大阪市生まれ。学生時代は京都にて建築家 岸和郎に師事し、2000年に建築工学とデザインを修了。

 2007年まで東京の設計事務所(古市徹雄都市建築研究所)で、住宅から商業施設、公共建築まで多くの設計業務を歴任。その後2011年まで東京の不動産総合会社で、分譲開発・仲介・管理・コンサルティングなど幅広く業務。
 2011年11月、創造系不動産株式会社を設立。不動産の仲介業務と、建築家・デザイナーとのコラボレーション案件を多く手がける。同時に創造系不動産スクールを開講。2019年より、建築と不動産のあいだを追究する事業として、「いすみラーニングセンター」「創造系旅行社」「建築家住宅手帖」などの展開をはじめる。
 著書に『建築と不動産のあいだ』(学芸出版社 2015年)、『建築と経営のあいだ』(学芸出版社2020年)
 受賞に『これからの建築士賞』(東京建築士会2016)、『グッドデザイン賞』(2016年、2017年、2019年)
 ☆高橋さんについて→https://www.souzou-kei.com/company/profile/
 ☆創造系不動産株式会社について→https://www.souzou-kei.com/

「地域・人・建物を編む編集者」

 空き家問題について、建築士と不動産会社の関係性や専門性を踏まえたコンサルタント業務やプラットフォームの必要性のほか、"地域のくらしとビジネスの可能性を探求する"をコンセプトとした、いすみラーニングセンターの事例から地域の空き家利活用における、地域プラットフォームの在り方についてお話いただきました。

 地域プラットフォームにおいて、地域に関係する人を「地域資源を活用したい人」「地域情報がほしい人」「地域活動を発信したい人」の3者に分け、それぞれの人の属性や置かれている立場、ニーズを明確にし、異なるユーザーグループを繋いでいくことが肝要であることを学びました。

講義Ⅱ「富山県朝日町における空き家活用の実践」

善田 洋一郎 氏(富山県朝日町役場企画振興課 移住定住相談員 )

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 富山県朝日町役場にて移住促進・空き家バンクを担当。憧れの都会生活を満喫していた20代半ば、人生の壁に当たり愛知の山奥に移住、林業に就く。そこで「受け継ぐ」ことの大切さを学び、結婚を機に妻のルーツである富山県朝日町に孫ターンし、婿入り。移住の経験を活かし、2017年より現職。 担当する富山県朝日町空き家・空き地情報バンクは、マッチング率60%を超える。旧料亭をリノベーションした朝日町移住定住拠点施設「こすぎ家」は、町民や移住定住検討者など町内外問わず、様々な人が気軽に立ち寄ることのできる場となっている。

☆善田さんについて→https://www.town.asahi.toyama.jp/iju/kakawaru/1549431599596.html
☆朝日町空き家・空き地情報バンクについて→https://www.town.asahi.toyama.jp/soshiki/kikaku/ijuteiju/akiya_akichibank.html

「身だしなみから始まる空き家活用」

 空き家のマッチング率60%を超える朝日町の空き家バンクの運営手法やプライベートでの取組、地域に対しての意識や姿勢についてお話いただきました。

 善田氏は、「空き家の利活用は所有者と購入希望者の間で契約が成立すれば終わりではなく、購入した人が地域とどう関わっていくか、地域でどう暮らしたいかという部分にまで深く入り込んで相談を受けていくことが大切」と考え取り組んでいるそうです。特に地域の信頼を得るために、身だしなみを整え、元気にあいさつをすることを心がけているとのことです。そうした、地域で信頼関係を築くためのコミュニケーションの在り方も学びました。また、プライベートの活動として、善田氏自身が空き家を利活用してつくった「サンカクヤ」というレンタルスペースのご紹介もありました。この場所では、誰もが気軽に地域でチャレンジできるだけでなく、そうした人を応援し、時には活動を手伝うなど、チャレンジの"関わりシロ"を作り出し、地域の"サンカク(参画)プレイヤー"を生み出していくことを目指しているというお話もいただきました。

グループワーク①

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 講義Ⅰと講義Ⅱでの感想や質問を3-4人のグループに分かれて意見交換を行いました。活発な意見交換が各グループで行われ、「空き家相談の苦労や気を付けた点は?」「コロナでの空き家への価値観の変化は?」といった質問や感想が数十件も寄せられていました。

トークセッション

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 講義Ⅰと講義Ⅱの振り返りのほか、グループワーク①の感想や質問への回答を交え、高橋氏、善田氏のトークセッションが行われました。

 高橋氏からは、「地域活動の運営メンバーを集める手法として、月会費の出費を負担することで責任感やビジネスとしての持続可能性を確保する手法がある」といったお話をいただきました。

 善田氏からは、「空き家バンクは空き家を売りたい人と買いたい人の環境づくりであり、サンカクヤの活動は地域で何かしたい人のための環境づくりだ。それぞれのターゲットは違うが、共通しているのは、まずは話を聞いてもらえる信頼関係をそれぞれと築くことが大事ということだ」といったお話をいただきました。

グループワーク②

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 今までの講義内容を参考に、空き家の利活用に関する以下の事項を参加者自身の地域に落とし込んで考え、講師からアドバイスをいただきました。

 ① 実現したいこと(理想)もしくは解決したい地域の課題は何か

 ② 空き家を使って何をつくるか

 ③ ②をつくるにあたっての障壁は何があるか

 ④ 講義をとおして、③を解消するためにやろうと思うこと

 ⑤ 具体的にどのように作るか

 (いつ、どこで、誰と、誰に向けて、どのように、など)

 参加者からは「活動を展開するにあたって、まわりの人をどのように巻き込んでいけばいいか?」「空き家バンクを運営するうえで、身に着けておいたほうがスキルは?」などといった質問が寄せられ、地域課題を自分事として捉え、現場をリアルに感じることができるグループワークが行われました。

セミナーを終えて

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 高橋氏のお話の中で、いすみラーニングセンターの合言葉である「失敗してもOK、成長しなくてもOK、競争しなくてもOK」「空き家についての明確な方程式はまだなく、どんどんチャレンジして失敗してもいい」という言葉が、空き家の利活用を考える参加者の背中を押していたと感じました。

 また、地元の人の生活が楽しそうに見えることや、自分自身が地域活動を楽しみ、地域を誇れることが、空き家を利活用した地域活性化に大切であることを学びました。

 ほかにもお二人のお話から、空き家というハードを取り扱ううえで、地域住民や一緒に活動するメンバーとの信頼関係を築くことやそれぞれの責任感といったソフトの部分の重要性に改めて気づきました。

 今日、地域が空き家問題に向き合うにあたって、地域ごとの様々な性質の課題が複雑に絡み合っています。本セミナーでは、今後の空き家活用やクリエイティブなまちづくりにつながる大きな学びや気づきを得ることができました。

以上終了レポートでした

今後も面白いセミナーが目白押しですので、是非ご参加ください!

当日スケジュール

10月25日(日)

13:15~13:30

開講式、オープニング

13:30~14:20

講義Ⅰ     講師:高橋 寿太郎 氏 

14:30~15:20

講義Ⅱ     講師:善田 洋一郎 氏

15:20~15:35

グループワーク①

15:45~16:15

トークセッション

16:15~17:45

グループワーク②

17:45~18:00

閉講式 

18:10~19:00

オンライン個別相談・交流会 ※希望者のみ

連絡先

企画グループ
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:creative@jcrd.jp