【終了レポート】令和2年度 地方創生実践塾 in 岩手県紫波町

地方創生実践塾 終了レポート

2020年11月17日

紫波町における都市と農村のくらし~オガールプロジェクトとリノベーションまちづくり~

 令和2年9月25日(金)~26日(土)の2日間、岩手県紫波町で、「紫波町における都市と農村のくらし~オガールプロジェクトとリノベーションまちづくり~」をテーマとして、令和2年度の地方創生実践塾を開催しました。全国各地の自治体職員など27名のご参加をいただきました。

【9月25日(金)】

最初に紫波町の熊谷泉町長より、歓迎のご挨拶をいただきました。

◆講義1「公民連携によるまちづくり-紫波町オガールプロジェクト-」

主任講師:鎌田 千市氏(紫波町企画総務部企画課長)

 オガールプロジェクトを始めるに至った経緯や、「民間主導の公民連携(PPP)」の手法を用いて、民間にゆだねる覚悟を持つなど官と民がそれぞれどのような役割分担でプロジェクトを進めてきたか、オガールエリア内の様々な施設がそれぞれどのような仕組みで設置されてきたかといった点についてご講義いただきました。

 PPPの手法を導入するにあたり、町民と2年で100回もの意見交換を行ったことや、オガールプロジェクトの推進のため、公民連携室が役場や外部との調整役を担って取り組んできたと聞き、地域課題を解決する上で、行政がしっかりとした信念や覚悟を持ってまちづくりに取り組んできたのだと感じました。 

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◆フィールドワーク「オガールさんぽ」

 続いて、参加者が2班に分かれオガールエリア内の施設等を見学する「オガールさんぽ」が行われました。図書館やコミュニティスペース等が設置された「オガールプラザ」、宿泊施設やバレーボール専用アリーナがある「オガールベース」、紫波町型エコハウス基準を満たす住宅が建ち並ぶ「オガールタウン」、民間事業者が店舗や医院等を構える「オガールセンター」、国内最大級の木造庁舎である「紫波町役場庁舎」などの見学を通して、オガールの多様性について触れることができました。

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◆講義2「オガールから始まった民間主導型公民連携~都市経営プロジェクト進行中~」

講師:岡崎 正信氏(株式会社オガール代表取締役)

 1日目最後の講義はオガールプロジェクトの立役者である岡崎氏から、まちづくり議論の出発点や課題解決のための公民連携の正しい在り方、オガールプロジェクトが共感を呼ぶに至ったプロセスなどについてご講義いただきました。

 従来のやりたい事から入る事業ではなく、動機や情熱をはっきりと言語化し、共感が増えることで継続可能な事業の可能性が広がることや、オガールの豊かな暮らしを創るために行われた「逆算開発」や「ピンホールマーケティング」などのプロセスなど、各地域でまちづくりを行う上での考え方のヒントを得ることができました。「豊かな暮らしがあるところに人は集まる」とし、自らが楽しいと思う暮らしを少しずつ小さく始めていき、どんな暮らしになるのかをイメージさせることが大切だということを学びました。

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◆講義3「まちと人に寄り添う図書館」

講師:手塚 美希氏(紫波町図書館主任司書)

 紫波町図書館の取組内容やまちづくりにおいて果たす機能についてお話しいただきました。

「知りたい」「学びたい」「遊びたい」を支援する図書館を運営指針とし、資料収集や図書貸出の場といった従来の図書館の役割だけでなく、紫波町民の暮らしを豊かにする1つのコンテンツとして、地域の情報と人をつなげる企画展示を行ったり、紫波町の産業(農業)を支援するための出張図書館など、司書が地域に出ていき、図書館が地域のハブとなっているということが印象的でした。

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◆フィールドワーク「紫波町図書館見学」

 手塚氏の講義の後は、実際に紫波町図書館を見学しました。市民の誰もが利用しやすく、利用したくなる市民の暮らしをより豊かにする図書館を作るという目的の通り、来た人には気持ちの良い挨拶があり、コミュニケーションを取りやすいように、BGMを流したり、飲食が出来るなど、居心地の良い空間づくりをされていることを実感しました。

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◆講義4「若者と共に成長できる町へ ~好きから始まるイノベーション~」

講師:須川 翔太氏(紫波町企画総務部企画課地域開発室主任)

 オガールの賑わいを紫波町内全域へ拡散させるための突破口として、日詰商店街を活性化させるための取組についてお話しいただきました。紫波町の強みである酒造を活用し、若者のインターンシップを受入れたことでの様々な成果や地域おこし協力隊の関わりなどから、紫波町には若者がまちに関わるための土壌がしっかりと整っていると感じました。

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◆講義5「若者が学び続ける拠点を創る ~私の本気~」

講師:南條 亜依氏(紫波町地域おこし協力隊、まちづくり会社sasatta.llc代表)

 南條氏が地域おこし協力隊として紫波町に関わるようになったきっかけや日詰商店街で行っている「YOKOSAWA CAMPUS」というプロジェクトについてお話しいただきました。南條氏の「真剣に町の未来を考えている紫波の大人がかっこいくて、一緒に働きたい」という言葉や、「面白そうなコンテンツがあれば場所は関係ない」といった若者目線の言葉が印象に残りました。

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◆講義6「里山くらしから生まれる伝統工芸 ~先人の技と心を伝え、今に生かす船箪笥~」

講師:木戸 良平氏(箪笥工房はこや 職人) 

 箪笥工房はこやで製作している家具や船箪笥について、その船箪笥づくりを支える里山の環境や暮らしについてお話しいただきました。実際に、木戸氏が製作している船箪笥を見せていただき、一つ一つの仕掛けを解説していただきました。

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◆講義7「地域の資源を生かして"なりわい"をつくる ~古民家をゲストハウスに~」

講師:木戸 章子氏(宿はこや 運営)

 山屋という里山集落での暮らしや、ゲストハウスを経営するまでのプロセスをお話しいただきました。周りの地域資源をうまく生かし、楽しそうに仕事に取り組んでいることが印象的でした。

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◆グループワーク・発表・講評

 グループワークでは、参加者が4~5人に分かれて、この実践塾での学びや感想等を3つずつ出し合い、それらを基に意見交換を行い、出た意見を全体に発表しました。どのグループでも活発な意見交換が行われており、この2日間で、それぞれに多くの気づきや学びがあったことが窺えました。

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◆まとめ

 今回の実践塾では、講師の方々をはじめとして、まちづくりを他人事ではなく、自分事として捉え、自分なりの豊かな暮らしを求めて努力している方々がたくさんいらっしゃること、そして行政がそういった方々に寄り添って一緒に考えてまちづくりを行ってきたことが実感できました。行政、民間、市民がそれぞれの役割を果たし、覚悟や情熱を持って取り組むことの大切さを教えていただいた貴重な2日間でした。

<最後に参加者の方からいただいたお言葉の一部を紹介します>

・実際に足を運んだほうが説得力がある

・ずっと紫波で生きてきたおもしろい人も知りたい

・実際に活動されている方と町職員の方、両方の話が伺えた

カリキュラム

9月25日(金)

13:00 ~18:30

◆開講式

◆講義① 鎌田 千市氏(紫波町企画総務部企画課長)

◆フィールドワーク 「オガールさんぽ」

◆講義② 岡崎 正信氏 (㈱オガール代表取締役/(一社)公民連携事業機構理事)

◆グループワーク

18:30~

◆交流会

9月26日(土)

9:00 ~16:30

◆講義③ 手塚 美希氏(紫波町図書館主任司書)

◆紫波町図書館見学・・・「知りたい」「学びたい」「遊びたい」を支援する図書館

◆講義④ 須川 翔太氏(紫波町企画課地域開発室主任)

◆講義⑤ 南條 亜依氏(紫波町地域おこし協力隊/まちづくり会社sasatta.llc代表)

◆講義⑥ 木戸 良平氏(箪笥工房はこや 職人)

◆講義⑥ 木戸 章子氏(宿はこや 運営)

◆グループワーク

◆閉講式

チラシ

令和2年度地方創生実践塾in岩手県紫波町チラシ.pdf

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