【終了レポート】令和3年度【スタンダード型】新たな知と方法を生む地方創生セミナー 教育のデジタル変革を考える~事例から学ぶICT活用のすゝめ~
セミナー・研修 終了レポート
2022年02月21日
令和3年度新たな知と方法を生む地方創生セミナー「教育のデジタル変革を考える~事例から学ぶICT活用のすゝめ~」が令和4年1月21日(金)にリアルとオンラインを併用して開催されました。全国各地から自治体職員など27名のご参加をいただきました。
講義「教育のデジタル変革を考える ~事例から学ぶICT活用のすゝめ~」
◆平井 聡一郎 氏(情報通信総合研究所 特別研究員)
茨城県の公立小中学校で教諭、中学校教頭、小学校校長として33年間勤務、その間、総和町教委、茨城県教委で指導主事を勤める。古河市教育委員会で参事兼指導課長として、全国初となるセルラー型タブレットとクラウドによるICT機器環境の導入を推進。2018年度より現職。茨城大学非常勤講師、文部科学省教育 ICT 活用アドバイザー、2020年に向けた教育の情報化推進会議ワーキングブループ委員、総務省プログラミング教育事業推進会議委員を歴任。経済産業省の未来の教室・EdTech研究会にオブザーバーで参加。戸田市、下仁田町、小国町など複数の市町村、私立学校のICTアドバイザーも務めている。
「教育のデジタル化による効果」
平井氏から教育のデジタル変革についてご講義いただきました。
現代の子供は、100歳を超えて生きるとされており、今までの教育→仕事→引退の3ステージの考え方では選択肢が狭く、人生設計が難しいとされています。様々な選択肢があるなか、常に自分をアップデートし状況に合わせてやりたいことや学びたいことを選び、変化に対応していくことが求められています。そのため、現在の社会では物事に対しクリエイティブに考える力を身に着けることが求められていると話されました。大学入試、就職試験においてもデータの分析や自分のプロモーションビデオの作成など、クリエイティブな能力とICTの活用が必須であり、学校の外側から社会が求めるスキルが変わってきているため、学校教育においても社会の変化に対応するためのデジタル変革が必要であることを強調されました。
事例発表Ⅰ「子供たちの学ぶ意欲に応え、その力を最大限に伸ばす学びの実現 ~一人1台端末の効果的な活用を通じて~」
◆古川 裕平 氏(福生市教育委員会 指導主事)、榎並 隆博 氏(福生市福生第六小学校 校長)
東京都福生市は平成29年9月、小学校第3学年の全児童にiPadを配布し、基礎学力向上に向けた研究を開始し、令和3年1月には、全児童・生徒へのLTE方式のiPad配備が完了した。配備当初から児童・生徒の持ち帰りを実施している。学習支援ソフトとして、Microsoft 365や、ベネッセのミライシード等を採用しており、市独自の学力調査と連動した個別最適なドリルも活用している。最低限のフィルタリングは行った上で、YouTubeの視聴も可能とする一方、児童・生徒の使用状況を把握し、学校と保護者が連携して指導に当たっている。また、不登校や出席停止の児童・生徒に対しては、iPadを活用し、コメントの送受信や授業配信などを行っている。
「福生市のGIGAスクール構想と福生第六小学校のICT活用事例」
古川氏から福生市のGIGAスクール構想について、榎並氏から福生第六小学校におけるICT活用事例についてご講義いただきました。
福生市は、国のGIGAスクール構想が示される前から基礎学力の向上に向けた研究を目的として平成29年から小学校3年生の児童全員にiPadを配布していました。そのため、GIGAスクール構想における一人1台端末の整備も早期に完了し、専属のICT担当職員の配置や計画的な教員の研修を早期に行ったことにより、教師だけではなく保護者からも理解を得られたことから、ICTを活用した個別最適な学びの提供を目指すことができたと話されました。
福生第六小学校ではiPadを文房具のように普段使いできるようにするため、学年ごとに様々な場面で活用しています。授業だけにとどまらず、児童同士の意見交流の場や運動会や音楽会などのオンライン配信などにも使われており、いつでもどこでも使えるよう学校全体でICTを活用していました。
事例発表Ⅱ「大熊町の教育の取組について」
◆講師:増子 啓信 氏(大熊町教育委員会 主幹兼指導主事)、門馬 貞 氏(大熊町立大野小学校 教頭)
福島県大熊町は震災により、会津若松市で学校を再開し、10年目を迎えている。子どもの数は、震災前の約1500名から令和3年度には14名まで減少している。令和5年には、大熊町に学校を建設し、義務教育学校「学び舎 ゆめの森」として12年振りに教育活動を再開する予定である。伝統の探究学習と最新のICTツールを活用した教科学習の循環的な学びの中で、復興の鍵とも言える「見たこと・感じたことを先取りして形にできるデザイン力」を育み、「大熊の学び再興」に挑戦している。また、EdTech導入補助金を活用してAI型学習教材「Qubena」を取り入れるとともに、個別最適な学びの実現をサポートする校務支援システムの導入、仮想本棚等を取り入れた未来の図書室を検討するなど、企業とも先進的に連携を図り、教育のDX化を通して少人数教育のトップランナー目指している。
「個別最適な学びを実現する校舎と学校教育のDX化」
増子氏から魅力ある学校づくりについて、門馬氏から学校教育のDX化についてご講義いただきました。
大熊町では東日本大震災の影響で子供の数が減少しました。この状況を改善するために、子供が通いたい、保護者が通わせたい学校となるため、認定こども園や小中学校が一体となった校舎の建設と、iPadやAI型教材を活用して子供の能力に合わせた教育方法を検討して、魅力ある学校づくりに取り組んでいると話されました。
大熊町立大野小学校では、校内全域の無線LAN環境の整備を行っており、教員はGoogleアプリを積極的に活用し、必要に応じてローカルとクラウドを使い分けているそうです。児童は「Qubena」を活用したAI学習やAIドリル、デジタル教科書だけでなく、プラットフォームの活用やドローン、プログラミング学習などにも活用されていました。
◆グループトーク&パネルディスカッション
グループに分かれた意見交換では、「児童、生徒だけでなく保護者も同様にデジタル化に対して学んでいくことが重要である」といった意見や、「教員がデジタル化についていけるか不安である」といった意見などがありました。
パネルディスカッションでは、講義を通して生じた疑問に対し、講師の皆さまから丁寧に回答いただき、講義への理解が深まりました。
セミナーを終えて
今回のセミナーを受講して、教育のデジタル化は単なる省力化ではなく、社会の変革に合わせて対応していく能力を身に着けることや、個々の能力に合わせた教育を行うこと、地域特性に合わせた教育を展開することであると気づきました。教育とは単純に義務教育を受ける場ではなく、社会で必要なスキルや知識を学ぶ場であることも改めて認識しました。
記念撮影
以上、終了レポートでした!
スケジュール(予定)
1月21日(金)
13:15~13:30 |
開講式 |
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13:30~14:30 |
講義(講師:平井 聡一郎 氏) |
14:30~15:00 |
事例紹介①(講師:古川 裕平 氏、榎並 隆博 氏) |
15:00~15:15 |
意見交換 |
15:15~15:25 |
休憩 |
15:25~15:55 |
事例紹介②(講師:増子 啓信 氏、門馬 貞 氏) |
15:55~16:10 |
意見交換 |
16:10~17:10 |
グループトーク |
17:10~17:15 |
閉講式 |
17:15~ |
オンライン相談会(希望者のみ) |
※セミナー終了後、名刺・個別交流会を実施(希望者のみ)
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