【終了レポート】これから始める行政のデジタル変革~DX~

セミナー・研修 終了レポート

2020年12月15日

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 令和2年度 新たな知と方法を生む地方創生セミナー「これから始める行政のデジタル変革~DX~」を11月28日(土)に地域活性化センターで開催しました。全国各地から自治体職員など14名のご参加をいただきました。

講師紹介

吉田 泰己 氏(経済産業省 商務情報政策局 情報プロジェクト室 室長)

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2015年から2017年までシンガポール・米国に留学。海外のデジタルガバメントの取組について学ぶ。2017年より情報プロジェクト室所属。経産省DXオフィスの立上げ、事業者向け行政サービスのデジタル化を推進。2020年7月より現職。

市川 博之 氏(Code for Japan コンサルタント、シビックテックラボ 代表理事、市川電産 CEO)

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Code for Japanのコンサルタント、シビックテックラボ 代表理事、市川電産CEOとしてICT全般の「デザイン×デジタル」を組み合わせコンサルティング開発実装を支援する。静岡県袋井市をはじめ、様々な自治体のDX推進を支援している。

講義Ⅰ 「経済産業省が考える行政のデジタル化」

「職員のマインドセット・考え方の変革」

 経済産業省の吉田氏より、DXが取り組まれるようになった背景や推進するための要件などについて説明がありました。

 DXとは単にデジタル技術を導入するのではなく、UI/UXを意識して設計しないと住民に使ってもらえず、データも集まりません。住民にデジタル技術を使ってもらうことでデータが蓄積され、それらを分析することで新たな政策立案につながります。

 「テクノロジーを導入する前に、職員のマインドセット・考え方の変革の方が重要」との話もありました。まずは、今の業務プロセスに問題意識を持った人たちを組織化し、その人たちが中心となって組織を変えていく。さらに、行政だけではなく、市民や企業ともつながりながらDXを推進していく必要があります。

※UI/UX:UI(ユーザーインターフェース)は「ユーザーと製品・サービスの接触面」のこと。UX(ユーザーエクスペリエンス)は「ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験」のこと。

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講義Ⅱ 「これから始める行政のデジタル改革」

「サービスデザインとDX」

 Code for Japanの市川氏より、DXの本質や考え方などについて説明がありました。

 DXは目的としてデジタル技術を導入することではなく、デジタル「も」使ってサービスの改善を図る考え方・方法論です。DXに取り組むうえで、何の課題を解決するものなのかを明確にし、さらに複数の課題を「同時に」解決しなければなりません。

 変化の激しい今の時代では、①スピード感、②利用者目線、③前例なき社会(新しい課題が日々発生し、前例がなく正解がない)の3点を意識し、走りながら改善を続け、ニーズに合わせたサービスデザインを用いた働き方改革が求められています。データ化、デジタル化、そしてDXまでのすべての過程でサービスデザインを用いて、課題や状況に合わせて変化し続け、対応できる自治体や地域にならなければなりません。

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事例紹介Ⅰ 「加古川市におけるICTの取り組みについて」

講師:多田 功 氏(加古川市 企画部情報政策課副課長 兼 ICTまちづくり担当副課長 兼 新型コロナ感染症生活支援課事務担当副課長)

 加古川市のスマートシティ化はオープンミーティングによって市民の合意形成を図りながら進められており、市民の98.6%から賛同を得ています。その取組が評価され、G20 Global Smart Cities Allianceのパイロット都市にも選定されました。

 多田氏は、コロナ禍での特別定額給付金の申請フローに課題があることをいち早く気づき、紙の申請書の改善やオンライン申請システムの構築を行いました。将来の職員数の減少も想定し、業務を可視化し、公務員が苦手な「業務を無くす、減らす、変えること」を行っていく必要があります。

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事例紹介Ⅱ 「袋井市スマート自治体変革プロジェクト~多様性に富んだスマートな社会を実現し、だれもが豊かさを実感できる未来を創るために~」

講師:小柳津 和彦 氏(袋井市 企画財政部ICT政策課 課長)

 袋井市では、日本の高齢者人口が最大となる2040年頃を起点にバックキャスティングで課題を整理し、「第3次袋井市ICT推進計画・官民データ活用推進計画」を策定しました。また、市が取り組む「スマート自治体変革プロジェクト」では、令和5年度までにICT・データに携われる職員を96人育成し、12業務を改善することを目標にしています。

 さらに、オンラインで職員講習会やBPR研修も実施しています。小柳津氏が人事課と調整し、研修成果を職員の人事評価に反映されるようになりました。

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グループワーク 「ツールありきでDXに飛び込まない!!」

 個人ワークでは、過去・現在で携わる(携わった)業務を3つのプロセスに分解し、プロセスごとに担当職員と住民(利用者)のそれぞれの立場から要求や不満を洗い出し、課題解決のためのアイデアを検討しました。個人ワークを行った後は、グループ内で発表・意見交換を行いました。

 講評では、吉田氏より「問いを解決するためには、既存のやり方を前提にしないこと。」とのお言葉を、また、市川氏より「最善は変化するので、常に何が最善か考えること。」とのお言葉を頂きました。

セミナーを終えて

 私は"DX"と聞くと自然と「デジタル」を意識していましたが、むしろ「トランスフォーメーション」の方に重きを置かなければならないものだと理解しました。現在、提供しているサービスのどこに課題があるのかを見える化し、その課題解決の手段の一つとしてデジタル技術も活用する。その結果、利用者の行動変容が起きなければ意味がないので、「誰に」「どうしてほしいのか」をしっかり意識する必要があることを学びました。

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以上終了レポートでした

今後も面白いセミナーが目白押しですので、是非ご参加ください!

当日スケジュール

12:45~13:00  受付

13:00~13:05  開講式(5分)

13:05~13:15  アイスブレイク(10分) 

13:15~14:10  講義Ⅰ 吉田 泰己 氏(経済産業省 商務情報政策局 情報プロジェクト室 室長)(55分)

14:10~14:20  休憩(10分)

14:20~15:15  講義Ⅱ 市川 博之 氏(Code for Japan コンサルタント)(55分)

15:15~15:50  事例紹介Ⅰ 多田 功 氏(兵庫県加古川市 情報政策課 副課長)(35分)

15:50~16:00  休憩(10分)

16:00~16:35  事例紹介Ⅱ 小柳津 和彦 氏(静岡県袋井市 企画政策部ICT政策課 課長)(35分)

16:35~16:40  休憩(5分)

16:40~18:20  グループワーク(100分)

18:30~19:30  交流会

連絡先

企画グループ
TEL:03-5202-6134  FAX:03-5202-0755  E-mail:creative@jcrd.jp