【終了レポート】令和2年度【平日開催】地方創生×子ども農山漁村交流プロジェクト ~「交流の力」による地域活性化~

セミナー・研修 終了レポート

2021年03月01日

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 令和2年度 新たな知と方法を生む地方創生セミナー「地方創生×子ども農山漁村交流プロジェクト ~『交流の力』による地域活性化~」を1月22日(金)にオンラインで開催しました。全国各地から自治体職員など23名にご参加いただきました。

講義Ⅰ:子供の農山漁村体験(通称「子ども農山漁村交流プロジェクト」)について

総務省地域力創造グループ 地域自立応援課 地域支援専門官 課長補佐 早川 卓也 氏

 子ども農山漁村交流プロジェクトをはじめ、地域力創造アドバイザー、全国地域づくり人財塾など地域での人材育成や交流に関する事業を担当している。

子ども農山漁村交流プロジェクトの施策説明

 子ども農山漁村交流プロジェクトは、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で提起され、総務省だけでなく政府一体で推進している施策であり、児童・生徒を送る側である学校と受入側である農山漁村の双方へ行っている各種支援についてお話をいただきました。

 支援策としては、「子ども農山漁村交流プロジェクトセミナー」や「体験移住交流計画策定支援事業」、「子供農山漁村交流支援事業」を行っており、機運醸成から計画策定、実施までの段階に応じてサポートしています。特に令和3年度は、コロナ禍やGIGAスクール構想、自治体DXによる情報通信環境整備の進展を踏まえ、対面での交流効果をより高めるためのオンライン交流を支援していきたいとのことでした。

 また、支援事例として、千葉県いすみ市で取り組まれている旅行会社へのPR資料作成やオンライン用動画、安全マニュアルの作成の紹介のほか、福井県嶺南6市町で取り組まれているマーケティングを用いた現状・課題分析を行う品質向上プロジェクトなどのお話がありました。

 コロナ禍ではあるが、各種支援事業やオンラインを活用していくことは子ども農山漁村交流を強化するチャンスであり、このプロジェクトの推進が関係人口や地域経済循環の拡大につながっていくことを学びました。

講義Ⅱ:地方創生を目的とした子供農山漁村交流に取り組むための要点整理~「ふるさとホームステイ」の傾向と対策~

一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構 業務第1部グリーン・ツーリズムチーム 花垣 紀之 氏

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 平成19年度に子ども農山漁村交流プロジェクト受入地域協議会の登録制度の立ち上げと、登録受入地域協議会の情報支援サイトの開設を担当。

 子ども農山漁村交流体験の推進に係る取組や事例に精通していることから、全国各地の農山漁村への受入整備等に係る指導・助言に加えて、5府省共催による「子ども農山漁村交流プロジェクト研修」など数々の講師を務める。

受入体制整備の工夫

 大阪府立天王寺高校が行った北海道芽室町での農村体験動画を視聴し、実際の子ども農山漁村交流をイメージしながら、受入体制整備の工夫についてお話を伺いました。

 受入体制には、窓口に専任の担当者を置き、地域の関係団体や受入先との調整をしていくことに加え、受入家庭の拡大に向けて、日帰りモニターツアーなどのお試し受入を体験してもらうなど、住民に交流の意義や楽しさに気づいてもらうことが重要とのことでした。そのうえで、受入家庭の過度な負担の予防として、食事メニューの例を作成しておくなどのサポートも必要になるとのお話をいただきました。

 子ども農山漁村交流において、より深い交流を生み、継続していくためには、学校側と地域側の双方にとってより良い受入体制の整備が肝要であることを学びました。

講義Ⅲ:群馬県みなかみ町 事例発表

一般社団法人みなかみ町体験旅行 専務理事 福田 一樹 氏

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 東京都出身。旅行会社の勤務経験を経て、グループ会社の新規事業であった温泉再生業のため群馬県みなかみ町に移住。2014年に同社を立ち上げ、価値を見出されていない資源と地域の人が主役の着地型旅行の商品開発に取り組む。

 現在は「地域の人が地域の次世代人材を育成する研修プログラム開発」を課題として事業に取り組んでいる。

地域と顧客をつなぐコーディネーター

 子ども農山漁村交流が、より着地型観光としての作り込みが必要となっているといったことを、講師が行っている実際のプログラム作りや資金面の事例などを交えながらお話をいただきました。

 子ども農山漁村交流には、事業者・顧客・地域の三方が良くなるプログラム作りが重要であり、地域が稼ぐことだけでなく、達成感や継続に向けた意欲を持てる要素を考えることを大切にしているとのことでした。また、観光資源の発掘から磨き上げという一つの行程について、ターゲットや提供方法のマイナーチェンジを繰り返す商品展開や他の宿泊業者と協力できる商品ラインナップ作りのほか、一人歩きできるパンフレット作りなどに取り組むことで、観光資源に付加価値を生み出し、地域として稼ぐことにつながっていくとのことでした。

 他にも、観光入込客数で評価してはいけないといった既存の着地型観光の課題やコロナ禍においても充実した体験活動が行えるプログラム作り、地域と顧客をつなぐにはそれぞれの立場に寄り沿う2種類の仲介者が必要であることなど、現場でしか感じることができない貴重なお話をいただきました。

 子ども農山漁村交流を進めていくためには、地域の観光資源の掘り起こしや顧客側のニーズ調査、実際に現場へ足を運び、オーダーメイドで対応していくことが大切であることを学びました。

セミナーを終えて

 コロナ禍により子ども農山漁村交流に取り組むことが難しくなった今だからこそ、地域での体験の価値が高まっているように感じました。また、オンラインでの事前・事後学習など新たな価値の提供が可能となったことから、子ども農山漁村交流がチャンスを迎えていることに気づきました。他にも、子ども農山漁村交流は、子どもが地域を感じ、考える入口であり、推進していくには5-10年という長期的な視点をもって、地域・顧客側双方の現場に出ていく必要があることも学びました。

 子ども農山漁村交流は様々な地域課題を解決していくヒントを内包していることがわかりました。本セミナーを通して、子ども農山漁村交流を推進することで、子どもと地域双方にとってWIN-WINとなることを学ぶことができ、大変有意義な時間となりました。

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以上終了レポートでした

今後も面白いセミナーが目白押しですので、是非ご参加ください!

当日スケジュール

※内容が変更となる場合もあります。変更があった際は、このページ等でお知らせいたします。

1月22日(金)

13:15~13:25

開講式

13:25~13:55

講義Ⅰ    講師:早川 卓也 氏     

13:55~15:05

講義Ⅱ    講師:花垣 紀之 氏

15:15~16:35

講義Ⅲ    講師:福田 一樹 氏

16:45~17:10

質疑応答・総括

17:10~17:20

閉会行事・写真撮影

17:20~

名刺交換会(希望者のみ)